57.宝珠の夢(挿絵あり)

この57話と次の58話に対応する絵ですが、文末に添付させて頂きました!




兄との死闘を制したイセリーニエ達は、翌朝このギルドの外れに住む老人宅を訪れた。

それは戦闘の後、マリオン達が情報集めに向かった先で仕入れてきた事なのだが、彼に聞けばこの辺りでの大概の事は分かるというのだ。
彼は”生ける屍“もしくは“生ける化石”と呼ばれる程、常人を遥かに凌ぐ年数に渡って、この世界で寿命を重ね続けているようで、しかも生まれてこの方一度も旅に出たり、引っ越ししたりする事無く、ずっとここで暮らし続けているという。
だから、誰よりもこの辺りの事を良く心得ているようだった。

昨日、タカラッシュ達はあの図書館内に於いてや、ギルドの者達に、この辺りの地理や伝承についていろいろと探ったのだが、結局それで行き着くところは全て彼の元だった。
その老人に事の真相を確かめずしては、先に進めはしない!
それにギルドで仕入れた情報は皆、事足らないものばかりだった。
それで、無理を押して、参った次第だった。
だが、4人の訪問が突然のものであったにも関わらず、事情を話すと、老人をはじめその家族の皆が実に快く4人を迎え入れてくれた。

いや、“待っていた!”とでも、言わんばかりだった。

彼自身、4人が宿命の元にここにやってくるのだと、予言していたようだった!
だから、多少なりと、彼もその能力を有しているらしい。

そして、能力ある者で、そのように超人的な長寿でいられるような主であるとはいえ、その寿命があまりに長きに渡るものであるためか、肌は艶が無くなり、土気色にくすんでいる。
その上、衣類から出ているところはどこもかしこも、数を数える事もままならない程浮き出たシミに、幾重に重なる皺で、憐れなものだ。
本当に、“枯れ木”かと思えるような様相と、成り果ててしまっている。
そして、その“老い“は、何も見た目だけではないのだろう? 老人の孫娘か何かなのであろうか、始終その老人の傍らでその身を気遣い、いつでもその支えとなれるように控えている。

能力があるあまり、なかなか老いる事のないミュルゼン達も、この世の”終焉”を目指さなければ、行く末はこの老人のように周りに取り残され、ひっそりと生き永らえ、その天寿を全うしていたのかもしれない。

4人はしばしの間、老人やその家族と挨拶がてらの他愛無い世間話を取り交わす。そして、それが一様に一段落したところで、彼らの知恵袋でもあるタカラッシュが4人を代表して本題を切り出す。
「昨日、この“龍の住む麓”のギルド名の由来や、それに関係する泉の在り処などを、図書館やギルド内を回って調べてきました。けれども、それが私達の探している“泉”や“竜”に関するものなのかどうか、確証が得られませんでした!」
「確かに、ここは“龍の住む麓”という別名が付いておる。そして、この先を北東に進んだところに、その名の由来となった“泉”もある」

「他の者もそのように話しておりました。けれども、私達は夢のおつげでは、私達が求める泉の周辺には“ジャスミン”が咲くというのです! ですが、その泉には“ジャスミン”は植生していないと・・・」
老人はタカラッシュの話にふむふむと相槌を打っては、その聞き知ってきた事が間違ってはいないのだと肯定する。

「そうじゃ、その泉にはそんな花は咲いてはおらぬ。では、そのギルドにこの名が付いた由来は、ご存じなのかね?」
「ええ。昔、この地が酷い干ばつに見舞われ、全ての農作物が不作となり、大飢饉が起こったそうですね?」
再び老人が首を縦に振っては、タカラッシュの話に相槌を打つ。

「その折に、竜の遣いがやってきて、雨を降らせたと・・・。そして、その雨水が集まり、大きな泉となって、その泉が誕生したと・・・。しかも、出来た泉にその竜が飛び込んで、水底に沈んでいったそうですね? ですが、そのおかげで、村人達は久々の潤いの雨に悦び助かったと、聞きいております」
「その通りじゃ・・・。わしもその村人の一人なのじゃよ・・・。あれはまだ、わしが小さい折での、家族が皆死にするか生き永らえられるかの瀬戸際だったんじゃ・・・。あれには、今でも本当に感謝しておる」

ここにまだ、古の時を生ける者がいたのか・・・。
この話が“伝説”となり、受け継がれる程の長い刻なのだから!! いつあった事かは分からぬが、恐らくこの老人は4人が思うよりもはるか前から生き続けているに違いない!
そんな驚きが4人の表情に出ていたのか、老人は「どうも私以外の身内には力がなかったようでな・・・。我が子もその子も、またその子も、そのまたその子も・・・。わしより皆、先に逝ってしまったよ」と呟き笑う。
我が子の死を看取る気持ちは、どんなものであったのだろうか?
辛く哀しいものであったに違いない!

この老人も、自らの能力ゆえに、翻弄され続ける者の一人なのかもしれない。

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                        (竜の鱗)




この竜神伝説はばけもぐ作ですので、実在する民話ではありません。

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