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34.隣人

高は先を促しておいて、しまったとばかりの塩っぱい表情を浮かべる。
大よそ何を言わんとしているかの検討が付いたのだろう。

「そう・・・・。どうしてもアレの時・・。感じると意識が朦朧としてきて・・、知らず知らずのうちに・・、つい・・・。失笑する元(アイツ)見て、気付いているようでは、ダメだね・・・・」

大和も自嘲気味に笑う。
だが、それこそその心当たりがあるのは、何も元”に限った事でない! 高だって、何度やられた事か・・・・。
だから、大和が告げぬうちから、嫌でも気付く羽目になってしまった。
案の定、何とも言いようがない渋面を浮かべるしかない。

「そうだな・・・。俺も・・・、何度か間違えられてたな・・・・・・・」
「高・・・。ゴメン・・・・」
「だけど、やっぱり妬ける・・・。たとえ俺がお前の心の主だとしても、多少なりとあいつの存在がお前の中にある事には、変わらないから・・・、な・・・・」

大和の心の主は自分なのだと明かされたこの期に及んでも、妬けるものは妬けるのだとばかりに、元に対する嫉妬心を拭えきれない。
高はギリギリと奥歯を軋ませる。

「高・・・。だけど、それは違う! こうして高と再びそういう関係を持つ事自体が、俺にとっては夢のような話だったんだ。だから、どこかで“有得ない”のだから、うっかりと呼び間違えてしまわないよう、元(アイツ)の名前を呼ぶようにしなきゃって・・・・・」

実際、元との関係で呼び間違える度に、その反動が一身に大和に返ってきた。
これ以上元を苦しめないよう、そして大和自身も傷付かぬようにするためには、必策すべき心掛けだった。

だが、既にそれが過去の事とはいえ、高としてはそんな赤裸々な事実を聞いては、とても心穏やかにはいられないというのが、本当のところなのだ。
言い訳する度に、高の形の良い眉がピクン、ピクンと小刻みに跳ねる。

それに、大和の心が端から自分にあったのなら、何で他の男に取られる前に縋り付いて自分の思いを明かさなかったのかと、今更ながらに悔やむ。
余りの悔しさに、歯噛みした唇がうっ血して白む程だ。

とはいえ、自分に対する怒りであっても、こんなに苛立っては大和を責めかねない! それに、腑に落ちない事は、まだある!
何とかその苛立ちを、高は胸の内に抑え込む。

「じゃ・・。俺がお前の心の主だというなら、あの指輪ケースの宝物は一体・・・?!」
「だから、あれこそ・・・!! 元々は、“高の物”なんだ!!!」
「おっ・・、俺のもの・・・?」
高には、思い当たる節もない。

「だけど・・。あの当時はまだ高校生だったし、短い期間だったから、お前に何かあげた記憶がない!」
「それが・・・・。実は、あれは・・、高からプレゼントされたようなものじゃないんだ!!」
「・・・えっ?」

高が驚くのも無理はない!
自らが関与していないのだから、身に覚えがなくて当然の事だ。
だが、それならば一体それが何で、どうしたわけで大和の元に渡ったというのか? 高は眉間に皺を寄せ、頭を捻る。

「俺のもの・・・・? 全く・・、分からない・・・・・」
「高が心当たりなくても、当然だ! 前にあれは金銭的な価値があるような代物ではないって、言ったの覚えてる?」
「いや・・・」
「あれは・・・。お前の制服の第二ボタンなんだ!!」
「はぁっ?」

よもやそんなものだとは思わない高は、思わず素っ頓狂な高い声を上げ、ありありとした驚きを表す。

「そ・・、そうなんだ・・・。高? 俺はあの頃から高の事を好きだったから・・・・」
「俺を・・、大和が・・、あの頃から・・、好き・・・・・」

高は大和の言葉を噛みしめるように復唱する!
先程の“第二ボタン”の告白に加え、この大和のこの告白は高にとってはより驚きのある事だ。

とはいえ、自分と大和とが関わりのあったのはその当時だけなのだから、大和が自分に気を持ってくれたとしたらその頃以外には有得ない事だ。
だが、俄かには信じられないず、そんな半信半疑な思いの中にも、嬉しい思いを混在させている。

「そう・・・。あの頃から今に至るまで、ずっと・・・。高の事が好きなんだ!!」
「でも、いつそんなものを・・・」
「あの当時・・、高が俺の家に制服の上着を忘れていった事があっただろ? その時のふとした思いつきで、自分のと取り換えたんだ!」

けれども、その真相の全てを聞くにつけ、がくりと肩を落とさずにはいられない。
知らなかったとはいえ、そんな自身のものに今まで散々悩まされて、有りもしない相手に嫉妬し続けていたのだから!!

それに、あの頃から自分達が両想いだったというのなら、それこそどれだけ余分な遠回りをしてきたのかと、愕然とした気分になる。
そんな高の様子に大和が苦笑を漏らす。

「でも、俺にとっては、今でもとても大事なものなんだ・・・。あれが高の第二ボタンだから!!!」
あの宝物が“第二ボタン”だからこそ、この大和の高への想いもそれに託されている。
いかにこの想いが深いものであるのか、言葉を重ねる事によって高に伝える。

「・・なら、俺もその制服取っておくんだったな・・・。そんな身近に、お前のものがあったなんてな・・・・」

“それは大層な事だ“と、大和が微笑み返す。




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