18.玩具の誘惑~トラウマ~(絵あり)

「何ですか?」
「・・・・・でもっ、やっぱり・・・・。言えない。」
覚悟を決めたはなから決心が鈍り、口が重くなる。
「言って下さい。お願いです。」
二村に切に願われて、その重い口をおずおずとだが再び開く。それに、言わなければあらぬ誤解も解く事が出来なければ、何も始まりやしない。全ての誤解の元は、ここにあるのだから。

「・・・・・うん。二村が言うように、その・・・。そんな本命の人なんていないし、信じてくれないかもしれないけど、本当に二村とが初めてだっただ。でも! ・・・・一つだけ、隠している事が、・・・・ある。」
「隠し事・・。」
「そう。誰にも内緒の・・・・・・。」

そして、またそのまま口籠ってしまう佳知に、二村は先を促す。
「何ですか? お願いです。言って下さい。」
とはいえ、その口調は咎め立てするというよりも、むしろその理由を知りたいと心から思っている分の方が、強いのかもしれない。佳知を見る二村の眼差しは真っ直ぐで、真剣そのものだ。

けれども、佳知本人とて思っていた以上に口が重く、いざ決意したものの、どうしてもそれ以上が言い出せない。
「・・・・・。」
二村は辛抱強く、佳知が語るのを待っている。
けれども、一度鈍ってしまった佳知の決心は、なかなか再び固まらない。だから、だんまりを決め込んでから、あっという間に数分が経ってしまった。それでも、まだ当分埒があきそうにない。
そんな様子に、二村は重い溜息を吐くと、ついに佳知のかわりに口を開く。

「大貫さん? そんな言えないような、後ろめたい事なんですか?」
「・・・うん、言えない。ちょっとやそっとでは言えない・・・。そんな事・・・・。多分、普通なら引く。いや・・・、引くどころか・・・・・。きっと二村も・・、軽蔑するような、そんな事・・・・。」

佳知は自分で言っていて、その自分の台詞に引っ掛かりを覚える。
・・・きっと二村も・・、軽蔑する
そこには真実が秘められている。
何故か、今になって二村にその事でさげずまれ嫌われてしまうのが、怖くて堪らない。
語るにせよ、語らないによせ、もはや二村との結末はさほど変わらないのかもしれない。けれども、まだどこかで同じ終わりになるとしても、決定的に酷く嫌われて終わるより、このままでいたいという思いが、どうしてもこの秘密を暴露してしまう事に二の足を踏ませる。

そんな佳知の気持ちを察してか、二村は今までと打って変わり態度を和らげると、咎めるのではなく諭すように、ゆっくりと頑なな佳知の心に語りかける。
「大貫さん? 俺は軽蔑なんて・・・、しない! たとえどんな事だって、大貫さんの事! 嫌いになんてなれない。大貫さんの事、愛してるから・・。だから、言って! 何だって受け入れられる自信がある。俺だけには、その秘密! 教えて!!」

こんな誠実で、何でも卒なく出来るような良い男! とても自分には彼を惹きつけるような魅力なんて、あるとは思えない。二村は一体自分のどこに惚れたというのだろう?
その信じがたい一言を、どこか探るようなニュアンスを含ませて、口が自ずとなぞる。
「愛してるって・・・・・。」

その言葉に反応した二村は、佳知の顔を両手で包み込むようにそっと挟むと、心持ち上向きにさせ、自分と視線が合う位置で固定させる。
二村・・・。
佳知の双眸に飛び込んできた二村の面持ちは、やはり真剣そのもので、思わずその表情にはっと息を呑む。

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「そうですよ! 分からないですか? こんなに醜いくらい嫉妬して、独占欲丸出しで・・・。余裕なくって、あなたに絡んで、追いつめて・・・・。みっともないったら、ありゃしないです。けど、・・・・・。そうだと分かっていても、あなたには必死じゃないといられないんです。だから・・・。大貫さんの事、好き過ぎてるって、分かるでしょ?」
そんな対面も気にせぬ告白を受けながらも、佳知は往生際悪く、まだ否定的に返してしまう。

「でも、俺・・・。男だよ? 二村に・・・。そのっ、愛してもらえるようなヤツじゃない。臆病だし、狡いし、何やっても空回りばかりのダメ男だし・・・。釣り合わ・・。」
そんなのだから、二村は佳知の言い分を遮り、自分の考えを割り込ませる。

「男だからって、どうっていうんですかっ!!! 好きになったもの、仕方がないじゃないですか? 良いですか、大貫さん? 人を好きになるのに、理屈とかそんなの関係ないんです。俺が自分で言うのもなんですけど、結構自分は何だって卒なくやりこなせるタイプだと思うんです。けど、大貫さんには、本当・・・、全くダメなんです。こんなに取り乱して、恥と分かっていても、絡んで縋らずにはいられないんですよ? こんな・・・、自分を失ってしまうような恋!したの、大貫さんにだけなんです!! もしかしたら、一生に一度の本気の恋かもしれない。だから、他ではダメなんです。本当・・・・。大貫さんにフラれたら、・・・・立ち直れないです。」

二村も相手の気持ちまではどうしようもなく、最後の方は駄々捏ねだと承知で言っているのか、心持ち声の勢いが弱く小さくなる。
さすがに外聞も恥も捨てて体当たりされれば、本当のところ! それに比べたら、佳知の秘密を明かす事なんて、大した事じゃないのかもしれない。
やはり、弱くて狡いのは自分・・・。

だから、今度こそ! 佳知の腹も、しっかりと決まる。

「二村・・・。分かった。秘密、今度こそ・・、明かすよ。見てもらった方がすぐに納得がいくと思うから、それがあるところについて来て。でも、そのかわり・・。俺だって背水の陣で、秘密の中でも本当にトップシークレットな事だから・・・。」
「分かってます! 誰にも言わないし、馬鹿にもしない。俺だけの心の中にしまっておきますから、安心して教えて下さい。」
佳知は二村のその誠実な誓いに微笑を返すと、「じゃ、こっちに来て!」と促すのだった。

   * * *




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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
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