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30.隣人

「高っ!! どういうつもり・・・・・」
「俺の誕生日だ! 誕生日っていうなら、お前は・・・。何も言わず素直に受け取ってくれさえすれば良い! ・・俺が、一生お前を慰めてやるっ!!」
「素直にって・・・。一生って・・・・・。自分が何を言ってるか、分かってるのか? 高、これじゃぁ・・・・」

大和の推察を肯定するかのように、高が大和から視線を背ける。
「どういう意味に・・、取ってもらっても構わない・・・。むしろ、そういう意味だと思ってくれたら、良い! 俺が、お前の面倒を一生みる!!」
「・・・・」
思わず高のその言葉に何も出なくなる。

紛れもない“一生の誓い”だった!

「分かったら・・、今すぐそれを納めてくれ・・・・」
「でも・・、高っ!! 別に・・、今も女にモテないわけではないだろ? よりによって、何で男の俺にそんな事・・・・。それに・・、俺にこれを貰う謂れは・・・・」
「“ない”というのか?」

高は大和以上に青く強張った表情で、大和を見据えてくる。
高には、自分の反論なんて、聞くつもりはないのかもしれない。

「・・・・・・」
「俺にとっては、一世一代のもののつもりなんだ!! 大和に・・、受け取って・・・・、もらいたいんだ・・・・」
「・・・・・」
「大和? 俺を・・・、拒否するのか・・・・? ここまで一緒に暮らしてきて・・・・」
「一緒にって・・・・」

大和は、高のその発言に釈然といかない。
そもそも、その暮らしは“同棲”ではなく、場所を提供しているだけのギブ・アンド・テイクの“同居”に過ぎなかったのではないのだろうか?

「そうだ! 俺の気持ちなんて・・、厭と分かっているだろ? そうと知っていて、一緒に・・・・・」
「ちょっと待って!! お前の気持ちなんて、・・・・知らない! 本当に・・、知らないっ!!」

今まで抱き続けてきた疑惑・・・。
果たして高は自分に惚れているのか、否か?
自分を貶めようとしているのか、否か?

互いの確執が大きいからこそ、高の真意がどうにも掴めないままきた。
今のこの瞬間ですら、それを測りかねる。
だから、今のこの切実な願いも・・、今までの他の男達と変わらぬ自分に寄せるあからさまな態度も・・・。それが高の本意とするところなのか、測れない!
自分を陥れるためにうった芝居だと、否定出来ない・・・。

そんな風に、高に対しては全くといって真実を見極められなくなってしまう背景には、やはり! あの根底にある脈々と持ち続けている“対抗意識”という障害の壁がある!
全てがその壁の裏に隠されてしまい、何もかもが有耶無耶に分からなくなってしまっている。

一体、どれが真実で、どれが嘘なのか・・・。
何を信じて、何を疑えば良いのか・・、分からない!
分かるのは、自分の想いだけ・・・。高の事はどれも見失ってしまっている・・・。
それが、大和の率直な思いだった。

「知らない? これだけあからさまな態度で・・・。奪って、縛って・・、妬いて、独占して・・・・・。本当に・・、分からないのか・・・?」

だが、高のそれが本当だとすれば、今までそれをはっきりと大和に伝えなかった高も悪い。すぐにはそれを信じる事は出来ない・・・。
けれども、高が何故今まで伝えられないでいたか?
それは大和が頑なだったからだ。

あの対抗意識が障害となっていたのは、何も大和に限った事ではなかったのだ!
それに巻き込まれるようにして高も、大和に対して意地を張る必要が生まれた。
だから、高もそんな弱味になるような事は、厭でも見せられなかった。
不幸な事だが、家同士のイザコザが、明白な二人の関係を分かちたのだ!
だから、とんとその告白を信じられない大和は、自らをも傷付けると分かっていて、疑いの一言を言わざるを得ない。

「分からない! 本当に分からないんだ、高の気持ちがっ!! 俺を・・、安心させて・・・。陥れるつもりじゃないのか?」

だが、それこそ! かつて大和が実行しようとした謀り事!
だから、高は苦笑する他ない。
高の目には、かつての大和の所業に対する非難の色が浮かんでいる。“それは、お前の方だろ?”とでも言うかのようだ。
ああ、あの当時・・・・。端から、それを見抜かれていたんだ・・・・・。

「そんなつもりなんて、ある筈がない! むしろ、それは・・、お前の方だ! あの頃のお前はそうだった・・・・・」
やはり、高はそれを知っていた。
もはや自分には何も言える事はない!

「だけど、大和・・・。俺はそれを知っていて、利用したんだ! 俺はその前からずっとお前に気があったから!! 躰だけでも・・、手に入れば良いかとも思ったんだ!!」
「!!!」
よもや思わぬ告白に、息を呑む。

何だって!! そんな・・・・・。




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テーマ : 自作BL連載小説
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傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
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