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14.隣人

高は宣言通り、昼前に有隅家に出向いて来ると、嵐の如く大和の手を取り、自宅マンションへと連れ去り帰ったのであった。
大和の両親は思いも依らない主の登場に、それだけでも“えっ、お隣の・・”“まさか・・・”などと、豆鉄砲をくらったように驚き狼狽えていた。

そりゃ、長年不仲である筈の隣のお坊ちゃまが、自らの性癖を既にカミング・アウトしている我が息子を連れて行ったのだから、その驚きも2倍、3倍である。
母親など軽くパニック障害を起こしては、言葉にならない言葉を喚き散らし、父は父で腰を抜かして、その場に引っ繰り返っていた。
そんな度を越えた両親の取り乱した様子は、何だか滑稽にさえ思えた。

だが、いざ正気へと戻った実母の行動を思えば、恐ろしい限りである。
自分の可愛い息子がよりによって忌々しき隣の息子にたぶらかされ、マイノリティな道へと足を踏み外したのではないかと考えた母が、何をしでかすか分かったものではない!
単身、宮圀家に乗り込んで行っては、ある事ない事ぶちまけて、多大な迷惑を掛ける姿が容易に想像出来る。

けれども、高は至って落ち着き払っている。

大和の実母を良く知る高であるから、そうした虚構をしかねない事も重々承知している筈なのだが、都内の自宅マンションへとやってきた高に、何の臆する様子も見られない。
それどころか、暢気にコーヒーカップ片手に、机一杯に広げた新聞を読み耽っている。
いわば・・・。休日の昼下がり、そんな至福の時間をつくろいでいるといった様子なのだ。
だから、つい嫌味の一つも言いたくなる。

「高? 本当に・・、来るなんて、馬鹿じゃないの? 俺の母親がお前ん家に、ゆすりに行っても、俺は知らないぞ!!・・」
それを高は、“そんなの関係ないさ”とばかりに鼻で笑う。

「でも・・・。お前も、それくらいやりかねない事くらい、良く知ってるだろう?」
「ああ、知ってる。良~く知ってる!!」
だが、やはり高に動じる様子は、全くない。悠長だ。
大和は臍を噛む。

「ならっ!!!」
「だが、俺の親は、そういう事を元々気にするようなタイプじゃない! 個人主義だからな? お前んところの事でも、自分の子供の事でも、社会的な犯罪にならない限り、個人の趣味をどうこう言うような事はない!」
「それでも、それとこれとは・・・」
「そうじゃなきゃ、お前んとこの隣にはずっと住んではいられない! お前の母親の事も、上手く適当にやるさっ!!」

確かに高の言う通り、気にする性格なら、こんな有隅家のような面倒なところの“お隣さん”など、やってられない! とうの昔に家を売り出し、引っ越していったに違いない!!
それ程実母は、普通の神経の持ち主なら耐えられない程、宮圀家対して過剰な干渉をしてきた。
厄介極まりない人物だ!

「・・・・」
だが、それを言われたら、返す言葉もない。
すると、高が突如として新聞から顔を上げる。思いの外真剣な表情に、肩がビクリと竦む

「だから、お前は好きなだけ、ここに居れば良い!!」

「!!!」
それが高の結論なのか?
言いたい事はそれだけだとばかりに、締めくくる。

だが、しっかりと大和を見据えた視線は揺るぎなく、高が心から言っているのが良く分かる。
だから、また! 困惑する。

「・・っ、う~~~~ん。・・・・・・」
返す言葉も、より一層窮してしまった。

だから、高が言うがままに、高のマンションに転がり込んでから、だらだらと生活を送り続けて、早2週間! あっという間に月日が過ぎていった。

とはいえ、本当のところは、数日世話になったら、早々に出ていくつもりでいた。

だが、どうしてか上手くいかない。
休日に新居を探そうと不動産屋巡りに出ようとしたものなら、必ずと言って高も同伴してきては、紹介された物件に高のチェックが入る。
そして、やれこの物件は値段の割に日当たりなど条件が悪いとか、ここは駅に近いがセキュリティの面でいまいちだとか・・・。価格はここまでで抑えるようにと言いつつ、なるべく日当たりが良くセキュリティ万全の新築のものという、好条件を並べ立て過ぎるために、一向に決まらないのだ。

それならばと、大和が会社帰りに不動産屋に単身で寄っても、あらかじめ一言二言何か進言でもしているのか、紹介してもらえない。全く別のところの不動産屋に行っても、電話連絡などでバレてしまっては、上手くいかない。
本当に、始終目を光らせているといった感じで、なかなかその目を逃れて、新しい住まいを見つける事もままならないのだった。

しかも、一見しては“一切の見返りは要ない”といった高の申し出であったこの同居の件だったが、いざはじめてみたらどうだろう?
毎日ではないにしろ、高は当然の如く大和を抱いてくる。
だから、それこそ別の男のところへ転がり込むような隙も、とんと与えてもらえない。

そして、大和の思惑反し、ずるずるとここに居座り続ける羽目となるばかりなのだった。




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テーマ : 自作BL連載小説
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