15.隣人

だが、高がそうまでして、厄介者の筈の自分を引き留める理由が、大和にはとんと分からない。
とはいえ、分からないとしても、このままではこの生活にすっかりと馴れてしまいそうで、怖い。だから、この状況に、大和は至極焦っていた。

大和にとっては、高こそが未だに思い続ける最愛の相手なのだ。
理由は何にしろ、その相手と不用意に顔を突き合わせ共に暮らし、間をあける事なく肌を合わせているのだ。再びこの狂おしい思いが、より一層募っていくばかりだとしても、仕方がない。

至極・・、苦しい・・・。

だが、この生活は、始まった時と同様に、いつ一方的な終わりが来ても、おかしくない。
突然、突き放すように、追い出されれでもしたら・・・。
その時、自分は自分はどうなってしまうのか? 怖くてたまらない。

だが、大和の想いに反して、高は暗に大和を縛り付け、逃げ道を絶つ。

だから、大和はこの状況から逃げたくとも、自らそうする事はままならないのだった。
しかも、大和の心配事はもう一つあった。
あの実母の奇異な虚構の心配ではない!
大和にとっては、もっと深刻で重要な事だった。

”失せ物”の行方だ。

それは、指輪ケースに入れ、至極大切にしていたものだった。
だが、元の家から出てくる時、通帳やノートPC、衣類など、特に大切と思われる私物をかき集め、スーツケースに詰め込んで出てきた。
けれども、どういうわけか、その時必死に探しても、どうしてもその品を見付ける事が出来なかったのだ。

元は大和が殊の外それを大切にしていた事は知っていたし、プライバシーを守って、普段はそれに触れるような事は一切なかった。

けれども、その日はいつも置いてあるところに、それが無かったのだ。

自分が不在の時は、衣装ケースの大切に保管してあったから、もしかしたら元が押し掛けてきた行きずりの相手に大和の衣類を貸そうとして、その時に失せたのかもしれないと思ったが、奥の方に入れてあった上に、衣装ケースに乱れはなかった。

ただ指輪ケース入りの小さなものだから、知らない間に転がり出て、紛失してしまう事も考えられるが、やはりそれも考えにくかった。
なんせ、その前日にも大和はその指輪ケースを取り出し、しかと中を検めていたのだから、そうは簡単に無くなる筈がない! 極めて可能性が低くかった。
ならば!!!

元が、隠した・・・?

そもそも行きずりの相手との事も打たれた芝居であるのならば、元がそれを大和に内緒で隠した事は、十分に考えられた。
大体からして、そんなタイミング良く、あれが無くなる事なんて、あるのだろうか?

だが、やはり! その可能性が一番高かった。
今までにも大和の気持ちを確かめようとしたり、気を引こうとして、わざと他の男を部屋に連れ込む者がいたが、元もそんな男の一人なんだと思う。

そして、あの大和の宝物は、それでも大和を失わないための“保険”!

大和が見切りを付け、家から出ようとした時、元はその若くて見目麗しい行きずり相手そっちのけで、大和に縋りついた。その後の未練たらたらな様子といい・・・。
元が大和と別れないための切り札として、隠し持っているのだと・・・。確証出来る。

大体からして、出る時会社に送り付けてくれと頼んだ残りの私物も、一向に送られてこないのだ。
大和が戻ってくるのを待っているとしか、思えない。

やはり、元は自分と別れる気など、更々ないのだ。

そして、大和の宝物も、一筋縄には戻ってこないに違いない!!




イメージイラストにあった”ブツ”の登場です!

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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
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