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21.澤木兄弟

 眉間に深い皺を寄せ、怜二からもらった包みに目を落とす。
 老舗デパート内や路面に立派な店を構える某有名ブランドのものだ。

「っ…、何でこんなもの……」

 中を見なくとも、高価なものだという事は分かる。
 引越しの挨拶にこんなものは相応しくない。どう考えても、常識範囲外だ。

「…………くそっ! どういうつもりだ」

 感情のままにソファーの上に投げ捨てる。
 けれども、一旦投げ捨てたそれが気になって、再びその包みを拾い上げ、しばしの間睨めっこをする。

 このまま中身を確かめずに放置しておくのも気味が悪い。そう自身に言い訳して、乱雑に包装を破った。
 何だか怜二の思うツボにまんまと嵌っているようで悔しい。
 だが、その包みの存在感があまりにも大きくて、気になって仕方がなかった。

「……っっっ、ネクタイ」

(どういう意味だ。俺に首っ丈だとでも言いたいのか? 開けなければ良かった)

 けれども、腹が立つ事に啓一好みの柄だった。
 実用的な内容といい、色やデザインといい、啓一を意識した上で買い求めたのは明白だ。

「何が挨拶だからだよ……。大体、単身アパートなんだから、心遣いもせずに済んでいく事だってあるだろ? しかも、大抵は五百円か千円程度のお菓子やタオルだっていうのに ………、っぅ!」

 こんなものを貰う筋合いはない。そっと箱を戻す。
 だが、もらえないと思ったものをクローゼットにしまい込んでしまうのには気が引けた。
 目に付くところに置いておくのも難だったが、部屋の隅に積まれた新聞の山に上に置き重ねる。
 それ以降は敢えてそれに目もくれないようにして、黙々と夕飯を済ませた。

   * * *

 怜二が隣に引っ越してきてからというもの、家に帰るのに気が重くて仕方がない。
 過去を考えれば当然の事だが、職場で寝泊りするわけにもいかない。仮に知人を頼って泊めてもらったとしても、精々一、二泊が限度。
 もちろん、社会人となった今、それを平日に頼むのは気が引ける。嫌でも家に帰らざるを得ない。

 だが、昨晩は残業がし辛い現状だというのに、悪足掻きして無理矢理会社に留まった。
 自分の席だけ照らすスタンドの光に、己の心の小ささを誇張されているようで、より一層惨めな気分になった。
 しかも、必要以上に疲れまで背負い込んだ。
 まったく何をやっているのかと、自分で自分を馬鹿らしく思う。

 それなのに、昨晩怜二は啓一よりも遥かに遅い時間に帰宅したようだった。
 啓一がアパートに着いた時にはまだ怜二の部屋に明かりは灯っていなかったし、物音が聞こえてきたのもそれから二時間も後の事だ。
 未だに無関心を貫いていて、怜二の職業も業種も知ろうともしないけれど、啓一の会社のように安定して早く帰れる仕事ではないみたいだ。




 /  / 初回 / 登場人物紹介 / 総合目次1~3 / ※専用P2



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Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
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