24.玩具の誘惑~トラウマ~ 最終話

余韻冷めやらぬうちに、二村が佳知の耳元にこそっと吹き込む。
「やっぱり最高です! 特に今日は、この上なく良かったです。」
慣れぬ言葉に、またしても茹蛸も良い程に赤面する。照れる佳知の気も知らないで、二村は「俺のでドロドロだから、体洗ってあげます」と、無理やり押し開いてきれいにされる。佳知はその別の恥ずかしさに身も心も心底トロトロに蕩けながらも何とか耐え抜くと、二人はタオル一枚を巻きつけ、風呂から上がる。

部屋に戻ると、松尾たちはまだ高いびきを上げて、ぐっすりと眠りこけていた。
それに一安心すると、佳知はクローゼットからそそくさと寝巻を取り出し、はらっと羽織る。そして、続いて二村に合いそうな洋服はないかと、ラックの中をごそごそとかき混ぜ探し始める。
けれども、M寸の佳知の服は、どれもかも二村には小さい。そして、思案を巡らせ、浴衣がある事を思い出す。

そうだ。あれなら、入るかな・・・。

佳知は高校以来深い付き合いの彼女は出来なかったものの、浴衣を着て夏祭りや花火にグループで行く事があり、購入したものが拾揃えあるのだ。それこそ、今ここで眠りこけている松尾や奥村達らとツルんでは、何やかんやと言って1年に1度は出番がある。
けれども、問題はクローゼットでも奥のラックにしまってある事だ。
佳知は手前にあった例の玩具が収納してあるケースを横にずらすと、奥の方を探り始める。

「佳知さん? 何探してるんですか?」
「うん。寝巻に着れる物がないかと思って・・。それで浴衣があったなと思って、今それを・・・。」
けれども、そう答える傍らで二村が例のケースに関心を寄せている事に気付き、言葉が引っ込む! 更にそれを持ち上げるものだから・・・、“!!!” 思わずぎょっと二村の顔を凝視してしまう。

「どうしたんですか? 奥から浴衣出してもらえるのなら、これ! 邪魔でしょうから、持ってますよ? ん? ガシャガシャ言ってますね? 小物かなんかですか? 何が入ってるんですか?」
「・・・・・。」
もうバレている事とはいえ、返す言葉に詰まる。だから、察しの良い二村に、それが何であるか悟られてしまう。

「もしかして! これもアレ・・・、玩具とか?」

二村は一応のところ、硬直する佳知に言葉では「開けますよ!」と断りを入れるものの、佳知の返事を待たずして遠慮なく中を検める。
「・・・・。」
佳知は“言葉も出ない”というのはこういう事なのだと、改めて思い当たる。
蓋をあけると、色彩も素材も豊かな玩具達が現れる。

「これは!! 結構ありますね? でも、良いです!」
二村は顔中に意地悪そうな笑みを貼り付けると、わざと佳知の顔を覗き込むように近づける。そして、耳元でこそっと囁きかける。

「こんなにあったら、二人の愉しみも増えますね! これからは是非、俺の前で試して下さい!! それにいろいろと馴れてきたら、今日みたいに指とじゃなくって、俺とコレ! 佳知さんの中で一緒に同時に味わってもらって、より佳知さんを蕩けさせます!! 俺、佳知さんに、もっと愛してもらうためにも、絶対! 飽きさせませんから!!」
あれだけ玩具には嫉妬すると言っていたというのに、そんな二村の宣言に、“俺、早まった?”と思わざるを得ない。
佳知はムリとばかりに、頭をブルンブルンと横に振る。

けれども、そんな二人のエロエロな秘密の会話を冷やかそうとでもいうのか、突然眠りこけていたハズの松尾がむくっと起き上がったかと思ったら、「佳知! 水臭いぞ~っっ。俺達、友達じゃね~かっっ」とごにょごにょ吐いて、また床にごろんと転がる。
その性で隣の奥村までものっそりと寝返りを打つ始末!!

び、びっくりした・・・。

佳知は心臓をバクバクと早打ちさせ、どっと冷や水を垂らす。
けれども、冷や冷やとしているのは自分だけのようで、二村は素知らぬ風とばかりに、平静を保ったまま佳知を一心に見つめている。

ん? 二村はバレるの・・・、怖くないのか?

などと仰天していると、二村は苦笑を漏らしつつも、そんな佳知の耳元に先程より小さい声でこそっと吹き込むように呟きかけてくる。
「佳知さん? 俺はバレても、全然良いです! むしろ、その方が堂々と自分のもの宣言出来るから良いくらいです!!」
「にっ、二村っ!!」
ますます“早まった?”などと、後悔するが遅い。とはいえ、いくら後悔したところで、この愛しい二村に抱く恋心は止められはしない。
そして二村は、口をあわあわとさせる佳知に、ちょっぴり表情をムスっとさせて咎める。

「佳知さん? 貴弘です! いい加減、素に戻っても、下の名前! 呼んで下さい!! あの最中はあんなに“貴弘”って、呼んでくれたじゃないですか!!」
「だから、起きるっ!!」
「起きたって構いません!! 約束ですよ!」
「二村・・・。」

それでも言い間違える佳知に、二村はガバっと覆いかさばると、深く唇を奪う。
「んっ・・、んっ・・・・。」
もう!!!! バレる~~~っっ。
心の中で叫ぶ佳知だったが、懸念材料の二人は眠りが深くなったのか、ピクリともしない。けれども、佳知がその諫めから解放されたのは、すっかり体が冷え切ったタオル一枚まとっただけの二村のくしゃみのためだった。

