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26.ニアピンな腐れ縁

日々を忙殺している間に、あっという間にOB射会当日がやってきた。
悠誠にはこの日曜日に射会がある事は、当日の今の今まで内緒にしていたのだが、案の定!昨晩も結弦の住まいに居座り泊まっていった悠誠に、朝になり時間が差し迫っていた事から仕方なしに出かける準備をし始めた事で、今日射会に出る事がバレてしまった。
そして、その後は散々の抵抗を受けた末、何とかその悠誠を振り切って、大学へとやってきたのだった。

結弦出身のこの母校は、前期に行われる県大会、地区大会が終わって一息ついた夏休み前の週末に、OB・OGを呼んで、射会を行っている。
年1回の行事とはいえ、大学祭やコンパとは違い、弓を通して行われる先輩後輩の交流会であるこれは、一味異なる絆が深まる良きイベントだ。
とはいえ、弓道というものは毎日引かないと引けなくなるものだからして、射会自体に参加するOB・OGは限られてくる。例えば、現役学生との窓口となっている各OB・OG学年代表の者や、日頃から試合応援やコンパ等で懇意に関係がある者くらいで、この射会のためだけにわざわざ数週間前から練習をして参加してくる具合だ。

とはいえ、結弦や唐澤などは学年代表窓口となっているわけではないが、卒業してから日が浅く、まだ現役生に現役時代共に練習し戦った後輩が在籍しているため、振るって参加を決めたのだが、参加する意味合いも実に大きい。
というのは、他の大先輩とは異なり、単にこの弓道部を盛り立てるというだけではない。
結弦達が参加するとなるならば、かつて共に戦った尊敬し慕う先輩と久々に間近で射を交えるため、より中心選手となっているメンバー達に良い緊張感を与える事が出来る。
ゆえに、今後の全国大会、秋のリーグ戦に向けて気が引き締まり、士気が高まるというものだ。

それに、何より自分達が抜けた穴も気になる。後輩たちがその後どれだけ成長したか見てみたいというのも本音だ。
そして、もし逆にスランプに陥っているような事があったとするならば、助言の一つでもしてあげたいというものだ。
それで、辛いスランプから抜け出せれば、後輩にとっても、弓道部にとっても益がある。

そして、もう一つ気になる関心事といえば、新入部員の顔ぶれだ。
期待が持てる後が出来たかどうかを見極めるにも、新たに入った新入部員の弓を引く姿も直に間近で見る事が出来るのは実に意義のある事だ。
というのも、学生弓道というのはどうしても4年というスタンスしか持ち合わせないため、生徒次第でその実力がころころと様変わりする。特待生を入れている有名大学なら兎も角、勉強の出来で入学してくる結弦の母校のような場合、今後の弓道部の発展・活躍を大きく左右する事柄だ。
もちろん、成長出来る後輩作りも大切な事だが、はっきり言って即戦力は気になるところなのだ。

こんな感じで今もこの大学学生弓道部に甚だ深い愛着がある結弦なのだった。

結弦と唐澤が胴着に着替え、弓道場までやってくると、道の両脇に整列した現役学生らに出迎えてくれる。
これは体育会ならではの習わしだが、される方は少しばかり気恥ずかしさを感じる。
それでも、主将の号令に従って挨拶を交わす凛とした様子に清々しさを感じ、雑然とした日常に取り忘れているこうした程良い緊張感に、結弦の気も引き締まり、新たな活力が湧いてくるようだ。

そして、柔軟体操、ゴム弓、素引き、巻き藁などのウォーミングアップをした後、共に神棚に礼拝をし、射法訓を読んで、会を開始させる。

とはいえ、本日の射会はお遊び射会! 実際の的を打つわけではない。

この日は従来の的の代わりに、安土(的を立てるためのやや傾斜のある土盛り)に風船を余すところなく敷きしめての射会なのだ。要はOB・現役学生対抗“風船割り大会”なのだ。
というのも、先にも言った通り、現役学生と異なりOB・OGは頻繁に弓道を行う生活をしていない。ゆえに、その練習量の差が表れにくい形での試合というわけなのだ。

結弦だってその条件は然りで、現役時代使用していた弓より2ダウンもkg数を落とした弓を使用している。
その点、唐澤は日頃から鍛錬を積んでいるからか、現役時代と変わらないものを使用しているから、凄い。
やはりデスクワークと体を使ったロードワークをしている者とは、その基本的資質も異なってくるのだろう。天晴な事だ。

その後現役学生に華を持たせ現役生の勝利で幕を閉じると、またも体育会ならではの習わしで、OB代表と現役主将とでエールを交わし、一本締めをする。
そうしてその後はOB、現役部員が一緒に弁当チェーンの弁当を食べ、解散となるのだが、やはり生きていくには欠かせない“食”を通じ交流すると、過剰な程に強固だった垣根も低くなり、多くの先輩後輩が打ち解け、今回も実に実りある良い交流の場となった気がする。

けれども、結弦と唐澤は射会自体は終わったとはいえ、それだけに留まらず、その後も現役学生の自主練を見てアドバイスを送るなどしていく。
そして、ようやく大学構内を出た時には、時計の針はゆうに4時を超えたところを指していた。

それでも一番陽の長い時期だ。唐澤は結弦と別れがたいといった様子で、“場所を替えてもう少し話そう“と強く誘ってくる。
そこまで強く誘われると、やはり無下には断り切れないものがある。大学近くのカフェチェーン店に入る事にした。
やはり、悠誠が言うように、こんなところに“押しに弱い一面”が出ているのかもしれない。

だからか、悠誠に対し何だか後ろめたさを感じてしまう。

しかも、不思議に思えるのは、悠誠と異なり男同士でこういった店に入り過ごすのに、目一杯の違和感を感じてしまう事だ。やけに居心地の悪い気分となり、何だか持て余してしまう自分がいる。

悠誠と唐澤! 人間性の違いなのか、何なのか?

それでもそう思っているのは結弦一人だけで、唐澤の方は全くそんな様子も感じられないどころか、やけに浮かれた感じだ。
気の性ではないから、より一層ため息も出てくる。唐澤には気付かれぬようこそっと吐くのだった。




予備知識;弓のkg数について
これは弓自体の重量ではなく、引くのに要する力の事で、軽い弓は矢が山なりに飛び、重い弓を引けば引く程、速度・威力のある直線的な軌道の矢を射る事が出来ます。
だから、弓自体の太さもkg数が上がれば、バネの反動を大きくするために、太くなる傾向があります。

ちなみに、私の記憶では、うちの大学の女子は未経験者は初め、7、8kgから引き始めました。そして、徐々にそのkg数をあげてゆき、団体戦に出場するクラスの人で13kgあたり、個人戦onlyの人で11kgあたりを使用してました。男子は女子に+2,3kgしたくらいだったと思います。

弓道の場合は、カケや矢などの道具購入はさほど難はないのですが、メインの弓自体が熟練の度合い、練習量や経験、そして掌の大きさによって、それに合わせたものになるため、my弓を持つのは大変です。私が思うに、1本2本じゃ難しい。(でも、そんな事を言ったら、テニスだって試合に出る人はガットが切れるといけないから、同じラケットを2,3本持ちますよねっっ。笑)
だから、私は在籍中ずっと借り物でしたっっ。
ゆえに、結構卒業時に防水カバーや弓を在校生に贈るんですよっっ。他は的枠とか巻き藁とかですかねっっ。

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テーマ : 自作BL連載小説
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