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15.澤木兄弟

 式さえ終われば、怜二と離れられると思っていた。
 けれども、不本意な事に共に帰途に就いている。

 というのも、式がつつがなく終わり、自宅のある東京にいざ帰ろうとしたところ、自分達の不仲を心得ている筈の母が啓一と怜二・二人分の帰りの新幹線チケットと相乗りでタクシーチケットを一枚、啓一に手渡してきたのだ。
 直ぐに、手元のチケットを恐る恐る確認した。やはり同じ号の並び席だった。

 いつもは帰省の折りに実家で怜二に出くわしても、帰りは別と決まっている。
 各々で行き帰りのチケットを手配しているのもあるが、母も二人に配慮して敢えてそれぞれの予定を知らせようとしない。

 だから、今回も当然別になると踏んでいた。

 それに、当初は自分でチケットを用意するつもりだった。今の時代、予約も変更もインターネットでとても簡単にできるのだから、自分で手配した方が早い。

 それを今回に限って母が頑なに「ついでがあるから、こちらで手配する。心配しなくて良いから」と言ってきたのだ。
 晴れの席での折角の申し出。それに敢えて水を差す必要はない。素直に甘える事にした。

 けれども、こんな事になるつもりではなかった。咄嗟に不平不満が出掛かったが、それよりも前に母に「そろそろ貴方達も仲良くしてね」と言われてしまった。
 今まで啓一達の事に一言も触れなかった母の本音。思った以上に衝撃が大きく、あれよあれよとタクシーに押し込まるまま、怜二と無言で名古屋駅に向かう羽目になった。

 到着したらしたで切符を配って一旦は別れたものの、未だに気は重く、落ち着かない。
 出発の時間までには一時間近くあったから、別の号に買い替える事も出来たのだが、それも何だか大人気がない。思いの外母の言葉が胸に刺さっているのかもしれない。
 それに、もちろん怜二は買い替える事無くそのまま乗ってくるに違いない。

(俺だけ過剰に意識していると思われるのは癪だ)

 変なプライドが邪魔をして、より一層買い替えるのを躊躇った。
 結局、何の手立てもなく出発時刻が迫まり、ホームにやって来ると、先に来ていた怜二が啓一の隣にそっと並ぶ。

「っ…」

 とても自然な成り行きに見えた筈だ。
 待ち合わせをしていたわけではないが、同じ顏造りした兄弟。ふとしたその動作や隣り合う姿が、他人の目からはそのように見えるだろう。
 怜二との馴れ合いなんて、ちっとも歓迎していないというのに。




 /  / 初回 / 登場人物紹介 / 総合目次1,2 / ※専用P2



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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
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