『澤木兄弟』番外b-4

「そこ、嘘でも否定して欲しかったけどな。でも、まぁ、無理か…。大体からしてナイトさまの訪問の時には、いつも帰り際にアイコンタクトを送り合ってるもんな。嫌でも仲が良いのが分かる。だけど、俺としちゃ、やっぱり妬けるよね」

 揶揄された通りだ。
 最近は、怜二が啓一の会社を訪問した際には必ず帰りに啓一のいるフロアーに立ち寄り、中をチラリと覗いていく。
 啓一もそれに気付くと、こちらに向かって相好を崩す怜二に視線を送る。
 もちろん怜二がやって来たのが内心ではとても嬉しいから、啓一の方も自ずと口元が綻んだ。

「まっ、俺だって分かるよ、脈なしだって事は。でもさ、これでも聞き分け良く見守り隊に徹しているんだから、ね?」
「見守り隊ね……。で、何? お前は何が言いたいんだ?」
「だからさ、見守り隊の俺としては、澤木を誘いはしても手を出そうとはしてないんだから、たまには俺の誘いに乗ってくれても良いと思うんだな。そういう話」
「はぁ……」
「歯切れが悪いね。そういうところ、澤木の悪い癖。物事はそんなに深く考えなくても…」
「相手が相手だけにな。俺も考える。というか、考えて丁度良いくらいだ」
「そうかな? そうでもないと思うよ。でも、まっ、断られても俺はへこたれないし、誘うのも止めないなぁ~。だってさ、見守り隊になっても、必要以上に俺を警戒するナイトさまは面白いんだよね。というわけで、これからも澤木にちょっかいは出し続けるよ。俺の楽しみだからね」

 いけもしゃあしゃあと。意地の悪い趣味だ。
 つまり、筒井はこれからも堂々と誘いかけてくるというわけだ。話をややこしくしてくる。

「俺をからかうんだったら、尚更帰れ。一銭の得にもならない」
「そうかな? 少々は得になる事もあると思うけど」
「ない。だから、帰れ、帰れ」

 ここに時々しか来ないとはいえ、怜二がひょっこりと姿を現す事がある。こんなところを見られて余計な誤解をされたくない。
 それに、筒井が用もないのに来るのは決まって怜二の訪問がある日だ。

「仮に澤木の得にならなくても俺の得にはなるんだから、帰りませんよう。って、澤木はまた用もないのに俺が来たと思ってるだろう? これでも一応、仕事の件で来たんだぜ」

 本当かどうか。

「お前と話していると、腹が立って仕方がない。何か気分が悪くなってきた」
「だったら、俺が介抱したる。甘えろ、甘えろ」
「余計に気分が悪くなる。やめろ! お前の世話なんか要らないし、仕事をしにきたんだったら、俺に構ってないで仕事しろ!」

 必要以上にじゃれてくる筒井に本格的に気分が悪くなってきた。
 しかも、魔が悪い事に、案の定、滅多と来ない怜二が通りかかった。

(ほら、言わん事ない。見られた)

 物言いたげな怜二の視線。完全に誤解している。




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