28.フェイクデレラ(絵あり)

画像の貼付場所は、文末備考欄となっております。




「そうなんだ。サギリの中に、入り込めなかった。どんなに頑張っても、頑張っても、無理だった。だけど……。そんなサギリと決裂してしまうような決定打を打ったのも、俺自身なんだ!!」
「筧くん…………」
「俺は……、ああ…。俺の元から逃げたサギリを追って、何とか引き戻そうとして…………。おっ、俺は、俺は……。取り返しの付かない事をした! 酷い事をしてしまった! 決してやってはいけない事を、俺はしたんだ!!!」
「と、取り返しがつかない……、事…………」

自分達の間で、何が起こったか?
実こそが、その”サギリ”なのだから、良く知っている。
陽太郎は、自嘲の色を濃くさせた。

「そう…、無理矢理、奪ったんだ!! そして、それで本当に……。サギリは、俺の元からいなくなってしまったんだ!!」

陽太郎はそう告げると、大きな手で顔を覆い、その場に泣き崩れてしまった。

……けれども、変わらない!
陽太郎は、こうして直ぐに涙を見せる。泣き虫だ。
見た目では、実の方が余程弱そうなのに、涙を見せるのはいつも陽太郎の方だった。
そう、こういった事に限らず、映画やドラマでホロリとくるシーンがあると、必ず…。だから、そうした時、陽太郎の方をふと振り返れば、眉根を寄せ、目尻には涙を滲ませていた。
つい涙を堪えてしまう実とは、対称的だ!!

けれども、そんな陽太郎は嫌いじゃない。むしろ、そんなところが好きだ。
だって……。
陽太郎の涙には、それだけ天真爛漫でホットな陽太郎の性格が良く表れている。
そう、陽太郎は情緒が豊かなだけなのだ……。

ああ、変わらない。本当……、こんなところまでも、変わらない。
そして、今でも、自分にない陽太郎のそんなところが、好きだと思った。

「でも、真鍋? 俺は、サギリが俺といる事に辛さを感じていたのも、知っていたんだ。俺から、何とか逃れたいのも……」
「っ……」
「でも、サギリへの想いが俺の中でどんどん募っていくばかりで、それが分かっていても、離してあげる事も出来なかった。だから、苦しみが限界まできたサギリが、何とかして俺から逃げようとしたのも、分かる。それなのに、俺は……。その想いを諦める事が出来なくて、追って、無理矢理…………」
「…………っっ」
「だから、ついには俺の手が届かないところへと、サギリは消えてしまったんだ!! ……忽然と。そして、それ以来、どんなに探しても、探しても、サギリは見付からなかった。あんな酷い事をしてしまった謝罪すら、許されないままに………」
「謝罪………?」
「そう、謝罪……」

陽太郎はあの日の出来事を昇華出来ないまま、罪の意識をこうして抱き、来る日も来る日も過ごしてきたのだろうか?
一人残された陽太郎もまた、送ってきた日々は実と同様に辛く苦しいものだったに違いない。

「かっ、筧くんは……、その罪の意識をずっと抱いて…………。今までそれを一人抱えて、苦しんできたんだね?」
「だけど、真鍋……。俺のそんな苦しみなんて、して当然の事なんだ! サギリに比べたら、俺なんか………」
「筧…、くん………」
「俺は、最も愛した人に、取り返しのつかない酷い事をしてしまったんだ!! だから、忘れられなくとも、仕方がない!!」
「筧……、くん……」
「それに、真鍋? それで、良いんだ!! 今となっては、その罪を償えるわけじゃない。だけど、俺がそれを忘れないでいたら、それで良い事なんだ! だって、そうだろ? これは、俺が一生背負っていかなければならない罪なんだから!!」
「かっ、筧くん!!」

陽太郎がそうだと言ってくれるなら、あの代価は余りある程もらったかもしれない。
もちろん、あの時のあれが辛くなかったとは言わない! だけど、謝ってもらう必要もないのだ。
そう、言うなれば……。

そんな事は、とうの昔に許している………。

それに、少なくとも合意でなかったにしろ、辛かったにしろ、心から嫌だったわけではない。
陽太郎に無理強いされた事も、抱かれ続けた日々も、報われない想いと現実とのギャップに苦しんでいただけなのだ。
むしろ、本当の自分の姿を明かす事無く、陽太郎の前から忽然と消えてしまった実の方が、罪なのかもしれない。

だから、陽太郎と再会しなければならない“業”が、今! 我が身へと降り掛かってきたのだろう。




youtarounonamida.jpg

泣き虫な陽太郎…。
既に最初の方のRでも泣いていますが、これからも度々涙を見せる事でしょう。

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