18.晴れ男さん、雨男さん

だが、雨男の祈りを余所に、事態は悪い方へと転がった。
先方が難色を示してきたのだ。当然火種となった晴れ男を担当から外さない限り、今後の一切の取引を無に帰すと言ってきた。

やはり、表立って敵意を現したのは、良くなかったようだ!

あのゲイの担当は、これ見よがしとゴルフ上司にその時の事をチクったようだった。
とはいえ、いくら後藤とはいえ、自分のセクハラ云々については報告出来ないだろうから、詳細は伏せてなのだろうが、たとえでっちあげのあらぬ事であったしても、こちらからは何も言えない以上後藤の独壇場だ!

そして、これが原因となって、晴れ男がこのプロジェクトから外される事となったのは、確かだった!

一企業としても、今更決まりかけていた契約がとん挫するのは何とも避けたかったし、当事者である晴れ男も頭を冷やす必要があるのは当然の事だった。
いや、もしかしたらこの騒動を受けて、晴れ男の方から早々に辞退したのかもしれない。
・・・自分の尻は拭える!
あの時そう言った晴れ男は、この覚悟を既にしていたのかもしれない。

どちらにしろ、晴れ男の仕事ぶりに汚点が付いたのには、残念な事だが変わらない!

雨男に限らず、実際チームを組んでいた共に頑張っていた他の面々も、この晴れ男の頑張りようを知っていたから、皆が悔しいとも残念だとも思った。
だから、この通達はプロジャクトチームを震撼させる程の衝撃が走った!

もちろん! 中でも雨男は、自分を庇ったばかりの失脚だった事から、この決定は企業人として当然の事だとどこかで分かってはいても、釈然と納得いく決定ではなかった。
だからといって、単なる雇われ人(企業人、しがないサラリーマン)である自分では、この決定を覆す事も出来なければ、取引先が絡んでいる以上、上に直談判して無駄に困らせるわけにもいかなかった!
それに、自分達メンバーは仲間のどうこう以上に、プロジェクトの遂行が求められている。

ゆえに、個人的に晴れ男と接触しては、精神的なフォローに回るくらいしか出来なかったし、そうせずにはいられなかった。

休憩に入った晴れ男の姿を追って自らも食堂に向かい、飲み物を片手に晴れ男の傍らに腰を下ろす。

「その・・、どうだ?」
「まぁ、まぁな・・・・」
「・・・・そうか」

いざ晴れ男の様子を窺いにきたというのに、気の利いたなぐさめの言葉一つも掛ける事も出来ない。
雨男同様、少々の事ではへこたれそうにない晴れ男が、今回ばかりは相当に参ってしまっているように思える。

自分のヘマでプロジェクトから追われたのだから、当然と言えば当然だ!
だが、落ち込みの原因はそれだけに依らない!
仕事の失敗と同じ比率・・、いやそれ以上に雨男への道ならぬ恋に悩み煩っているからだ。
けれども、それを当の相手である雨男には、察する事は出来ない。

それどころか、こんな落ち込む晴れ男の姿を目にしては、何と言葉を掛けて良いものやらと、ただ隣に腰かけているだけで先が続かない。
これでは、晴れ男の様子を窺いにきただけに過ぎなくなってしまう。
庇ってもらった礼も、まだ何一つ言えてないというのに・・・。

だが、それっきり押し黙ってしまった雨男に、逆に晴れ男の方から語りかけてきた。
「お前にも、醜いところを見せてしまったな・・・」
自嘲気味な声の響きに、より一層申し訳ない気分になる。

「醜い? ・・・いや、礼を言うべきは・・・」
「お前は気にしなくても良い。俺が勝手にした失敗だ! むしろ、皆に迷惑かけた・・・」
「・・・・」
「本当、スマートじゃないよな? ・・でも、あの時は、どうしても平常ではいられなかったんだ!」
「平常では・・・」

確かにあんなセクハラは、傍で見ていても快いものではない。
だが、晴れ男はその場に居合わせただけだ! セクハラを受けていた自分なら兎も角、当事者でない晴れ男の方が平常心を忘れる程それに腹を立てたというのであれば、相当な正義感の持ち主だ!

雨男は素直に驚くと共にその心意気に感心し、晴れ男に対して尊敬の念を込めた視線を向ける。
ゆえに、晴れ男は逸早く雨男が自分い対して勘違いした念を抱いた事に気付く。

「・・ああ。でも、俺の場合は、その・・・。正義感とかそういう立派な志からのものじゃない・・・・」
「正義感からでなければ、どういうわけだ?」

雨男に訂正を入れようとした事が、藪蛇となる。

「いや・・・・・・。お前はノーマルだろ? でも、俺は・・・・。その・・・・・・」
何とも言い辛い事なのか、なかなかその後がすらすらとは出てこない。
だが、雨男は辛抱強くその言葉を待つ。

「参ったな・・・。でも、仕方がないか。嘘は付けない!」
「嘘?」
穏やかでない発言に、雨男は眉を顰め、晴れ男の顏を怪訝そうに凝視する。

「ああ、俺は・・・。あの担当と同じで、性的な意味合い込みで、お前に特別な感情を抱いているんだ! だから、あれを平常心ではとても見過ごせなかった!」




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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
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