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50.澤木兄弟

 それに構わず、啓一は怜二の手をぐいっと引っ張り店の外へと向かう。
 居酒屋のあった集合ビルを一歩出ると、外は大振りの雨が降っていて、じっとりと蒸し暑い空気が体を纏う。

「け、啓一! 相当酔っぱらってるだろう?」
「ああ、酔っぱらっている。この前程じゃないが、今日も沢山呑まされた」
「この前ほどじゃないって……、沢山………」
「だけど、ちゃんと歩けるぞ! 手も繋いでるし」
「繋いでるって…………」

 怜二は啓一に手を引かれているのが落ち着かないようで、キョロキョロと辺りに視線を彷徨わせる。口数もいつもより多い。
 だが、嬉しいのか、ほんのり頬が赤く染め、繋いだ手に力をキュッと籠めてきた。

「だけど、怜二、よくあそこが分かったな?」
「ああ…。長瀬さんから会社の携帯に電話が掛かってきた」
「なるほど……」

 やはりそうだ。長瀬は啓一と別れた後、わざわざ怜二に連絡を入れてくれたようだ。気が利く人だ。

「そうか、助かった。また礼を言っておいてくれ」
「……ああ」
「なかなか帰れなかったんだ。お前が迎えに来てくれてホッとした。来てくれて、ありがとう」
「…っっぅ」

 怜二はいつになく素直な啓一に戸惑う。それでも嬉しそうに破顔する。

 その後はこれといった話をする事もなく、一本の傘に身を寄せ合い、駅までの道のりを酔い覚ましがてら遠回りして歩いて帰る。
 大の男が同じ傘に入れば、肩がぶつかりあって窮屈だが、はみ出した肩が多少濡れようと、普通でない距離感も怜二となら全く気にならない。

 ごく自然で…。
 家族? いや、パートナーとして……。

 怜二は啓一に気遣って、傘を啓一の方へと傾ける。ならば、自分は怜二が少しでも濡れないようにと、もう一段身を寄せる。
 それで怜二が身をビクリと竦めたのだが、それがありありと分かるほどの近さだ。

 目線をやや上げ、隣を窺い見た。今は照れ臭そうな表情をしているが、男らしく落ち着い顔だ。
 そんな風に感じる程、自分はいつの間にかに年下で弟の怜二を心の頼りとしている。

(やはりそういう事だな?)

 ここのところずっと自分と向き合い、自問自答を繰り返してきた。
 それでも答えが出ず、悩んできたのだが、その答えは実に簡単なものだった。

 先日、長瀬に言われた事を思い出す。
 二重苦の恋愛。

 自分は禁忌を犯す事を躊躇い、兄としての・男としてのプライドが捨てきれず、真実にベールを被せてきた。
 けれども、開き直ってしまえば簡単だ。ありのままの自分の心が見えてくる。

(怜二が好きだからこそ、かつての事も許せてしまったんだろうな)




 /  / 初回 / 登場人物紹介 / 総合目次1~3 / ※専用P2



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Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
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