   - 完 結 -




最終話にして、みなさん思ったことでしょうっっ。確か、クローゼットには玩具がってっっ。笑
ちゃんとついておきました!
更に! 二人の話し声で松尾達が起きるってぇ~~っっ。笑
少しは“スリリングさ”を楽しんで頂けましたでしょうか?
更に・・・。二村ですが、彼! くしゃみって、自業自得?
でも、オチは決まりましたでしょうかっっ。笑

今回は“あとがき”ありませんっっ。その分、次の連載の準備に励みますっっ。
ゆえに、ここで最後に皆さんに一言!
最後までお付き合いありがとうございました! & 応援していただき、ありがとうございました! 感謝・感謝です。

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23.玩具の誘惑~トラウマ~(R)

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22.玩具の誘惑~トラウマ~(R)(絵あり)

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21.玩具の誘惑~トラウマ~(ややR)

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20.玩具の誘惑~トラウマ~(絵あり)

二村はその言葉に思いのほど全てを注ぎ込み、愛を語る。
・・・大貫さん、愛してます

「それって、信じて、良いのかな?」
「信じて、良いです。これ、俺にとってはプロポーズですから!! むしろ断られたら、相当厳しいです。多分、限りなく凹んで、当分の間廃人のようになっちゃいます。」
縋るような事を言いつつも、佳知の心の負担を考えてか、二村は無理に明るい口調でそう語ると、ヘラヘラとした笑みを顔に貼りつける。

「・・・・そんな。」
「やっぱ、縋り過ぎですよね? すみません。でも、大貫さんの返事! 心して聞きます。だから、思うようにバッサリと言って下さい。」
二村は死刑宣告でも受けるかのように、表情を引き締める。二村の中では、佳知が二村の気持ちを受け入れる可能性は半分より少ないと、考えているのかもしれない。
「ううん、そういう意味じゃないんだ。その・・・。二村は誠実だから、ウソは言ってないよな?」
「ええ、言ってません。誓います。」

「なら、このまま惚れても・・・、良いのかな?」

二村はやはり佳知に断られるものばかりだと思っていたのか、一瞬意外そうにへっと驚いた表情を見せる。けれども、すぐに表情を引き締めると、佳知に真摯に返す。

「良いですよ。惚れて下さい。」

そして、二村は言葉だけでなく、安心したような嬉しそうな表情を浮かべ、佳知の体を引き寄せると、その腕にぎゅっと力を込める。
すると、驚いた事に、佳知の大きな双眸から、ぽろりぽろりと大粒の涙がとどまる事無くこぼれ落ちてくる。本当に、次から次へと・・・。

あれっ? おかしい。涙が・・・。俺・・・・、ほっとしたのか?
そして、佳知は悟る。今になって、二村に嫌われなかった事に、これほどまでに自分は安堵を覚えているという事を。だから・・・。

そうか、俺・・・。もう、二村に・・。惚れてるんだ・・・・・。

結局のところ、佳知は二村に惚れているために、玩具の事で二村に決定的に嫌われる事を恐れていたのだ。だから、とどのつまり! 決定的なものとなる前に、自ら二村の元を去ろうと思ったのは、ある種の“自己防衛本能”のあらわれだったのだ。
そもそも、一人Hの際に二村を思って行った時点で、既に佳知は二村に片思いしていたのだ。
今でも、他の男性に自分が抱かれるなんて考えられないし、嫌なものでしかない。
そして、その思いを自覚した途端、より一層涙が佳知の目から滴り落ちる。
そのとどまる事を知らない涙に、二村は手で救い上げるように拭うと、神妙な面持ちで心配を寄せる。

「大貫さん?」
「ああ、ごめん・・。大丈夫・・・。俺・・、本当は俺もお前の事!! 好きなんだ。」
「大貫さん・・・。」
二村は佳知の言葉を噛みしめるためか、少し間を持って、そう呟く。そして、その幸せを噛みしめるかのように、佳知をまたひしと抱き込む。

「本当ですか? 愛してます。」

溢れ出す感情のまま、絞り出すように紡がれた言葉に、佳知の心をより一層温かくさせ、またほろほろと泣かせた。

   * * *

結構な間、こうして二村と抱き合ったままだったというのに、いざ気が落ち着いてくると、何だか気恥ずかしく、今度は逆にこうしている事に落ち着かなくなってくる。
今は涙の方もすっかり引っ込んでしまっている。
だから、佳知は照れくささのあまり腕をつっぷして、二村の腕から逃れようとする。顔なんて、茹でタコと言っても良い程の真っ赤さだ。

「大貫さん? 今更照れてるんですか?」
「照れてるって・・・・・。照れる・・、だろっ!!」
悪態をつくだけでなく、二村に悟られるに至った真っ赤な顔を、今更ながら俯せて隠そうとする。悪足掻きも良いところだ。
一人であんな事して愉しんでいるというのに、それとは裏腹な佳知の純な反応に、二村の嗜虐心が煽られる。だから、二村は顔を意地悪い笑みで一杯にすると、とんでもない要求を佳知に突き付ける。

「何、言ってるんですか? これから大貫さんのもっと恥ずかしいところ、見せてもらおうと思っているのに。」
「はっ、恥ずかしい事!!! ・・・・恥ずかしい事って?」
嫌な予感に思い当り、声が思わず裏返る。

「折角ですから、大貫さんがこれ使うところ! 見せて下さい!!」




この回の挿絵につきましては、分離作業が間に合いませんでした。すみません。
挿絵は「続きを読む」にて。

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