43.隣人(最終回)+後書き

それこそ手つかずとなっている大和の家の問題の方にまで、手を及ぼすつもりでいる。
それこそ自分達にとっては正念場となる!
あの両親は高の家以上に厄介な存在だ。

だが、高としては、この自分を手に入れる事の方が、困難だったのかもしれない。
大和が思う以上に、高はこの困難に対しても物ともしていなければ、腰も軽ろやかだ。
だから、当の息子の方がフォローを完全放棄しているというのに、この週末・・・。明日二人して有隅家に行く約束を、大和の両親に先に掛け合って取り付けたのだ。

本当に、驚くべき行動力だ!

大和はといえば、気が進まなくて仕方がないというのに・・・。
というのも、嫌な思いをするというだけでなく、あの母が怖いのだ!
連れ去りの一件から懸念していた“母が高の家に対して何らかの行動を起こすのでは?”という危惧は未だに何のアクションもないままに遂行されていない。ゆえに、その反動が怖いのだ。

あの激情家の母の事だ! どう爆発するか・・・。

高は心配する大和に対して、“秘策があるから、大丈夫だ”とさほど気にしてはいないようだが、母が自分達の事をどう思っているのか全く分からないのだから、大和は不安で仕方がない!
”一族の裏切り者! 恥さらし!”などと、罵られるかもしれない。
だが、自分が罵られるのは良いが、高がその害を被る事になるのは嫌だった。

けれども、そんなに鬱々と悩んでいたというのに、赴いてみれば拍子抜けする程良い方へと転がった。

高の秘策とやらは、“有隅家の一員として、自分が養子縁組で入っても良い”という申し出だった。
それは母の心を捉える良策で、凄まじい効力を示した。

にこりともしない顔で出迎えた両親は、高が“養子に入る”と言った瞬間から、見事なまでに態度をころっと変えた。
そうなのだ! ”どう責任とってくれるのかしら、このお隣のバカ息子!”から、”自慢の婿どの”へと一変した!

それに、大和がある前に、大和の母が存在している! ゆえに、大和はその母の心を映し出している!
要は、大和の根源ともいえる母だからこそ、その好みも端から似通っているという事なのだ!

それこそ、今までの目の敵のようにした高への態度は、“好きな子こそ虐める”の精神によるもので、根深いところでは高を大いに気に入っていたのが裏返しとなって出ていただけなのかもしれない。
はたまた、単に懐に手の内に入った者に対しては寛容になれるだけなのかもしれない!

女心は秋の空!

自分の母親といえ、女心は複雑過ぎて、男である大和にも今一つその心理を理解出来ない。
とはいえ、この人騒がせな母によって、とんでもない煽りを受けたとはいえ、“終わり良ければ全て良し!”
高との間に齟齬が無くなり、晴れて結ばれたのだから、申し分はない。

それに、遠回りしたからこそ分かり合えたところもあり、絆も深まった!

だから、この遠回りは、無駄なだけではなかった。
そして、その人騒がせな母は、高のキラキラスマイルに積年のライバル意識も忘れ、うっとりと微笑かけている。

本当に・・、いくつになっても困った人だ・・・・。

ふとため息を漏らし、二人から視線を逸らせると、父が大和に優しげな笑み向けてきた。
良かったな。
そう言われているのだと分かった。
そして、それこそ心底ほっとしたのは、この父だったのかもしれない。

   - END -




後書きは追記欄の方にさせて頂いています!
御時間がある方は、覗いて下さい!
尚、拙い作品ではありますが、最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

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42.隣人(ラス2)

「・・・行かなくて良い。というか、行くなっ!!」
「でも・・・」
「気にするな! アイツら、単に今のお前の顔を拝みたいだけだから!!」
「えっ?」
「そうだよ・・。アイツら昔から“ジャ○ーズ事務所にも、余裕で入れるよね!”とか言って、お前のファンだから・・・。会わせたくないんだ!!」

高は苛立ちを隠し切れない様子で告げる。どうやら姉達相手に本気で妬いているようだ。

「分かったか? 今回のことだって、棚ボタくらいに思ってるんだ!! 大体からして、姉貴は今のところは旦那の姓を取りあえず名乗っているけど、旦那が男ばっかりの四人兄弟の三番目な上に、俺の身持ちがなかなか固まらないからって、もとから改姓して家を継ぐつもりだったんだ!!」
確かに一般的に見ても稀に、一度男性の方に籍を入れても、後に婿として自分の方の籍に入れ直すケースはある。

