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19.ニアピンな腐れ縁

悠誠のとんだ思いつきに付き合わされ、すっかりへとへとに疲れ果てた結弦は、ベットの縁にぐったりと背を持たれかけさせ、ぼんやりとTVの画面を眺めている。

本当に・・・。悠誠に自分の精力を根こそぎ奪われた感じだ。

とはいえ、既に湯船に浸かりさっぱりと身を清めた結弦は、身を寝巻に包んでいる。後もう!! 自分の後で風呂に入った悠誠が先程上がってきたから、悠誠の支度が整えば、共に寝床に就くだけだ。

何やかんやと言っても、仲の良い二人である。

あの恋愛には一歩引いて冷めた部分のある結弦が、こうして悠誠を待つんだ! 凄い事である。
とはいえ、それは悠誠がすっかり結弦を抱き枕のようにして寝るのが通常化したためというのが、最大要因かもしれない。

あの男は!! 寝る時でも一緒でいたい程に、結弦を慕っているのだ。

けれども、大の男二人! 今までの寝具なのだから、寝れば当然狭い! だから、結弦も“寝る時くらいは、ゆったりしたスペースで寝たい”と、一言進言すれば済む事だ。それなのに、やはりそれを許してしまう結弦も、相当に甘いといえた。
今も自分の傍らで、悠誠が鼻歌交じりに、頭をガシガシとタオルドライしている。寝支度が整ったら、言わずもがな! 今日も一緒に寝る気満々だ。

けれども、そうは簡単には、就寝前の最後の時間をまったりとは終わらせてはくれない!!

こんな折に、大学時代の弓道部の同輩で、副将を務めた唐澤から、タイムリーにも電話がかかってくる。
卒業後も友好があって、さして珍しい相手でもないのだが、さすがに先程の変わり種プレイ“胴着でH”の後だ! 少ながらずその後ろめたさに、気が咎める。
そして、その動揺のために、いたずらにその着信音を室内に轟かせる。

そうだから、悠誠が結弦がまごつく間に寄ってきては、その携帯の画面をしげしげと覗きみ、そこに写し出された名前表示をしっかと見定める。
すると、誰からの電話かを察した悠誠の表情が途端に、陽気なものから一変して険しいものとなる。

大学時代の悠誠と唐澤の間には、どうも剣呑とした空気が流れていた。結弦とて、それくらいは心得ている。
結弦と悠誠の関係も“犬猿の仲“と称して良いような、顔を合わせば何かと噛み付き合ってばかりの、決して人に誇れはしないような良好といえぬ仲だったが、唐澤と悠誠のそれよりは随分マシだった。

どうも二人は根本的に相容れない性格なのか、互いに毛嫌いしては、口も聞かなければ、目も合わせないといったような殺伐としたものだった。
とはいえそれは、悠誠の方から見れば、単に元々の気質の不一致というだけには納まらないものだった。

そう! 唐澤こそが、悠誠が言う同様に結弦を邪な目で見ていたという、その張本人なのだった!

けれども、結弦はそんな事など気付きもしなければ、未だに想像だにしていない。
そうだからこそ、結弦としては、二人の不仲は絶対的な本質のものなのだと、勝手に決め込むに至っているのだった。

しかしながら、いくら悠誠と唐澤が不仲だとしても、無下に唐澤からの電話を無視する事も出来ない。

唐澤は国家公務員試験を受け、卒業後消防士として働いている。職業柄、どうしても交代勤務を強いられ、勤務体系は不規則だ。
だから、もし電話に出ないで後で掛け直すような羽目となるならば、いつ電話して良いものやらと、気を煩わしかねない。
それに、唐澤との電話に後ろめたい話など全くもってないのだから、悠誠に遠慮する謂れもない。

だから、ここは敢えて電話に出る事にした。

「もしもし・・・」
『ああ、棟方! 久しぶりだな? 遅くに悪いが、今良いか?』
電話口の唐澤の声は、いつもより少し高めで嬉々としている。これも結弦を慕う所以なのだが、やはり鈍い結弦にはいつもどおりの唐澤だとしか認識し出来ない。

「ああ、良いけど、何?」
『これといった用でもなかったんだが・・・。近頃はどうかと、ちょっと声でも聞こうと・・・、思ってだな・・・』
唐澤には珍しい程の歯切れの悪さでもって、しどろもどろと答えが返ってくる。

「えっ? 声?」
だから、あまりにもの不鮮明さに、こちらもついと聞き返してしまう。
一方、悠誠は結弦の返答に苛々を募らせ、携帯を奪いかねない勢いで、唐澤の一言一句がはっきりと聞き取れるくらい間近まで、顔を近寄せてくる。
話し辛いったら、ありゃしない!
けれども、そんな事など知らない唐澤は、未だにしどろもどろとなりながら言葉を紡いでくる。

『いや・・・、仕事の方とか生活とか・・・・。変りはないかと思ってな?』
「別に変りはないが・・・」
唐澤としては“恋人”でも出来てやしないかという探りだったりするのだが、いかんせん!鈍い結弦としては、唐澤の言葉を額面通りにしか受け取らない。
だから、当然の事! 就職して間もないのだから、余程でない限り転職などする訳もないと、おかしな事を聞くものだなどと頭を傾げる。

『そうか・・、そうか・・。それなら良いんだ・・・』
「お前の気遣いは嬉しいが、一応のところ仕事も順調にやってる。お前の方こそ・・・」
けれども、唐澤は話題を自ら振っておいて、突如妙案でも思い浮かんだとばかりに、結弦の話の腰を折って、言葉を途中で割り込ませる。

『ああ、そうだ! 棟方! 今度の金曜、非番なんだ! 会わないか? 食事でもどうだ?』
「食事・・・」
唐澤の誘いに、悠誠の眉が剣を孕んでピクリと跳ね上がる。その顔つきも、より一層の事に険しさを増しさせている。
しかも、自分ずっしりと重い体重も忘れ、結弦の身に乗り上げるようにして、詰め寄ってくる。

やはりの事に、悠誠の心はこの忌々しき一大事に、すっかりその余裕を奪われてしまっているのだった。




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テーマ : 自作BL連載小説
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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
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