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63.宝珠の夢

竜神はそれでもなかなか仕留められない4人に痺れを切らし、天高く駆け昇る。
そして、再び4人に向かって、口から業火のような焔を吹き上げる。
離れたところにあっても、焼け付くような勢いの焔だ。周りの雑木も火にあぶられ、チリチリと虚しい音を上げて、灰と化していく。

しかも、竜の後方では、またしても雷鳴が轟く。
幾つもの稲妻が走り、地表面を抉り取る。直ぐに大きな陥没がところどころに開いた。
そして、この竜神は他にもどんな力を有しているのか、定かでない!
ただ分かるのは、人如きが敵うようなものではないという事だ!

ああ、目の前に立ちはだかる竜こそ、”神”  ・・・荒ぶる神、なのだ!

そして、その竜から出されるものは、全てが“天災”
神こそ知る力であり、それこそ自然の摂理!
とても敵いはしない!
やはり、神に逆らう事自体が、間違っているのか?
いや、我々はただ話を聞いて欲しいだけだ! けれども!!!
誰一人として・・・。身を守ろうとして、土柱を上げようが、その威力を吸い上げようとしようが・・・。無にしようとしようが・・・・・。

全く力が効かない。

しかも、竜の動きは奔放で、予測するのも困難だ。
ゆえに、移動すら、ままならない。
その凄まじい破壊力の前には、盾もまるで役に立たなず、竜の力に只々圧倒され、翻弄される。
選ばれし4人といえど・・・。
いや、この世界で優れた能力を持つどんな有能な人間であろうと、この前では全てが無に等しい!

非力で、無力な人間!

それである事に、変わらない!
だから、手立てなく、平伏すしかない!
だが、そんなわけにはないかに! 自分達はこの世界の使命を背負っている。
そして、この竜に決して抗いたいわけでも、傷付けたいわけでもない! ただ、話を聞いて、そのための力を分け与えて欲しいだけなのだ。

「竜神よ!! 我らの話を聞いてくれ!!!」
イセリーニエが竜に向かって、再び真摯に語りかける。
「我々は、決してここに闘いにきたわけでも、傷付けに来たわけでもない! また、竜神よ! その力を奪い去りに来たわけでもないのだ!! 話を聞いて、我々を手助けして欲しい・・・・」

だが、やはり! その声は届かない!

それでも、ミュルゼンは諦めきれない! イセリーニエに代わって、一歩前に出る。
「竜神っ!! 聞いてっ!!!」
声が枯れてしまうのも躊躇わないで、ありったけの声を張り上げて、なりふり構わず竜に向かって呼び掛け続ける。

けれども、結果は同じだ!

これ程までに大声を出して、話しかけているというのに、竜神の心は頑なだ! 全く聞き届けてくれない。
相当に勘が立った竜には、ミュルゼンの叫び声も蚊の鳴くように小さな虫音だ! 煩わしいだけでしかない!

だが、自分達は決して竜神を脅かすような悪しき者ではない!と、ミュルゼンは必死に語る。
残念な事に、竜神には自分達の事を敵だと思い込まれているようだけど、そうでないからこそ、何とかその事だけは分かって欲しいと願う!

「竜神! 竜神! 敵じゃないんだ! 話を聞いてっ!!」
少しでも心を落ち着かせてくれさえすれば、自分のこの声も聞こえるだろうに・・・。
ああ、必死に叫ぶだけでは、竜の心までは響かない!

だから、何度試してみても、結果は同じ! 徒労に終わるだけだった。

いや、徒労というならば、まだ可愛げがある。
竜神にとっては、耳障りなだけのミュルゼンのこの必死呼び掛けが、煩わしい。
だから、自らの周りを飛び回るコバエを追い払おうとするかのように、声のする方に向かって尾を振り下ろす。
そして、それに留まらず、口からも焔を轟々と吐き出して、ミュルゼンを追撃する。

だから、尾っぽを避けたミュルゼンの元に、間を置くことなく降りかかってくる焔が、容赦なく身を焦がそうと襲い掛かる。
「ミュルゼン!! ・・あっ、くぅっ!!!」
けれども、それをイセリーニエが、身を挺し庇う!

だが、その焔は”神“の業だ! 甘くはない!

いつもならば、ミュルゼンも無効化しては、その焔から容易に逃れる事が出来たであろうし、イセリーニエも己の能力を駆使して防ぎさる事が出来たであろう。
身を挺してまで、被る必要はなかった。
けれども、この時ばかりはミュルゼンの体を抱替えたまま空間移動し逃げるような間もなかった・・・・。

やはり、何としても、竜神の前では無力だ。

「ぐっ、あああっ・・・!!」
竜神の焔を一身に浴びたイセリーニエが、低い呻き声を上げ、その場に蹲る。
苦痛に歪むイセリーニエの表情が、ミュルゼンの脳裏にこびり付く。
「イセっ・・・・・・」
蹲ってもその痛みに耐えきれず、ミュルゼンの目前で崩れ落ちていくイセリーニエの姿に、頭の中が真っ白となる。
ミュルゼンの顔からは色がなくなる。ダメージを一身に受けたイセリーニエと変わらぬ程に白い。

だが、救いがあるというなら、まだイセリーニエの体から“死の揺らめき”が上がっていない事だ。




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