4.探偵GJ

そういう勇人も、顔の良し悪しをいうなら良いものを持っている。
信人のような派手さや柔和さはないが、どのパーツも卒なくまとまっている。
髪も、男にしてはさらっとしていて綺麗だ。

ただイメージが、信人のそれと比べてかなりシャープなだけだ。
今までの苦労がそういう顔にしたのかもしれないが、色素が薄くギョロリと大きなアーモンド型の双眸は目尻が深く切れ上がっていて、鋭くて隙がない。

だから、自分達兄弟を動物に例えるとしたら、兄の信人は森の洞穴で可愛らしく暮らす山鼠、勇人はネコ科の獰猛な獣・山猫といったところだ。
だからこそ、草食動物の兄は危なっかしくて見ていられない。

(危うい。いつ食い殺されたっておかしくねぇーよ。だから、信人は俺が守ってやるんだ!)

大きくなればなる程、そう思うようになっていた。
年下風情が、生意気に…。

それでも、現実は厳しい。粋がったところで、信人は勇人の手の届く存在ではなかった。
確固たる血の繋がりもあるだけ。
信人とまたいつか一緒に暮らせる日が来るかもしれないと夢見たところで、そんな日は来るわけがなかった。

その上、信人はノーマルだ。信人の隣は、勇人よりも華奢で可愛らしい女性が似合う。
しかも、当の信人も合コンに精を出す日々を送っていたのだから、男の勇人が割り込む余地などなかった。
それでも、全くの可能性がないというのなら、諦めも付いた。

信人も行く行くは普通の幸せを掴み、新たな家族を築く。
その様子を陰でこっそりと見守ろうと思っていた。
何かという時にだけ、その面倒を見るつもりで…。

(だけど、ダメだ。あの男はダメだ。危険過ぎる…。信人は不幸になる!)

苦労知らずで育った信人は素直な分、甘い。
自分にはない部分だからこそ、勇人は信人のそんなところが好きだった。

だが、信人のような甘さは、時に厳しい世の中では仇になる。
いつ何時、信じていた人に裏切られるかもしれない。
信人は仁科を信じ切っているが、痛い目を見る可能性はなくはない。
いや、あの男の様子からすると高いのだと、勇人の勘が言う。

よりによって、何で信人はあんな男を選んだのか?
敢えて狭き荊の道を選ぶというなら、何故勇人を選んでくれなかったのか?

少なくとも勇人は信人だけをずっと見てきたし、傷つけるような事はしないと誓える。
そうだ、俺なら、たとえ“男同士”、“血の繋がり”といった二重の枷があるとしても、信人だけを慕い続ける。

(ああ、好きだ、とても愛してる……)

だからこそ、信人が傷付くような事はみすみす見逃せやしない。

(くそっ! あの性悪ヘビ男…)

だが、あの男を信人から引き離すのは一筋縄ではいかないだろう。
肝心要の信人が彼に執心している。
もう仁科に何をされようと、盲目の愛で全て許してしまうだろう。
心底惚れているのが、嫌でも伝わってくる。
だから、あの男も余裕綽々と勇人の追跡を許しているのだろう。

(俺がしゃしゃり出てきたところで、何も出来ないって?)

いや、出来るものならしてみろと、勇人に向けた挑戦状なのかもしれない。
だが、今日のところは仁科のマンションの中へ信人が消えるのを確認する他は何ともし難い。
甘んじて敗北を受け入れるしかない。

(くそっ……)

「ね、ね、Jちゃん。もっと急がなくても良いの?」

隣から呑気な声が上がる。
一向に報われない想いを紛らわせるために、昨晩一夜限りの交友を持った相手、剛力爽丞(ゴウリキソウスケ)のものだ。




 /  / 初回 / 登場人物紹介 / 総合目次1,2 / ※専用P2



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