15.晴れ男さん、雨男さん

だが、そんな裏腹な思いに苛まれながらも、食したこの氷は文句の付けようがない程すこぶる旨い代物だった!

そうなのだ! あのマニアックとも言える雨男の事だからして、この氷にはもちろん!!会社からせしめてきたあの抗菌フィルターのサンプルを使用して、浄化した良質の水を用いて、製氷してある。
しかも、今時は通例となっている冷蔵庫の自動製氷では、殺菌力等の問題から浄水の使用は出来ないという理由から、わざわざ製氷皿を調達してはご丁寧にもそれに入れて作っているという手の掛けようだった!

目的のためには、努力と手間を惜しまぬ男・・・、雨男!
マズイわけがなかった!
しかも、晴れ男にとっては冷たいかき氷は至極歓迎出来る代物だった。
なんせ美味しいというだけではなく、例のヤバい熱も程良く取り去ってくれるのだ! 落ち着かないのは変わらないまでも、どうしようもない変な気は幾ばかりか和らげてくれた!

「ほら、旨いだろ? いくらでも作ってやるから、どんどん食べろ!!」
こんの・・、マニアックな男め!! “ドヤ顔”までしやがって!!
でも・・、これがお前が認めた水で作ったというかき氷なのか・・・・。
晴れ男は感慨深く、また一口氷を口に運ぶ。

「ああ、確かに旨いな・・・」

そんな素直な気持ちが、晴れ男の口を付いて出ていた。
すると、雨男はそんな手放しに誉める晴れ男の姿に驚く。いや、驚いたのは何も雨男だけでなく、それを告げた晴れ男自身もそうだった。

いつもなら真っ向から対立する立場にある二人!
雨男は失礼にも“天変地異でも起こるか?”などと、目を丸くさせる。
そして、現金にも、気分の方はすこぶる良くなる。だから、聞かれてもないのに、調子付いて、氷作りに於ける薀蓄をペラペラと熱く語り始める始末だった。

「だからさっ! ほら、例の水は氷作りにもとても適しているんだ! 実に口当たりも滑らかで良いから、旨く仕上がるだろ? 肌理の細かい削り器なら、その美味しさは日本一にもなれるぞっ!!」
「・・・・」

とはいえ、いくら晴れ男が雨男に嵌ったからとはいえ、このマニアックさにはすぐに付いていく事はできない。だが、じっとその会話に耳を傾ける。
以前のようには、腰を折ったりする事はない!
やはりこれは自身でも驚く程の変化だが、雨男がそれ程までに心血注ぐものというのなら、少しでも関心を持って共有したいと思うのだから、仕方がない。

「だから、消費者向けのイベントでも、この浄水を用いて製氷した食の提案も出来れば、良いと思うんだ! な? そうすれば、酒をロックで嗜む人にも喜ばれる筈だろっ?」
「ああ、そうだな! 食の提案では、その水を使った料理も一つの手だが、氷にして楽しんでもらうというのは、一番シンプルで分かりやすいものかもな・・・」
「そっ・・、そうか・・・?」

晴れ男の同意をまたも得られた事に、雨男は驚く。

「ああ、シンプルな物ほど、人をダイレクトに惹き付ける!! なら、イベントでは、一色単に氷屋と飲み屋を開くかっ!!」
晴れ男は言葉と共に、はにかむような笑みを浮かべる。
気取ったところなんてない爽快さだ。

重ね重ねの賛同だけでも驚きだが、この表情・・・。

雨男の目は皿のように丸くなる。
もし雨男が女子だったなら、一瞬にして悩殺されいたに違いない!
そんな好印象の笑顔だった。
とはいえ、雨男も悩殺されないまでも、その印象はまた一つ大きくガラリと変わる。

あれれっ・・?
やはり、思っていたのとは、随分違うヤツだな・・・・・。
今まで嫌なヤツだ、嫌なヤツだとばかり思っていたが、見直したぞっ! 実に良いヤツではないかっ!
案外・・、こいつも不器用で、誤解されやすのかもな・・・。
などと、自分に都合の良い方へと考える。

まさか晴れ男が自分に気があるとは思わないのだから、当然だ!

とはいえ、イメージを一新出来たとはいえ、晴れ男の受難はまだ続いている。
一緒に氷を食べていても、話していても、好きな相手は半裸状態なのだ! 未だに気分は落ち着かない。
悶々、悶々・・・。
どんどんといけない気持ちが募っていくばかり・・・。

良いのか、俺?
男の同僚に・・、しかも同じプロジェクトでやっていかなきゃいけない雨男(コイツ)に・・・。
こんな、こんないかがわしい事ばかり考えて、良いのか?
ああ、あの隙間が気になって仕方がない。
そのチェリーのような胸の粒も俺を誘っている。あれに吸い付き・・・・・・。
ふんっ、ダァーーーーーっ!!
はぁ、はぁ・・。

晴れ男が自分へのいけない思いに困惑しているとはつゆ知らず、気を良くした雨男はその後も“食べろ、食べろ!”と山のような氷を削っては、延々と引き留め続けるのだった。
“本当に、襲われても知らないぞ!”とばかりの無防備さだったが、その後すっかりお腹を壊してしまった晴れ男は、それこそ指の一本も手を出さずに済ませる事が出来たのだった。

セーーフっ!

   * * *




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テーマ : 自作BL連載小説
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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
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