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70.宝珠の夢(最終回+後書き)

4人はいつものように待ち合わせをして落ち合うと、郊外にあるカトリーヌが葬られているという霊園に赴く。
郊外とはいえ、交通の便の良いところにあるその墓地は、交通機関を乗り継ぎ小1時間もかかる事無く辿り着く事が出来た。
木々に覆われた高台にあるその墓地は、雑音などない閑静な場所に位置していた。

管理人など在住していないこの霊園では、カトリーヌの墓標を探すのは一苦労かと思えたが、一角にだけジャスミンが植樹されているところがあったので、4人はそれをすぐに見付ける事が出来た。
カトリーヌも生前、その花が、その花の香りが、好きだったのかもしれない。

だから、竜の住まう泉にも、ジャスミンがああして咲き乱れていたのかもしれない!

4人はあの時その香りに誘われたように、まさに今もそれに誘われるがまま、カトリーヌの墓標に辿り着く。
ひっそりと静まり返ったカトリーヌの墓標の前に膝を付くと、用意してきた花と本を捧げる。
カトリーヌと4人とでは信仰する宗教も異ったようで、その正式な流儀は分からないものの、手を合わせ一心に祈りを捧げる。

果たして、カトリーヌがその物語で、世の中の人々に伝えたかった事は何だったのか?

考古学という分野を専攻し、中でも取り分け古墳時代をその研究テーマに選んでいた彼女は、昔の君主達の死を世間一般の人々よりも身近なところで常に触れ合ってきた。
栄枯盛衰!
本来ならそれが極自然な事ではあるが、どの君主達も生前の華やかな人生を、自らが死去した後になってもいつまでも望んでいる。

人間ゆえの欲・・・。人間ゆえの愚かさ・・・。

だが、どんな君主たちでさえ、”神“に生かされているに過ぎない存在だ!
永遠に続く生も、栄華も、ありはしない!

だが、彼らは自らが埋葬される古墳に、死後の世界でも自らに使える供の者達を生きながらにして共に葬り、信仰する思想に準じたものを多く施した。
彼女が専攻した古墳に描かれた四神思想の壁画も、そうした君主達の栄華や不老不死の憧れを反映するものだったのかもしれない。

だが、君主にまで登り詰めたとしても、彼らも根本的には我らと変わらぬ同じ愚かな“人間”の一人だ。
だから、カトリーヌはあの夢物語を通して、不平等な世の中や自然の摂理に逆らうような不毛さを打ち壊す事で、人間が人間らしく生きて行く事の大切さを、皆に示したかったのかもしれない。
そんな彼女のメッセージを感じずにはいられない!

だが、カトリーヌは何故自分達を選び、その先を托したのだろうか?

案外、そこは単純な理由からなのかもしれない。
けれども、今となっては、それも分からない事の一つだ!
とはいえ、彼女の思念によって選ばれ、出来た縁の数々は価値のあるものだ!
全てが終わった今でも、自分達には今でも大切な“絆“が残っている。

かけがえのない仲間・・・。
そして、泉希にとっては唯一無二の思い人! 高波・・・。

だが、これからはカトリーヌの思念に左右されるのではなく、自分達の手でそれぞれの人生の道を切り開き、またそれぞれの人間関係を形成していく事となる筈だ!
そして、そこにはもはや“高波の存在”は欠かす事の出来ないものになっている!
もちろん、それは泉希だけでなく、高波、そして宝や茉莉緒達も、同感とするところに違いない!

そんなふうに思ったところで、はたと傍らの高波と目が合う。
泉希の心の内の事なんて分かる筈もなのに、何故かこの時! 高波にその想いが伝わったように思えた。
その証拠に、高波が泉希に向かって微笑んでくる。

終わりじゃない! これからも共に・・・。

高波の瞳は、そう語りかけているようだった。
だから、泉希は“よろしく”とばかりに右手を差出す。
すると、高波はそれに応えて、そっとその手を受け取り、強く握り返してくる。
高波の手は、温かくも心強い大きな手だった。
そして、もう一度互いの顔を見合わせ、二人は微笑合う。

よろしくお願いします!

