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65.宝珠の夢

泉希は背に腹は代えられないとばかりに身なりを整えると、母親が制するのも振り切って、そんな最悪のコンディションのまま、学校へと向かう!
だが、危惧していた通り、高波の姿は見当たらない!
それで、高波の同級生に尋ねてみても、『先生も高波が入院したと言うだけで、俺達じゃ詳しく分からないんですよ!』と言うばかり。
入院先も分からない。

しかも、“それならば”と、今度は3年の校舎へ足を運んでみるが、宝の弟である富岡先輩の姿も見当たらない。
だが、そこでは、富岡先輩から連絡を受けているという友人の一人から、宝の情報を得る。
どうやら、宝が朝になってもなかなか起きてこない事から、心配した家族が部屋に様子を見に行くと、ベットの中で意識を失くしていたのだという。それで、市内の総合病院に救急搬送され、只今面会謝絶となっているのだそうだ。
それで、弟である富岡先輩も、朝からそこに詰めていて、今日は学校を休んでいるのだという。

嫌な予感の的中に、泉希の顔がより青みを増す。

だから、その先輩は泉希の窮しぶりに宝の入院先を教えてくれたはしたものの、“相羽! お前も顔色悪いぞ!! 帰った方が良いんじゃないか?”としきりに心配し、止む無く学校を後にする事になってしまった。
高波の担任に、その入院先を訪ねる間もなかった。
だが、このまま宝や高波を訪ねても、面会謝絶であるならば、家族でもない自分は行っても徒労に終わるだけだ。もっと他にすべき事があるように思える。
だが、行く事を断念しても、高波と宝の容態を案じずにはいられず、胸がキリキリ痛む。

そして、現実世界では身近な接点がない茉莉緒も、恐らく同様に違いない。

幸い、自宅住まいをしていると聞いているから、茉莉緒も気付いた家族によって救急搬送され、どこかの病院で養生しているだろう事が窺われる。
その処置がどれ程効くのかわからないが、家で一人倒れているよりは幾分もマシだ!

けれども、3人の回復には、再び夜となり夢の世界へと戻らなければ、どうしようもないだろう?
とはいえ、あの竜神を自分は説得出来るのだろうか?
それに、どうすれば!! 話を聞いてもらえるのだろうか?
八方塞! 全く、分からない・・・。

やはり、今の泉希には、成す術がない!

とはいえ、そうだと言って、それで手を拱(コマネ)いていても仕方がない! だらだらと時間を潰すよりは、少しでも竜神の情報を得るため調べ物でもして備えた方が良い。
何か得れれば、またあの夢枕を通して、夢の中の自分である“ミュルゼン”に伝えた方が良い。

泉希はそう決断を下すと、家には帰らず宝の職場でもある市の図書館へと、体に鞭打ち赴く。
宝が既に調べ、それをある程度聞き伝えてはもらっているものの、別の目で見れば何か見えてくるのではないかと、仄かな期待に掛ける。
非常に気分は悪いものの、懸命に書庫から取り出してもらった古書と睨めっこする。

だが、やはりこれといった新たな成果はない!

インドの伝説でも日本の神話でも龍を成敗するような話はあるにはあるが、昨日の夢のあの時点ではっきりと分かっている事がある。
自分達が竜に対していくら何の術を施そうとしても、全く歯が立たなかった。
だから、仮にこの伝説にあるような事をしたとしても、全く意味を成さないに違いない!
それに、根本的に自分達は竜神を成敗したいわけではない!

ただ、話を聞いて欲しいだけなのだ!!

結局、泉希は手ぶらのまま図書館を後にする。
だが、そこから最寄駅へと向かうその帰り道、年端の変わらぬ兄弟・・・。おそらく年子か何かなのだろう? 差程背も変わらぬ兄弟が、一つの玩具を巡って、周囲を憚らぬ大声で言い合い取り合いの喧嘩をしているのを目にする。
どうやら、喧嘩の原因となっているそれは、非売品のようで、買えるような代物でないらしい。

それをどこかで貰ってきたのだろう? 目新しいものに、二人は当然のように心を奪われてしまっているようだ。いや、兄弟だからこそ、身近な相手に対抗意識を燃やして、それが今直ぐにでも欲しくなってしまったのかもしれない。
どちらが手にするか、使うか、その利権を巡り、闘志を燃やしている。

だが、下の子の方が要領が良いようで、当然とばかりにそれを胸にぎゅっと抱き込んで離さない。しかも、伸びてきた兄の手に、奪われるとでも思ったのか、もう片方の腕を必死に振り回しては、兄のその手を、腹を、手加減なしに固く握った拳を打ち付けている。
だから、兄はその痛み以上に、“自分も欲しいのに、自分だけ我慢させられる”と傷付き、顔を歪める。

だが、兄は荒れに荒れて泣き喚くものの、自分はそれに対抗せずぐっと我慢している。少ししか変わらぬとはいえ、道理が分かった兄の姿なのかもしれない。小さき心とはいえ、誇らしい。

だが、それは至極あり大抵な兄弟喧嘩の様子だが、泉希の目を釘付けにした。




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