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66.続・執着~均衡~

とはいえ、そんな風に思っていても、この冷却期間は悪いだけのものではなかった。
日々職務に忙殺されがちな侠耶に、骨を休めさせる機会にもなった。

きっちり5日間。高田は、あの侠耶に有無を言わせる事なく、医師の強制執行で休みを取らせた。
おかげで、侠耶に先んじて仕事復帰した利通も、その仕事の調整に当たる事となったのだが、大変な一面、至極新鮮だった。

もちろん、侠耶がこれくらいの怪我で済んで良かったと思っている。それに、出来る事ならば、こういった事が度々と起こらぬよう望んでいる。
だから、侠耶に面通りが叶った時には、日頃つれない態度を取りがちな利通も、募る想いに思わず大胆な行動に出てしまったくらいだ。

(自分から侠耶の身の上にダイブするなんて、有り得ない……。恥だ!)

それを思い返すと、顔から火が出そうだ。
だが、そうは言っても、侠耶の元気そうな姿には安堵した。

目前の侠耶は顔色も良く、いつも通りの不敵な笑みを浮かべていた。

顔を見るまで必死に心配を寄せていた自分が馬鹿らしく思えるくらい、本当に”いつもの侠耶”だった。
もちろん、未だに左肩には仰々しい程しっかりと包帯が施されている。見た目にはまだ痛々しい。
けれども、いつものそれが見れただけで、心底ほっとした。自分でも心の奥がじわりと温かくなっていくのが良く分かった。

(バカっ! 元気じゃないか……)

とはいえ、高田によると、侠耶の傷口がしっかりと付くには、結構な時間が掛かるらしい。1週間やそこらでは、まだまだという。
ゆえに、“くれぐれも安静に”だそうだ。
そんなもの、守っていられる筈がない。

もう一秒たりとも、侠耶を待っていられない!

うずうずしながらもその時を待ち焦がれ、ようやく皆が自宅マンションから帰って二人きりとなった。
久々の二人だけの時間だ。心が躍る。

だからか、侠耶の登場に一目散に嬉しそうに部屋に入ってきた侠耶のネコも、今は遠慮してか、皆と共に出て行ったきり戻って来る気配がない。
このリビングが、彼の定位置だというのに…。
どうやら、彼はここを利通達に譲ってくれたらしい。
二人してソファーに深く身を沈ませ、ぽっかりと訪れた休息時間を寛ぐ。

「侠耶?」
「ん?」
「………今更だが、何であの時、俺が宇賀神の元へ行ったのだと分かったんだ?」
「分かった? …ふんっ。大体からして、お前の方から『抱いてくれ』と言うのがおかしい。おかしいな?」
「ぅっ……」
「何かをしてやろうという魂胆だったのは、目に見えて分かったさ」
「ぅぅっ…」

やはり侠耶には当初からバレバレだった。
とはいえ、今思えば、確かに自分でもおかしな行動だったと思う。無理があった。
だが、あの時の利通は必死だった。そんな異質さを覗かせている事に気付けても、気付かぬ振りを貫き通さなければ前に進めない程余裕を失っていた。
それに、あれが今生の別れになるかもしれなかったのだ。僅かな時だって、惜しい。やはり、そんな事に構っている余裕なんて全くなかった。

「おかげでヤキモキとさせられた。この俺をこんなに慌てふためかせるのは、お前だけだ。利通…」
「ぅっ…」
「しかも、高田まで呼び付けおって…」
「……っ、すまない……」

侠耶は、そのために深く眠らされる事になった。

「その上、覚醒したら覚醒したで、案の定だ! 随分と急がされる羽目になったものだな? …ふんっ、困った姫だ!」
「本当に…、すまない……」

ちょっとした当て付けの厭味なのだろう? 侠耶は、宇賀神の口振りを真似て、そう言ってきた。
だが、“すまない”という利通の言葉は、心からの謝罪だ。
高田の目が光る中、睡眠薬入りの点滴を付けられた侠耶が、いくら焦燥を募らせようと、深い眠りへと引き込もうとする力には全く抗えなかったに違いない。その状況に、至極気を揉んだ筈だ。

それなのに、目覚めた侠耶は事の次第を把握すると、一も二もなく現場に駆け付けてくれた。
大事に至らずに済んだのには、侠耶のおかげ。正直、頭が上がらない。

とはいえ、その深い眠りから侠耶を目覚めさせてくれたのは、何を隠そう今離席しているあの猫だという。この時点では知りもしなかった事だが、後日何かの拍子に侠耶の口から語られる事になった。そんな裏話があったとは驚きだ。

(ああ、猫にも感謝だ! すまない!)




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