「だから、元々俺の結婚相手なんて、どうでも良いと思っていたところに、大和がっていうんだから、そりゃ・・。棚ボタだろっ!!!」
「・・・・」

高は思い出す内に姉達への怒りが沸々と込み上げてきたのか、放つ言葉は血気盛んだ。しかも、声音もどんどん低いものとなっていく。
大和は高の剣幕に大いに圧倒されはしていたが、何よりもその思いも依らぬ内容の数々に啞然として、言葉を失う。

「終いには、”アンタのその骨抜き具合からすると、さぞや進化系美青年になってるんでしょうねっ!! だったら、連れて来なかったら、本当に承知しないわよ!!”って・・。ドスの効いた声で脅しやがって・・・。誰が見せてやるかっ!!」
高も止まらなくなってしまったのか、大和そっちのけで姉の罵倒に執心する。

「でも・・、それなら何て答えてきたんだ? まさか本当に喧嘩してきたわけじゃないんだろ?」
「・・・だからっ。んーーーっ!」
“やっぱり喧嘩したのか?”と思っていると、高は至極罰な悪そうな顔付きで白状し出す。

「“確かに手に負えない魔物美青年に成長しているけど、だからこそお前らには何がなんでも会わせられない!”って言ってやった!!」
えっ・・・・。手に負えない? 魔物?
よもや自分の事をそんな風に言われているとは、思いも依らない。これを聞いては、どんどんと引きつってくる頬を抑えられない。

「・・・大和? 怒ったか?」
「怒って・・、ないけど・・・」
「・・そうか?」

急に高の勢いが弱くなる。大和を窺うように、柄にもなく大きな体を小さくさせている。
まったく、人を何だと・・・・・。
でも、何を言ったところで、仕方がない。小さなため息を吐く。

「でも・・。そしたら“罰金”とばかりに、俺は散々金をむしり取られたんだ・・。守銭奴だろ・・?」
「それは散々だったね!」

本当に、一体いくら支払ったのだか・・・。

とはいえ、そんな罰金程度で、快く大和を迎え入れてくれたお姉さん達には、有難くて頭が上がらない。
そして、高にはより感謝してもし尽くせないくらいだ。おかげで肩の荷は半分下りた。

まだ表立ってはなかなか感謝の意を表せないものの、そんな思いが現れた大和の軽やかな笑顔に、高はそれを察してくれたようだ。
高もにっこりとした笑みを返してくると、照れ隠しなのか「だが、俺も本当に格好悪いよな・・・。大和が手に入った嬉しさのあまりに、いろいろ張り切っちゃってさっ」などとぼやく。

それが心底幸せだと思えるのだから、自分の方こそ相当焼きが回っているようで、恥ずかしい。
けれども、もちろん! それはまだ高には伏せている。しばしの秘密だ!

そして、大和は今! 就寝までの時間をベットに俯せになり、その時の事を思い出しては、感謝の意を込めてそっと高の名を呟く。
「高・・・」
視線を手元に落とすと、左薬指には、部屋の照明に照らされた指輪がキラリと光っている。

大和の二つ目の宝物・・・。

プロポーズの言葉と共に、高から貰ったあの誓いのリングだ。
台座に大きい宝石が載っている華々しい指輪ではないが、同性である自分を思って選んでくれたその指輪の輝きは、大和にとっては眩し過ぎるくらいだ。
ここに存在しているだけでも、“奇跡”に思える。

だが、この指にはそれだけではなく、もうすぐ二つ目のリングが嵌められる予定となっているのだ。
それこそ・・、マリッジリング!!
先日、出先で・・・。いや、高にとっては”ついで”を装ってはいても、端からそれが目的のお出かけだったのかもしれない。
何気なしに入った宝石店で、二人してそれを注文してきたのだ。

高は自分の両親に自分達の関係を明かすだけでなく、ここでも強い誓いの意志を態度に示してくれたのだ!

だから、それが手元に届いた時には、まさに”結婚”・・・。いわば、高とは”事実婚”の関係になる。
大和のために高の両親に掛け合い、実質的なけじめまでつけてもらえて、大和にとっては本当にもったいないくらいの事だった。

だが、高の”けじめ”は、それだけに留まらなかった。




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41.隣人

積年の行き違いが取り払われて、晴れて身も心も通じ合う事の出来た高と大和だったが、そうは言っても直ぐには別人のように成り変わって、打ち解け合う事はなかなか出来ない!
とはいえ、そのギクシャクとしたそうしたわだかまりも、時が移りゆくのと同時に、次第に取り払われていく筈だ!

