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16.隣人

だが、やはりその品だけは、何に替えても返して欲しいものだった。
それこそ、大和が高校生の時に密かに高から奪い取った、唯一無二の高の所有物だった品なのだ。

それは、高校の制服の“第二ボタン”。

高とそういう関係にあったあの当時、学校から帰宅したままの姿で自分の部屋に忍び込んできた高が、制服の上着を忘れて行った事があった。
それをその場のたまたまの思いつきで、大和は自分のものと付け替えてみたのだ。

これなら高に知られる事無く、ずっと一緒にその高の気配を感じていられる・・・。

少々乙女チックな発想だが、素直でない大和ならではの思い付きだ!
だが、対抗意識の強い大和としては、セフレのような関係であるのに、自分だけがそんな風に高を思っている姿など、素では見せるわけにはいかなかったのだから、仕方がない!
ちょっとした思い付きにしては、満足のいくものだった。

だが、自分達には、突然別れがやってきてしまった。
それでも、密かにずっと身に大切に付けてきたし、それがあったから、大和は高と別れても気丈に振る舞える事が出来た。

けれども、さすがに卒業してからは、そういうワケにもいかなくなった。だから、指輪ケースにそっと忍ばせて、大切に持ち続けてきたのだ。
辛い事があった時など、どんなに勇気づけられたか分からない。

いわば“お守り”・・・。

その後の大和の人生をずっと見守り、“心の支え”となって、幸多いとはいえない大和に力を貸してきた。
だから、当然の事ながら、これ自体には資産価値など全くない!

けれども、買う事の出来ない特別な思い出の品なのだった。

何とか・・、取り戻したい・・・・。
大和は思いつめ、携帯を握り締める。
だが、何度となく電源を入れ、元に電話を掛けるようとするが、どうしても出来ない。
もし掛けるとしたら、まだ高が帰宅していない今しかないというのに、指先がそれを躊躇う!

画面に元の連絡先を表示させては消し、表示させては消し・・・。
それを幾度と繰り返して、ようやく通話ボタンに指を掛けたところで、いつの間にか帰宅した高に見咎められる。
大和もすっかりそればかりに気を取られてはいたが、高も大和を気付かさない程静かにこっそりと部屋に入ってきたのだ。

何故か感じる後ろめたさに、顔が蒼白となる。

「アイツとヨリでも戻す事にしたのか?」
至極冷たい大和を責める高の声質に、ビクリと身を縮ませる。
「いや・・・、そんな事は・・・・・」

高は、眉間に深い皺を寄せる。明らかに、その言葉を疑っている。
そして、“じゃあ、何だ?“とばかりに、態度を苛立たせる。
高としては、努めて抑えているのかもしれないが、決して笑っていないその目を見れば、ゾクリと背筋が凍る。

「だから・・・。そ、そんなつもりはない!」
自分達は付き合っているわけでもないというのに、何故弁明しなければならないのか?
腑に落ちないものの、高の迫力に気圧されては、ついとそんな言い訳めいた言葉も出てしまう。

とても何食わぬ顔で堂々としてはいられない・・・。

「そのつもりがないなら、何でアイツに電話を掛ける必要がある?」
「!!!」
大和の間近まで寄ってきた高に、身が竦む。
顔の強張りを感じながらも、気丈にも高の目を挑むように見据える。

「べ、別にっ!! 元の家を出てくる時に、残りの荷物は自分宛で職場の方に送ってくれって言ってあったのに、なかなか届かないから!! ちょっと催促しようと思っただけだ!」
「ちょっと・・、思っただけ・・・・?」

高のその台詞は、“なら、何でそんな思いつめた顔をしてるんだ?”とでも言わんとするかのようだ。
相変わらず、敏い男だ。誤魔化しが効かない・・・。

けれども、高にその詳細を語るわけにはいかない。

それは大和の弱点だから・・・。
未だに自分がこの目の前にいる“高”に捉われ続けているなど、絶対に知られたくはない。あの存在をしれば、必然的にそれも明らかになってしまう・・・。

「でも、止めた! 未だに届かないって事は、向こうで勝手に処分したのかもしれない!」
心にもない事を吐く。
だが、自分で言っておいて、胸がシクリと痛む。

今までわざと伏せていた一番嫌な予感・・・。

“処分した”と言い持って、“もしもあの品が、この世になかったなら?”という思いが過(ヨギ)る。
痛い・・・。

だが、そんな大和の辛い表情を高は見逃さなかった。




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テーマ : 自作BL連載小説
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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
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