27.(9-3)鬼祓戦隊 節分(接吻)ジャー

「巫女殿、不甲斐ない事にこの有り様だ」
「っ…」
「そんな己の変わり果てた姿を巫女殿に晒すのは忍びないが、もう一度この目で美しい巫女殿の姿を拝めるとはな。良い日じゃ……」
「あの…、ここまで青鬼が手引きしてくれたんだ」

赤鬼は納得したと言わんばかりに深く頷く。

「そうか、アヤツも我がここに捕えられている事に気付いたか…。アヤツはちょっと頭の回転が悪いが、話しの分からぬヤツではない。我と同じく黒鬼の異質さも感じておろうよ。とはいえ、青鬼の差し金だとしても、巫女殿の意思がなければここへは参るまい」
「っ…」
「だから、それだけでも本望じゃ。満たされた。こんな風に成り果てても尚、活き返る思いぞ」

赤鬼は以前の艶やかさを彷彿とさせる笑みを浮かべる。

「執着の末に鬼と成り果てた我にとって、鬼界というところは実に居心地の良い場所だ。この牢から出られさえすれば、たとえこの身が干からびていようと、いくらでも再生できよう。護符で我の力を封じられているだけで、力そのものが退化したわけではないからの。そうとなれば、この手に巫女殿を再び抱く事もできよう」
「っ…」

“だとしたら、ここから出すか”というような表情を森木田がする。

「とはいえ、たとえ再生したところで同じだ。半人である黒鬼には太刀打ちできぬ。口惜しいが、我では力量不足だ」
「っ…」

厳しい現状に、二人一鬼、重い沈黙に包まれる。

「巫女殿…」
「な、何…?」
「我が覚悟を決めるためにも後生だ。枷は外さなくても良い。ここへ来て口付けをしてくれぬか?」
「っ…」
「嫌か? それとも、我が怖いか? 我は巫女殿だけは騙したりせぬぞ。いつでも誠心誠意。本心からの言葉じゃ」
「っ…」

怖くないかと問われれば、怖い。だが、嫌ではない。
どちらかといえば、目を背けた森木田に遠慮があるだけだ。
いつでも両者の板挟み……。
けれども、赤鬼は何の覚悟を決めるというのか?

「……し、死ぬつもり?」
「死? 似たようなものかもしれぬな」
「っ…」
「だが、それが我ら鬼達とっても、巫女殿達にとっても、一番良かろうな?」
「どういう意味? ワケが分からないよ」
「ふん…。そんなことより、巫女殿は我に口付けしてくれるのか? してくれぬのか? 我にとっては、それが今一番重要な事じゃ」
「っっぅ…」

口付け云々以上に、赤鬼が消えてしまうかもしれないことに躊躇いが生じる。

「お願いじゃ、巫女殿。お願いじゃ…」




次(9-4) / 前(9-2) / 総合目次1,2 / ※専用P2



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ばけもぐ

Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
尚、誹謗中傷、未成年の閲覧、画像の無断転用はご遠慮願います。


当ブログ目次↓
dreamtripbana.jpg

ランキング参加しています!
よろしければ応援お願いします!
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
人気ブログランキングへ


現在の閲覧者数:


おすすめトラコミ&サーチ
にほんブログ村 トラコミュ ボーイズラブへ
ボーイズラブ
にほんブログ村 トラコミュ BLイラスト・漫画・小説何でも書いちゃう!へ
BLイラスト・漫画・小説何でも書いちゃう!
にほんブログ村 トラコミュ 小説15禁・18禁(性描写あり)へ
小説15禁・18禁(性描写あり)






サイト
dreemtrip.gif

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新コメント
QRコード
QR