3.ニアピンな腐れ縁

「まっ、子供の頃から、いろいろと・・・」
折角はぐらかして告げたというのに、関心が高まっている女の子達としては、それでは納得しない。食いついてくる。

「いろいろと?」
「そう・・・・・」
押し黙る二人に対して、尚も追及の視線を投げかけてくるから、堪ったもんじゃない。だから、どうでも良い悠誠との事を語る羽目になる。これを話し出したなら、二人にとってちょっとした火種になりかねないと、十二分に分かっているというのに・・・。

「一番近いところだと、大学時代クラブの練習場が隣だったっていう事かな・・・」
「クラブ? 桐山君はアーチェリーやってたんでしょ?」
「そう! 1部リーグのバリバリ体育会アーチェリー部!!」
悠誠は今までのどうでもよさげな態度を一変させて、わざわざ声を大にして当て付けのように“一部リーグ”と付け加える。

むかっ!

だから、結弦の闘志に火が付く。
「何がバリバリだ! 大して変わらんだろ?」
「変わらん? 十分変わるだろっっ。同じ体育会に名を連ねているとはいえ、お前のところは3部リーグ! アーチェリー部と弓道部とでは、格が違う!!」
「なっ!!!」

しばしの言い合いになるかと思えば、悠誠はすぐ様結弦ぐうの音も出なくなるような嫌なところを刺してくる。
確かに悠誠の言う通り、リーグの成績の違いもあって、アーチェリー部と弓道部では待遇の方も格段に違った。
それこそ悠誠の在籍していたアーチェリー部は、合同練習等に使用していたホームグラウンドの第一アーチェリー場の他に、個人練習用として忌々しくもゴルフ部打ちっぱなし練習賞、弓道場と並んで、第二練習場を有していた。

とはいえ、弓道は半建物が必要だから、その分その設備建設費の違いの差だと、当時は思うようにはしていたが、部活に支給される活動補助費用は異なった。
悠誠にそう言われても、ある意味仕方がない事だった。
だから、上手い切り替えしの言葉も思い浮かばず、ただ苦虫を噛み潰す。
けれども、そんな結弦に女の子が気を遣ってなのか、救いの手を差し伸べる。

「へ~~っ!! 棟方さんって、弓道部だったんだ~~~。似合う~!!」
その一言に場が一気に和んでいく。
だから、今度は悠誠が苦虫を噛む番となる。
けれども、心情的にここは“ありがとう”なのかどうか、微妙なところだ。あまり自分の事を言われたり、根ほり葉ほり聞かれたりするのは、好きじゃない。苦手だ。
やはりどう答えて良いか言葉を失う結弦に、悠誠がここぞとばかりにまたもやカチンとくる爆弾を投下してくる。

「お前ら、袴姿に騙されるなっ!! オーケストラ部やブラバン部が文化系クラブの中の体育会なら、弓道部なんて体育会の中の文化系って言われているような、甘いっちょろいクラブなんだから!!」
なっ・・・・。

だから、消えかけた結弦の闘志が再発火する!!

「そりゃ、イメージだけの話だろ?」
「あ? お前んとこは合同練習の前のウォーミングに、毎回10kmのランニングしてたのかよ?」
「しない。けど、俺は自主的にそれくらいの距離を毎朝走ってた。そもそも練習なんて、個々のやる気に委ねている!! だから、立練(合同練習)や試合以外に3日以上100射以上のノルマはあっても、やる気のあるヤツは毎日自主的に練習にきて、それよりも遥かに多い練習量をこなしているっっ」

「なら、俺らのところは、先輩の話を聞く時は円陣となって、皆爪先立ちだぞっ!!」
事の発端は女の子の興味本位の質問だったが、徐々に二人だけでの、子供同士の喧嘩のような低レベルな言い争いとなってくる。
「はっ? そんなものっ!! 当然、正坐だ! 例えしびれたって、崩さず耐えるんだ!! それに忘れ物もそそうも、2立(タチ)の間後ろを向いて目を瞑って正坐だ!」
「修行僧かっ!! だから、お前のところは古臭いっつーんだ!」
「修行僧で、結構!! 古臭いついでに、コンパは毎度外で一列になって先輩お出迎えに、一気呑み! そして、返杯返上禁止にして、最後はOBとエール交換に応援歌熱唱! 三本締めに限るだっっ」

すると、今度は悠誠が頭をポリポリと掻きながら、語気を弱めて「それは、うちもだ・・」と賛同する。はっきり言って、内情はどっちもどっちなのだから、仕方がない。
けれども、収まりかけたと思った争いも、次の瞬間にはまた直ぐさまヒートアップする。

「アウェイに行く時なんて、うちは近けりゃ道具担いで、走るぞっ!!」
「そんなの急にしてどうこういうものじゃないから、歩けば良いだろ?」
「だから、軟弱弓道部なんだろ? 勝負には意気込みは重要だ!」
「別に軟弱じゃない! 冷静にゆったりとした心構えでいる事も重要だと言っているんだ! 言っとくが、弓道部のが硬派だぞ! 県大会などは、駅から道場の角に1年が立って、先輩、もしくは応援に来て下さるOB・OGの皆様をお出迎えだ! もちろん、道中は学ラン着用義務だ!」

「そ、それは・・・・、ダサいっ。応援団じゃ、あるまいし・・・」
「悠誠! お前も出陣式には、着てただろうがっっ」
「ああ、うちの高校はブレザーだったのに、本当っ!! 良い迷惑だよな・・・」

確かに、海王子高校だった結弦と異なり、悠誠の出身高校の宝聖学園の制服はブレザーだった。
けれども、イケメンは何を着ても様になる! 悠誠も男の自分でも惚れ惚れとするような、板についたような学ラン姿で、常日頃軟派だと馬鹿にしていたのに、その晴れ姿に見直したものだ。

それに、悠誠は“ダサい”と言い持って、その語り口調はどことなくしみじみとしている。実のところ、悠誠もその古臭い風習に満更ではないのかもしれない。
そして、二人は余程大学時代が懐かしいのか、女の子そっちのけで熱い体育会話題に盛り上がり、水をあけようとしない。

二人は仲が良いのか、悪いのか・・・。全くもって、分からない。

けれども、そんな二人の関係。それは、大学当時のあの頃から、ちっとも変わらない。あの頃も、二人がかち合うといつも、こんな感じで言い争ったものだった。

   * * *




注意;只今、作者の趣味に走った内容となってます。笑
ちなみに、男子の学ランに対抗する女子のアイテムは、セーラー服ではなく、紺ブレ(紺のブレザー)です!
そして、応援歌は校歌とは別にあります!

エール交換のイメージをあげました。よろしかったら、覗いてみて下さい→ 

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Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
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