1.隣人(新連載)

「はっ・・」
有隅大和(アリスミヤマト)は、偶然実家の前で鉢合わせた人物の姿に、思わず息を呑む。
よりによって・・・。
目の前にいる男は、大和が最も会いたくない人物だった。しかも、今の自分は・・、弱味にしかならないような、惨めな有様をしている。
こんな姿・・・。こいつにだけは、見られなくない・・・・。

宮圀高(ミヤクニタカシ)。

歳は大和と同じ28歳。
互いの両親が隣合わせに一戸建ての住まいを構えるという、要は実家の隣人。とはいえ、今は互いに家を出ているのだから、“かつての隣人”といった風情だ。
だから、今では高との接点なんて、まるでなかった。
いや、わざとその接点を絶っていると言う方が正しいのかもしれない・・・。

高は並外れ恵まれた容姿の持ち主で、派手な造りの端正な顔立ちに、モデル張りの身長にスタイル! それに加え、一部上場企業に勤めているというのだから、非の打ちどころなんてないような男だ。
しかも、この歳になってもまだ、嫌でも人の目を惹くような存在感をプンプンと匂わせている。いや、この歳になったからこそ、熟成された男らしさが加味され、より一層の魅力が内から出てきているのかもしれない。
今も暗い夜道の遠目からだというのに、そこだけ浮き彫りにしたようにくっきりと、嫌味な程に際立った面立ちが、大和の目に飛び込んでくる。

そして、今でも! 彼に対する過剰なまでの意識は変わっていないのだと、思い知らされる。

そもそも大和とこの高の家とは、彼らが生まれる少し前の・・・。この新興住宅地が売り出された頃、それと同時に隣り合わせにこの土地を購入した両家が、各々の家を建てて以来、数十年にも及ぶ”隣り付き合い”がある。
とはいえ、“良好”かといえば、決してそうではない。
ここに家を構えた折から、長きに渡って、有隅家と宮圀家との間には“確執”が存在している。

だから、自分達も“幼馴染み”と言えるような、親しき間柄ではなのだ。

そもそも、世の中! 境界線を巡る問題、単なる妬み嫉み(ネタミ・ソネミ)などで、近しき隣人同士でいざこざ問題を抱えるところは多い。
大和と高の家も、そうした理由のために、不仲であるのだった。

というのも、その元凶となったのは、何を隠そう! 大和の母なのだ。
彼女は元々裕福な家庭に生まれ育ったお嬢様で、プライドが高く、常に自分を取り巻く周りの者に対して必要以上の対抗意識を燃やし、競争していないと気が済まないというような、厄介な性格をしていた。

それゆえ、お隣の宮圀家は、その恰好の対象となった。

しかも、高の母はかつてミス○○にもなった程の美才女で、大和の母のプライドをこの上なく刺激した。
また、亭主達も同水準のステイタスを有しているなら、宮圀家の3番目となる末の息子は、ようやく授かった我が息子と同い年だった。

だから、その相手として、申し分なかったのだ。

上の姉二人は兎も角! 母は、高の容姿から、勉強、スポーツに至るまで、事ある毎にその出来を我が子と比較した。
だから、自ずと大和も巻き込まれる形で、高に対して強い対抗意識を抱いた。

三つ子の魂、百まで・・・。

幼心に刷り込みのようにして、敷かれたその対抗意識は、凄まじいものがあった。しかも、それは常にけしかける母と共に、年々強く根深いものへと育っていった。
だから、大和が高校に上がった頃には、すっかりその地が固まっていたのだった。
そして、何とか忌々しいお隣の高を、地の底にまで突き落とすくらいのダメージを与えやりたいと、自ら行動に打って出たのだ。




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