15.下戸エロ体質

そして、自分達は両想いなのだから、本来なら進む道は至極簡単で、只1つだけしかないように思える。
けれども、そうであっても、やはり簡単には割り切れはしない。

マイノリティという壁は、由貴が思っていたよりも高く、その行く手に立ちはだかっている。

そもそも簡単に踏み出せるというのなら・・・。もしくはその逆で、長澤との恋愛を諦める事が出来るというのなら・・・、由貴は今こんなに悩んでいたりしない!

だから、その発端となった自分の悪質な体質を、今更ながら呪う。

そもそもそんな体質でなかったなら、間違っても長澤とあんな事にはなったりしなかっただろうし、自分も男に惚れてしまうような事もなかったに違いない。
ああ、もう! 本当に・・・。こんな特異体質なんて、何1つとして良い事、ないじゃないかっ!!

由貴は今まで自分に降りかかった数々の苦労話も含め、忌々しそうに舌打ちする。そして、そうする事で、何とかそんな苦々しい思い全てを呑み下そうとする。
けれども、胸が焼け付くように痛むばかりだ。
とはいえ、済んだ事は済んだ事で、変わりようがなければ、いくら悔いても呪っても仕方がないのだ。
むしろ、これから・・・。

長澤を振るにしろ、受け入れるにしろ、その答えを自分で見出さなければならない。

だが、いくら考えても、男は恋人として受け入れられない自分と、長澤を心から排除しきれない自分がいて、思案を堂々巡りにさせては、答えの見い出せない課題に一人思い悩むのだった。
そして、そんなのだから、近頃の由貴はとんと寝付けない日々を送っていた。

もう数えても何度目か分からなくなってきている長澤同伴の合コン帰り、僅かな乗車時間だというのに、電車の振動の心地良さゆえか? 突如として襲ってきた久々の睡魔に促されるままに、由貴は眠り込んでしまった。

だから、いつもの如く由貴の世話係として、ご丁寧にその帰りまで付き添う長澤に、降車駅に着いたからと揺さ振り起こされるも、重くなった瞼はなかなか持ち上がってはくれず、船を漕ぐ。
半ば担ぎ上げられるようにして、ホームのベンチへと降ろされるものの、日々の眠りが浅かった事も手伝って、ほっとした拍子にまた強い睡魔が襲ってくる。

「西嶋? 西嶋?」

長澤の声もどこか遠くで話しているかのように小さく、靄掛かって聞こえてくる。だから、襲ってくる睡魔から、由貴を解放する事は出来ない。
由貴は無意識の内に傍らの長澤の肩に持たれ掛かると、しつこい睡魔に誘(イザナ)われるままに意識を手放してしまう。そして、そのままちょっとやそっとでは目覚める事が出来ないような、深い深い眠りへと落ちていくのだった。
だから、長澤の“参ったな・・”という声までは、もう耳に入ってくる事はなかった。

それから随分経った頃・・・。
今思えば、とうに終電が行ってしまった後だったのだから、それはゆうに小一時間が経っていたのではないかと思う。だから、由貴の眠りも、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルからして、ちょうど浅い眠りへと移行した頃合いだった。
由貴の唇に生暖かくも柔らかい感触が、しっとりと触れた。
触れただけとはいえ、その突如とした息苦しさに、脳の奥深いところが覚醒する。

ぼんやりとはしていても、すぐに今長澤にキスされているのだと分かった。

けれども、未だに自分の中ではっきりとした答えが出ていない由貴は、この状況にどうして良いか分からず、目を閉じたまま戸惑い焦る。
こ、こんな決定的場面・・・・・。
長澤も言い逃れできなければ、自分はどうしたら・・・・。
このまま起きるワケには・・、いかない!

由貴は、気付かないなら気付かないまま、長澤と今まで通りの関係でいられると思い、瞼にギュっと力を込める。
そして、自らの高鳴る胸の鼓動とは裏腹に、しかと寝たふりを決め込んだ。
けれども、はじめはただ唇を合わせるだけの遠慮がちな唇付けであったのに、徐々に貪るような、深く荒いものへと変わっていく。
な、長澤・・・・。ちょっ・・、ちょっと・・・・。

こじ開けられた唇の隙間から入ってきた舌に、いやと口腔内を貪り犯されていく。

だから、息苦しいなんてものじゃない!
こ、こんなの・・・。キスにも・・、長澤にも・・・・・。”溺れてしまいそうだ!”
全身にかっと火が点り、芯を持った中心が昂ぶる。生地の中で、由貴自身がやや頭をもたげた。
ヤバいっ・・・。
そして、自ずと忙しなく上がっていく息に、酸素を求めて、口をパクパクとさせる。
「・・・んっ、はぁっ・・」

もう寝たふりなんて、していられない。堪らず、目を見開く。




備考;ノンレム睡眠80~110分→レム睡眠(夢)10~20分を4~5回 

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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
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