49.澤木兄弟

「啓一、迎えに来た」
「怜二……」

 見上げれば、ムッツリと不機嫌そうな怜二が立っていた。
 だが、その顔を見て、ホッと胸を撫で下ろす自分がいる。

「今、帰ろうとしていたところだ。だけど、お前、よくこの場所が分かったな」

 怜二は罰の悪そうな顏で押し黙る。
 けれども、言われなくとも何となく想像が付く。おそらく先程会った長瀬から情報提供があったのだろう。

(良かった。良い人に会って…)

 長瀬は機転の利く人だ。
 長瀬と別れてから二時間近く経っているが、直ぐに怜二に連絡してくれたのに違いない。

 ただ怜二の事だから、連絡を受けて直ぐにここに来たものの、啓一の顔を潰さないよう店外で辛抱強く待っていてくれたのではないかと思う。
 それがいくら待っても啓一が出てこない。ついに痺れを切らして中に入ってきた。そんなところなのに違いない。

 怜二は仕事では見せる事はないだろう、不機嫌極まりない面をして、筒井を睨みつける。
 啓一に比べ体格に恵まれる怜二が、無表情になると迫力がある。

 けれども、口調だけはやけに低姿勢だ。
 抑揚のないぶっきら棒な調子だが、怜二は筒井に「兄が世話になりました」と挨拶すると、テーブルに妥当な飲み代を置く。

「あぁ…、ナイトさまのお出ましか。これで二度目だ」
「っ…」
「邪魔された」
「っ……」
「まっ、強敵の出現に焦っている俺も、物事が上手くいかなくなる原因になっているんだろうけど、それでもこれはないよな? とことんツイてない」

 筒井は首を竦め、さも残念そうに呟く。
 けれども、手をひらひらとさせ、あっさりと啓一を解放してくれた。
 先程まではいくら帰ろうとしても、なかなか放してくれなかったというのに。

 筒井にとって、怜二の登場は相当分が悪いようだ。そうとなると、怜二は実に優秀なナイトといえる。

「じゃな、筒井。迎えも来たところだし、帰るわ」

 素直に怜二の手を取る。
 思わぬ啓一の行動に、怜二はぎょっと目を瞠る。先程までの激しさはどこへやら。見事な茫然自失ぶりだ。




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鍵※さま

鍵※さま、こんにちはです。
お兄ちゃんの元に迎えがやってきました。
(他のお話が激しい分、とてもまったり・ほのぼの~としたお出迎えに思えますけど。ppp)

筒井さんは、まぁ、前回・今回とチャンスでしたけど、ツイていない以前の問題;怜二がお兄ちゃんの隣に越してきた時点でほぼ勝敗が決まってしまったというか…。
残念な方です。
仮にこの兄弟が不仲なままだったら、プッシュに弱いお兄ちゃんですから、ひょっとして筒井さんとも御縁があったかもしれませんけどね。

でも、お兄ちゃんにとっては、これで一番良いところにおさまることになりそう。
めでたし・めでたしです。

といいつつ、リアが忙しくてーーーー。
ちょっと更新が滞りそうです。
昨日も書けなかった。

夏休みに入ったというのもありますが、公文の宿題をみたりするのに時間がかかって…。
応用問題、手強しです。1日分の宿題に4hかかった。
(英語も難なのですが、式を組み立てるのがね。すっかり忘れていますし、頭もかたくなってますし、子供も反抗期インしたところですし、もういろいろと~~。ww)
でも、今日も公文を一緒に頑張ります~~。
それで、お互いに頑張れたら、自由時間も出来るでしょうしね。
(鍵※さまの声も聞けましたし、なんとか時間を作るぞ~~!)

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ばけもぐ

Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
尚、誹謗中傷、未成年の閲覧、画像の無断転用はご遠慮願います。


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