16.生徒会長は俺のモノ!

そして、放課後!

昌之には悪いとは思えど、生徒会の仕事も、漣との約束もほったらかしで、昌之の後を付けていく。
けれども、やはりそんな時に限って、間が悪い!

当然の如く、寿を迎えに来た漣に見付かり、首根っこを掴まれる!

「おいっ、あんた! 俺との約束をすっぽかして、どこへ行く?」
「はっ? 何だ、お前か! 緊急事態なんだ。静かにしろ!! 昌之に気付かれる!」
“何だ、お前”呼ばわりされただけでも不服なのに、その緊急事態が寿の密かなる思い人昌之に依るものだと知らされれば、より納得もいかない。

そもそも自分との約束なんて、あって無いようなものとはいえ、これだけ邪険に扱われれば、強い漣の心もその打撃にまたも打ち破られる。
シクっと胸の痛みを抑えるも、悲しいかな! 傷を与えた当の本人は、漣の方などチラリとも顧みないで、何食わぬ顔でその思い人へと意識を集中させている。

やってられない!

だから、漣もあからさまに表情をむっと苛立たせる。そして、負け惜しみとは分かっていても、こんな言葉の一つや二つを吐かずにはいられない。
「あっ? あんた、俺のモノになったというのに、まだ千田さんを追っかけてるのか?」
けれども、その漣の毒付きに返ってきた言葉は、これまたシビアなものだ。

「1回ポッキリで偉そうに言うな! あの時は、俺も流されただけだ。そうだろ? だから、何度も言うが、お前のモノになったつもりなんて、全くないぞ!!」
忌々しい事に、入れなくとも良い訂正をきっちりと入れてくる。しかも、そんな寿のシビアな言葉はそれだけに留まらない。

「それに!! 俺にとっては何よりも大事な大事な昌之の事だ! 何かありそうだというのに、このまま放っておけないだろ?」
人の気も知らないでこんな事まで言ってくるのだ、始末に置けない! 本当、堪らない・・・。
だから、より一層漣は不貞腐れる。けれども、やはりそれだけでは起きた癇の虫も納まらない! 意地悪にだってなる。

「あんた、それ以上可愛げのない事を言ったら!! 大声出すぞ!!!」
漣としては、本当のところは公開キスに持ち込んで、敢えて周知の事実として、校内の者全てに自分達の仲を認めさせてやりたいところだったが、やはり寿にこの前拒否されたのが相当に堪えていて、さすがにそこまで強気に出る事も出来ない。
それに悔しいが、何と言っても寿の意に解さぬ事までは、やはり出来ないのも事実だ。

けれども、思いの外! この脅しには絶大な効果があった。
寿は「へっ・・・」と二の句を詰まらせると、それ以上は何の言葉も続ける事無く、只々押し黙ってしまうのだった。
けれども、それは暗にある事を物語っている!!

寿にとっては、余程この昌之の事が大事と見られる。

だから、漣としてはより大きなため息の一つでも吐かずにはいられない。
何とも苦々しく悔しいものだが、今はまだそれで仕方がない。只々、この状況を甘んじて受け入れると共に、耐え忍ぶ他ないのだ。
やがて寿が昌之のへ思いが叶わぬものと自覚した時に、自分を頼ってくれれさえすば、それで良いのだ。

やはりどうしても惚れた身は、弱いのだった。

とはいえ、そんなやり取りをしている場合でもない。
漣の台詞に動揺を見せた寿の視界を離れ、昌之が目下廊下を奥へ奥へと突っ切っていく。
だから、咄嗟にこんな台詞が出てくる。
「おいっ! それより、そんな憎まれ口などばかり叩いていると、肝心な千田さんを見失うぞ!!」

その言葉に寿は慌てて周囲を見回す!
けれども、既に先程までこの辺りをうろついていた昌之の姿は、もうどこを探しても見当たらない!
それでも念のため、必死に目を凝らし、再度辺りをキョロキョロと見渡す。だが、やはりそれらしき影一つ見当たらないのだった。

「千田さんなら、さっきその奥の保健室に入っていったぞ!!」
寿の動揺振りに、漣は仕方なしに自分が見知った昌之の行先を教えてやる。
けれども、これは漣にとっては甚だ不都合な事だ。だから、どうしてもその口振りが不機嫌となるが、致仕方がない。

漣とて、そこまで“人間!”出来てはいない。

けれども、寿は素直に驚きと感謝の念を表す。
漣とは昌之を取り合った手前、その話となれば、いつも漣は芳しい顔を見せない。それが今! 実にあっさりと昌之の所在を教えてくれた事に、寿は只々驚かされるばかりだ。
しかも、そんな驚きのあまりに漣の顔を凝視し続けていると、照れくさそうにふいに視線を外される。
だから、尚の事! そんな何故か照れくさそうな様子に、驚く!!!

一体、こいつはどうしたんだ?

“鈍感”とは、本当に罪づくりな生き物だ!
こんなストレートとも思える男の恋心を解さないのだから、非常に手が焼ける。
とはいえ、“鈍感”に付ける薬も、やはりないのだ。

そして、蓮はそんな照れくさそうな様子であっても、寿にしっかりと釘を刺す事は忘れたりしない。
年下でありながら、伊達にこの寿とタイマンを張っているだけはある! 本来なら、漣は抜け目のないタイプに属しているのだから!!

「だが、分かってるか? それであんたが中に割って入っていって、何を知っても俺には責任は取れないからな!!」
そして、この漣の口ぶりからして、いつも身近にいる寿以上に、昌之に関する事柄についての何かを掴んでいる事は確かで、寿はその事実を悟ると共に、胸の内だけでこそっと臍を噛む。

何とも・・、敗北感を味わらされる事か・・・。

けれども、漣の方としては、やはり並々ならぬ複雑な思いがある。
思い人に関する事なら何でもと、網を張り巡らせていたら、自ずと耳に入ってきた情報だった。だから、それは仕方がないにしろ、その事を寿に知らしめるのには、寿の事が好きだからこそ迷いも生じる。
だから、寿に突き放すようにそう忠告しておいて、気が咎めてくる。すると、どうしても先程とは一変した覆したような意見を言い始めてしまう。

「でも・・・。やっぱり行くな!! 俺はあんたが傷付くところなんか、見たくない!!」
こんな漣の言い方は、まるで寿に縋っているかのようだった。
だから、この時ばかりは猛獣のような大きな漣も、可愛らしい野兎に見えるから不思議だ。

とはいえ、寿の脳内はまだまだ漣以上に昌之の比重の方が高い。

自分の意見を一転二転させて、「けど、あんだがどうしても行くっていうなら、俺も・・・」などと、まだぶつくさと主張し続けている漣をあっさり放って、奥の保健室に一目散に向かうと、そのまま寿はドアに貼り付き中の様子を窺い始めるのだった。

すると、貼り付き早々! 中から校医の内館と驚くほどに切羽詰まったような昌之の会話する声が、漏れ聞こえてくる!!




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Author:ばけもぐ
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傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
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