そして、二人は共に人生の再スタートを切った!
そんなやり取りを遠くから見ていた茉莉緒達は、“若いな、見てられないぜ!“とばかりに、そそくさと先に墓標を後にする。
とはいえ、その背中は、大人である分照れ臭くて真似出来ないという、ひた隠しの痩せ我慢を匂わせている。

現に、春を迎えて、泉希達が学年を一つずつ上げたのと同様に、茉莉緒は大学を卒業して社会人となったばかりだ。
だから、二人のように素直にはいかない。しかも、茉莉緒のパートナーである宝は更に上なのだから、尚更だ!

とはいえ、寄り添って階段を下りていく茉莉緒達の纏っている周りの空気も、穏やかながらもしっかりとした調和を保っている。
心を許し合っているからこそ、出来上がる気だ!

そして、ようやくの事! 泉希と高波もカトリーヌに別れを告げると、慌ててその後を追って、墓地の外へと続く階段を下りていくのだった。



     終わり




本当に長い間この作品にお付き合い下さった皆様! ありがとうございました!

お時間がある方は、追記欄の「後書き」も御覧くだされば幸いです!
また、最終回にてコメント欄を一応開けさせて頂きます!

 / 初回 / 総合目次

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《後書き》

お話を作る時に、ストーリー展開をかっちり決めて、プロットを立てた上で書き始める場合と、決めるのは設定だけで気の赴くままノープランで書き始める場合とあるとするなら、このお話は後者のタイプを取っています!

もともと私はどちらという風にスタイルを決めていなかったのですが、後者の場合は不安になったり途中で筆が進まなくなって苦労する事から、最近ではなるべく前者のようなやり方で執筆に取り組むようにしてます!

そして、この話に関しては、本当に初期設定しかない状態で書き出しました!
ゆえに、自分で問題提起した事柄について“つじつま”を合わせる感じで、書き進めていたのですが、話を練る楽しさを感じつつも、非常に苦しみました。

だから、中盤にある、その夢を見る理由や、そもそもその夢の世界とはどういう世界なのかが決まった時は、ほっとしました!
しかも、そのおかげで夢の中の世界での登場人物たちが進んで行く道も開けたので、良かったです!

という事で、この謎解きの場面が、私にとって一番の正念場でした! 笑

とはいえ、まだまだ話の詳細が決まったわけではなかったので、その後も多々苦労がありました。
例えば、それぞれのキャラの得意技はどうするかとか・・・。
イセリーニエが本当の事を明かさないのは何故かとか・・・。
それがお兄さんとの対立にあるとなったからには、当然刺客もいるだろうとか・・・。

そして、その刺客や兄との決戦や、最果ての竜との対決についても、すごく悩みました!
というのも、少年漫画等にありがちな法則“落としておいてから、勝つ!”というのにしなければならないという思いがありましたので、本当に…。
書き進めては、“ああでもない!こうでもない!”とばかりに、頭を悩ませていました!

そして、時には私の持ってる知識では追い付かず、“宝珠”に関してや“竜”について民話や伝説を、実際にググりました! 笑
最終的には、なんちゃって民話を作って落ち着きましたが・・・。
でも、本当…。こんなお勉強なんてするのは、学生時代以来です!!
何とも有意義な事です!

だから、いつも以上に苦労をしたこのお話は、週1回以上のペースではとても書けず、気付いたら1年もかかってしました!
ですので、こんなに長い間に渡りこの作品にお付き合い下さった皆様には、頭が上がらない思いです!

感謝、感謝です!

読み続けて下さったり、励ましのコメを頂いたりがなかったら、とても私一人では完結するだけの気持ちを維持出来なかったと思いますので、本当に感謝しきれないです!
そして、この話を完結する事で、作品中に登場致しましたカトリーヌの無念を果たせる事が出来て、良かったです!
きっと彼女も浮かばれる事でしょう?

ほ~っ!!

私こそ、肩の荷が下りました!
でも、長かった分、苦労した分、何だかこの完結がやけに寂しいです! 笑
(とはいえ、実は私の中に各場面のイメージソングがありまして、未だにその歌を聴いては、密かに余韻に浸っております! 笑)

そして、今後についてですが、こういったファンタジー作品を手掛けるかどうかも、今のところ未定です!
私の場合この分野の話を書くのには、いつもとは異なるエネルギーが多分に要るので、当分は手を出さないようにした方が良いのではないかという思いもなきにしもあらずでして、今あるネタをこのまま温存熟成させておこうと思っています!
ですが、またこの分野に取り掛かる時には、何卒よろしくお願いします!