確固としたあの心の隔たりが、無くなっただけで十分だった。

とはいえ、日常ではなかなか素直になれないため、誤解を生みがちになるのが多少の心配の種だ。
けれども、一度アレの雰囲気になると、何故か素直になれるから、不思議だ。
ゆえに、意外にも上手くいっている。

いや、どちらかと言えば・・・。
以前とは見違える程に積極的になってしまった大和は、後でふとした拍子にその時の様子を思い出しては、至極恥ずかしい思いに陥る事があるくらいだった。

とはいえ、二人の間に全く問題がなくなったわけではない!

そう・・。互いの両親の事だ!
二人にとっては大きな障害ともいえるそれが、残すところ問題だった。
出来れば解決したいのは山々だったが、そうは簡単にはいかない。
特に、大和の実母は自分の親ながら、至極厄介に思えてならなかった。
だから、大和はこの問題を半ば諦めつつ、先延ばしにする他ないのだろうと、思っていた。

けれども、高の方が違ったようだ。

大和がその事で心を煩わせ、深いため息を付くのを見るにつけ、何とかならないかとその手立てを真剣に考えてくれていた。
だが、マイノリティな関係であるからこそ、両親に認めてもらうのは至極困難な事だ。

だから、大和としては本当のところ共に悩んでくれるだけでも十分だったのだが、高はいつまでもそれで手を拱かせているばかりではなかった。
ちゃんとその誠心誠意さを態度でもって示して、いろいろと敢行しては、骨を折ってくれたのだ。

高としてはやっと手に入れた大切な大和だから、それを守るためなら一切の労を厭わなければ、当然の事をしたまでだった。
とはいえ、なかなか出来ぬ事だからこそ、大和にとっては“有難い”の一言に尽きた。

まず、高は単身で自らの実家に赴くと、両親に大和との事を報告すると共に、家族会議の席まで設けて今後の事を掛け合ってきた。
ひおもてに立ってそれだけの事をしてもらった事は、高の愛を感じたし、大切にされているのだと実感できた。
だから、その高の行動だけでも言いようがないくらいの満足を得られる事であったのだが、宮圀家は有隅家とは一味も二味も違った。

思いがけない事に、なんと!! 自分との関係を、あっさりと認めてくれたのだ。

もともと宮圀家は、日本特有の既成概念にオーガナイズされていないオープンな家庭で、”家族である前に、個々を尊重する”という理念の下に立って物事を捉えている。
だから、今回の事についても、高の意思を第一に尊重したのだろう?
やはり、父親は外資系商社に勤め、母親はミス○○に登り詰めただけの事はあるのかもしれない。普通の一般家庭とは少し違うように思える。

だが、その分、個々の責任も大きい。

ゆえに、大和もそのマイノリティのリスクを高と共に背負って、自分達の力だけで生きて行く覚悟が要る。高の両親にこれ以上の迷惑は掛けられない。
とはいえ、たとえどんな茨の道が待っていようと、高と共に歩む道なら幸せに違いない!
だが、そうは言っても、高の両親に認めてもらえた事は大きい。祝福されるのとされないのでは、雲泥の差だ。

大和は、これからの人生を高の伴侶として、堂々と生きていける。

そして、高自身も両親に認めてもらえたのには、肩の荷が下りはてほっとしたのか、生家から戻ってきた日、大和に家族会議であった諸々の話をぼやいてみせた。

「あの姉貴らっ!!」
「お姉さん達・・?」

両親は兎も角、御姉妹に至っては女性である上に、そのしわ寄せが及びかねないこの決定について、受け入れがたい思いを抱いているに違いないと思い、大和はその表情を思わず曇らせる。

「アイツらっ!! “あの美少年なら仕方がないけど、それならそうと! 私達の目の保養のために、近いうちに一度! この家に大和くんを連れてきてよ! 予定あっても調整するからさっ!”なんて、言うんだ!!」
「じゃ・・、お姉さん達は・・、俺に不満はないんだ・・・・・」
「あるかよっ、そんなもんっ!!」

高の剣幕に少々面食らう。
「・・なら、行けば良いんだね?」
「えっ?」

当然と思ったまでの事を言ったつもりなのに、驚きの表情で切替され、逆に大和の方が啞然とする。




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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
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