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45.宝珠に夢

イセリーニエは、マリオンの問いを受けて、深々とした思いため息を吐き掛ける。
闘いに於いては、情け容赦が仇になる事は十分に分かっている。けれども、イセリーニエ達の心情はそれとは別だ。

だから、苦肉の策とはいえ、時間稼ぎをしてでも、罪のない住人達との闘いは極力避けたいところだ。

イセリーニエは壮大な魔方陣を開くと、片手を地へと押し当てる。そして、一思いに地に力を注ぎ込む。
すると、地響きとともに地盤が高々と隆起し、背後の図書館諸共4人と村人の間に隔たりが出来る。これでは、能力者でない住人達はここまで登る事すら出来ない上、4人のいる岩盤の上はあまりに高く、槍や弓矢等でも報いる事は出来ない。

ゆえに、一時凌ぎとはいえ、一先ず彼らとは闘わずに済ませる事が出来るものだった。

このように、イセリーニエは空間を捻じ曲げたり、相手の能力を奪い取るだけが、持てる能力ではなかった。そういった能力は単にイセリーニエに与えられた突出した能力というだけで、元々備え持つ能力もいろいろと有していれば、それに加え奪い取った能力を自分のものとして用いる事が出来た。
だから、その能力の幅も年々と広くなりつつあり、今はその中でも造形魔法の類を用いたまでだった。

「マリオン! 取りあえず、ここで策を練るのが良いと思われる。けれども、緊急事態である事には変わらない。だから、今のうちに出来るだけの情報を掻き集めるのは、必要不可欠な事だ。どうだろう? 二手に別れて・・・・・。マリオン、お前はタカラッシュについて、この図書館の中へと入ってくれ! 私とミュルゼンはこの場に残り、取りあえずの他の能力者達の攻撃を食い止めながら、次の秘策を考える事にしよう!!」
「ラジャーっ!! それで良い」

マリオンは、イセリーニエにウインクを送って寄越す。何とも、マリオンらしい仕草だ。差し迫った事態だというのに、場が和む。
そして、タカラッシュの方も、それに続いて“異論はない”という風に頷く。
だから、そうと決まれば後はもう、限られた時間の内の事だ! 二人はイセリーニエの元を離れ、足早に図書館の中へと進んでいくのだった。

とはいえ、油断はならない。図書館自体を上に上げたものの、この中にもギルドの住人達は残っている筈だ。
けれども、マリオンならそれを上手くやるに違いない上、タカラッシュも自分に与えられた役割を必ずやこなしてくるに違いない。無事は祈っても、心配は要らない。
イセリーニエはそう信じ、厚い信頼を二人に寄せるのだった。

だが、その一方で、やはり事態は変わらない。
問題を先送りにしただけで、解決したわけではないし、ここで自分達がどれだけの情報を得られるのかも分からない。
ただ今は、次の事を考えつつ、出来る限りの最善を尽くしたまでだ。

だから、こうしている内にも、挑んでくる能力者が壁を登ったり、自分の能力を活かして、イセリーニエらの元へと挑んでくる。
数は多けれど、どれも大した相手ではなく、辿り着いてもイセリーニエに能力を奪われたりなどして、敵いもしない。
だから、これにはイセリーニエの方も大した能力を使わずに済み、考える時間を得られるだけでなく、ミュルゼンにも影響は及ぼさずに済んでいる。

とはいえ、どこから湧いてくるのか、次々とイセリーニエの元へとやってくるのだから、埒は明かない。
敵いもしない筈なのに、彼らはそんな事に臆する事もなく、挑んでくる。それこそがアシュリーニエのマインド・コントロール所以なのだが、やはり戦わずして済む者と闘わねばならぬ事に心が痛む。

そして、それが取るに足らない者まで向かわす、アシュリーニエの思惑とするところなのかもしれない。

   * * *

一方、建物内へと入ったタカラッシュ達は、それぞれに術で向かってくる住人達の足を術で縛り、抵抗出来なくなったところで、歩を奥へ奥へと進めていく。
そして、文献や地図を求め、それが眠っているだろう地下室の書庫へと向かう。とはいえ、手当たり次第に探していても、それこそ埒が明かない事から、住人の内この図書館を管理しているだろう人物を一人従えて向かう。

とはいえ、その者がマリオン達に簡単には従う筈もない。
だから、一度真似た術ならそれをいつでも再現出来るマリオンの優れたそこを活かし、あのエミネールの“操り人形”の技を借りての事だった。
けれども、アシュリーニエのマインドコントロールの力は根深く入り込んでおり、なかなかその者の心を乗っ取る事は容易ではなく、必要以上の労力を削るものではあった。

だが、そうしてまでやってきた書庫の扉を開けた途端、二人は異様な空気に包まれてしまった。
そこに広がるのは別世界といった様で、人の心に深く入り込んだかつて自分が通ってきた昔の情景が広がっていた。
そして、そこにいるのは、出会ってまもない頃の自分達だった。
けれども、タカラッシュであって、タカラッシュではない。マリオンであって、マリオンでない。互いに、その姿に違和感を感じ取る。

幻覚・・・?! 

そんな感想を一瞬抱いたものの、二人はすぐにその世界の中へと取り込まれていってしまうのだった。

   * * *




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