とはいえ、現在途中となっています『鬼祓戦隊』(ファンタジー>BL)がありますので、そろそろそちらも本腰を入れて完結へと導かなければいけませんので、他連載の切れ目などに進めたいと思います!

そして、最後に…。
拙い作品に長い間お付き合い下さり、本当にありがとうございました!
この作品はいつものBL作品のように派手なものではないのですが、何かしらもやっとした余韻を皆さんの心に残す事が出来れば、幸いだと思っております!
そして、一朝一夕ではなかなか上達出来ないとはいえ、少しでも上達できるようこれからも日々精進して頑張っていきたいと思っていますので、何卒よろしくお願いします!

 / 初回 / 総合目次

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テーマ : ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学

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けいったんさん Re: 今日はコメ欄が開いてるのね♪(o^-^o)

こんにちは!
本当に最後までありがとうございました!
  &
いろいろ励まして下さり、感謝しきれないです!

そして、『宝珠…』は、本当に久々にお勉強をさせて頂いた作品です!
近頃では勉強なんて全くしていないので、本当にクラゲが湧いて出てきそうでした! しかも、途中補足説明であんまり関係ない『古鏡』まで取り上げちゃってっっ。笑 日本史勉強中の学生でも、それほど必要のない知識なんではと思いました! 笑

> 本当に 長かった様な 短かった様な 長かった様な 長かった様な作品でしたね(笑)←!(ーωー♯)オイッ!
戦隊物やプ◎キュアなら、丁度良いスパンなのかもしれないですけど、ブログ小説では長い期間ですよね!

でも、話の長さは、どうなんでしょう?

私の中では最長ですが、今思えば大筋を追った展開のみなので、もっと肉のつけようもあったのかもしれないなと、密かに考えてます!
例えば…、4人にはもっといろいろ冒険出来る場面もあったかななんて…。
(それこそネタに苦しみそうですけど)
でも、それを入れる事によって、本筋のストーリーの焦点もぼやけてしまいがちなので、これで良かったかなという思いも…。

という事で、話に肉を付けるところと削るところ! この課題を念頭に置いて、これからの創作活動で取り組んでいこうと思います! 笑

それにしても…。 
> 「ばけもぐ様、大丈夫?息切れしそうだよ!」と、
> 途中 違う意味で ハラハラ・ドキドキしてたのは 今だから話せる私の気持ちです。
私も”この話を無事に終われるのかしら?”と、本当にドキドキしました! 笑
私にしては壮大なテーマで、手広くし過ぎました! 笑
本当に”刺客”を登場させてしまった時には、”やっちまったな~! 大丈夫?”と自問自答しましたっっ。
何とかまとまって良かった、良かった! ほ~~っっ。

そして、本当に読んで下さり、ありがとうございました!!!

PS;最近では最終回だけコメント欄を開く事にしているのですっっ。

今日はコメ欄が開いてるのね♪(o^-^o)

ばけもぐ様、完結 本当に お疲れ様でした。(o*。_。)oペコリ

ン-ン-(≧ヘ≦:)と生みの苦しみにあったり ¢(´Д`;;;)o【勉強㊥】されたり _ノフ○ グッタリ~体調を壊されたりと 読む側にとって話しが広がって 面白かったのですが、作者様にとっては 大変苦労された作品だったと お察しします。

一年…
本当に 長かった様な 短かった様な 長かった様な 長かった様な作品でしたね(笑)←!(ーωー♯)オイッ!

夢と現実の世界を書き上げ
そして 先程も書いた様に 何処までも広がって行く話しに 
「ばけもぐ様、大丈夫?息切れしそうだよ!」と、
途中 違う意味で ハラハラ・ドキドキしてたのは 今だから話せる私の気持ちです。

長かった(←クドイ?(笑))作品も やっと完結を迎えられた事ですし、
少し 肩の力を抜いて お過ごしく下さいまえせ。

素敵で面白かった作品で 毎回更新を心待ちにして 楽しく読ませて貰いました。
本当に お疲れ様~♪7(  ̄∇7 ̄||) カタモミシマッセー...byebye☆


プロフィール

ばけもぐ

Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
尚、誹謗中傷、未成年の閲覧、画像の無断転用はご遠慮願います。


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