4.Nなしくずし

「何が行かないだよっ、行くんだよっ!!」
赤羽も必死なのか、先程のへこみはどこへやら、少々駄々を捏ねはじめる。
「いーやーだっ!! だから、何でお前と行かないといけない?」
「そんな・・・。つれない・・・・。俺達さっ、一夜をともにした仲だろ?」
「忘れろっっ。そんな仲など、もう! 忘れろっっ。いや、今すぐ忘れろっっ。」
「忘れられるかっ!! というか、何が何でも忘れてっっ、やーーらーーないっっ。だからな? 良いだろ? 今夜! 二人で飲みに行こうぜっ!!」

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なぬうぅぅっ! オノレはーーっっ。だから、行かぬと言っておろうが~~~っっ。
赤羽もしおらしく出ていれば良いものを、強気に出るものだから、直ぐに流されてしまう篤志の心も、流されるどころか掛け軸の鯉のように遡って攻めていく!
ゴオオオオオっっ・・・・!!

「赤羽?」
篤志はちょいちょいと呼び寄せる。
「行ーーーかーーーーなーーーーーーいっ!!」
「何で?」
何でって・・・・。
赤羽もなかなかに、諦めが悪いっっ。これでは、堂々巡りである。
ついとため息が漏れる。断るにしても、もっとはっきり辛辣に拒否しなければ駄目なようだ。

「お前の顔は、確かに超好みだ! お前が趣向替えするっつーなら話はべつだが、俺に突っ込んでやろうつーなら、願い下げだっっ! 一昨日きやがれっ!! 分かったな?」
「何言ってるっっ。俺はお前が好きなのっっ。本当にっ、たくぅっ!! 俺はあれ以来ずっとお前を探してあのバーに通い続けてんのにっっ。でも、こうして偶然にもこんなところで再会出来たんだっっ。これはもうっっ!!! 神のおもしべしっ!! 俺達、結ばれる運命っ!! だーかーら、今回こそ! 逃がさないっっ。」
今度こそ、はっきりきっぱり決裂宣言を述べてやったのに、おかしい。さっぱり効果がない。それどころか赤羽は”運命”などと、わけの分からない事まで持ち出してきた。
商談ブースの一角でひそひそとしているのに、かなりのお熱い攻防戦だ!

「赤羽?」
再び”顔貸せ”とばかりに、ちょいちょいと呼び寄せる。
「だから、なっ? お前の顔が好みだろうと、アノの相性が相当良かろうと、お前とは1回ポッキリだっ!! 俺は、なっ? 今後も趣向を替えるつもりは、全く持ってないっっ! よって、お前とはあの時点でも、今でも決裂しているんだっ!! 今度こそ、分かったな?」
もう一度しっかり念を押して、締めくくる。いや、締めくくったつもりだが・・・。

「だーーかーーらっ! こうしてまた縁があるんだ! お前とはアレだけの関係では、終わらないっっ。終わらせないっっ。お前も諦めて、今夜付き合えよっっ。上手い焼肉屋に連れて行ってやるからっ、なっ?」
焼肉屋か・・・。しばし食べていないっっ。
ななななっ・・・。そんな問題じゃないっ!! 本当に諦めの悪いヤツじゃなっっ。
あやうく懐柔されそうになるのを、すんでで思い留まる。

「お前の奢りでもっ、行くかっ!! もう!!! お前と話していても、時間のムダなだけだっ!! 俺はっ、帰るっ。中井と帰るっっ!!」
そんな篤志の台詞に、赤羽は中井の方を一瞥する。そして、何か納得した様子で口を開く。
「なっ、なっ! 何が時間のムダだよっっ。傷つくっ。それに、何だ? お前、性懲りも無くあのノンケの営業狙ってんのか?」
「・・・・・。」

篤志の無言の肯定に、赤羽はちぇっと舌打ちすると、先程までとは打って変わり冷淡に言い放つ。
「図星かよ・・・。確かにお前好みの、俺系派手派手パーツ美男だよっっ。でもよっ、やめとけっ!! ノンケ相手に恋愛しても、実のるもんはないだろ? どうせ、今も手をこまねいて見てるだけだろっ!!」
なななっ・・・・。だらだらだら・・・・っっ。
よくぞ! 言い当てました! ご名答!! またもやの図星です!

「そ、それがどうしたっ!! わっ、悪いかっ!! お前にゃ、関係ないだろ?」
「いんや、関係ある! 俺はお前に惚れている。 だから、お前の事は全て、関係ある!」
いっ、言い切るなーーっっ!
もはや、この話題! 篤志の方がどう見ても分が悪い。だから、篤志は心の中でこそっと軽く突っ込みを入れる。なのに赤羽は、これ見よがしにここぞとばかりに怖い事をのたまう!

「お前がさーっ、あの営業狙ってるっつーぅんなら、俺にも考えがある。どうだ? 俺が先に手を出してやろうかっ!! 俺は、例えあいつがノンケで無理矢理犯って、あいつに思いっきり嫌われようが、全く痛くも何ともないっ!!」
なっ!!! 何だって、怒!
もうもう怒り沸騰で、篤志の周りから地響きが湧き上がってきそうなくらい殺気だった貌で、赤羽を睨み上げる。目など、完全にイッている。
それに、もともと精悍な顔立ち! 篤志が怒気など孕ませたら、それはそれは凄まじい迫力っっ。鬼に金棒! そして、似合い過ぎるっっ。
さすがの赤羽も、篤志の余りにもの剣幕に怯む。

「な、な、な、な・・・。ならさっ、分かるだろ? お前が俺に付き合えよなっっ。食事だけで良いから、なっ? 奢ってやるから、なっ? なっ? なっ!!」
けれども、まだ信用できない相手に、眼光鋭くじろりと訝しむ。
「ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、絶対っっ。手、出さない! ああ、あいつにも・・、お前にも・・・。手、出しませんっっ!! だから、なっ? 良いだろ? 食事だけっっ、食事だけっっ。」

そして、赤羽のセコイ手段以外にも・・・。やはり、焼き肉の誘惑には弱かった!
 
「なら・・・・・、仕方がない。その代わり、本当の本当に! 中井には手を出すな!」
「OK! OK! じゃっ、決まりなっっ。そっちに時間合わせるから、連絡くれよなっ! ほら、取りあえず連絡先! ほらっ、携帯貸せっ!!」
ようやく了承した篤志に、赤羽は指きりの小指ではなく、抜かりなく携帯を要求する。
篤志は渋々ながらもそれに応じると、赤羽は慣れた手つきで連絡先交換を済まし、再び手元に戻してくる。
果たしてこれは、赤羽の粘り勝ち? 篤志の優柔不断体質? 何やかや言いつつ、赤羽の思惑通りの運びとなるのであった。

あーーーっ、あーーーーっっ。こいつにはやられたっっ。本当っ、やられたっっ。
うっ、うっ、卑怯なっ。
はぁ~~~っっ。

篤志はひとしきり呪詛を吐くと、二人の帰りを待つ中井の元へと戻り、生ぬるい表情のままの中井と共にSS社を後にするのだった。

   * * *




小説の進捗状況から、今回新しい挿絵はありません。すみません。

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