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1.執着(ヤクザもの新連載)

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≪プロローグ≫

横断歩道の向こうに、忘れもしないあの男の姿がある。

瞬時にして凍り付き、絶望する。
そんなっ!!!
侠耶・・・。

利通の鼓動はドクンと大きく一回飛び跳ねたかと思うと、その後は早鐘の如く忙しなく刻み始め出す。
ドクドクドクドク・・・。
一体どれ程のどれ程の血液が、体内を駆け巡っているのか? 夥しい量の血液が余る勢いに任せて、ぐるぐると過剰なまでに早回りしている。
その煩いくらいの鼓動に、全身が“耳”になってしまたような錯覚を抱く。

それが、侠耶と利通に於ける再会の一コマだった。

横断歩道を挟んだ向こう側に見える男は、昔と寸分も変わらぬ姿でいる。
多少は大人びているものの、茶色味かかった髪も、端正は派手な顔立ちも・・・。
面影は何一つ変わっていなかったし、あの血生臭いようなヤクザの血特有の濁った馨りも変わりはない。

そして、自分を見射るそのギラ付く猛禽類に似た鋭く昏い目の色も・・、変わってはいなかった・・・・。

誰か、嘘だと言ってくれ・・・。
侠耶の俺への執着は変わっていない・・・。
ああ、今でもあの過剰ともいえるものを、脈々と抱いているのだ。
それが、一目見ただけで瞬時にして悟れた。

そうだ! 侠耶の“キョウ“は任侠の”侠“ではなく、まぎれもなく今でも”狂気“の”狂“なのだ・・・。

あいつは、今でも俺に・・・・。狂っている・・・・・・・。

ゾクリとした戦慄が、利通の背を走り抜けていく。

   * * *

時は、片岡利通(カタオカトシミチ)がまだ高校時代で、皆で訪れた修学旅行での一夜に遡る。

「トン、トン・・」
来訪を告げるノック音に、錦織侠耶(ニシキオリキョウヤ)が不機嫌そうに片眉をピクリと吊り上る。
それも、その筈だ! 侠耶にとっては、今この部屋を訪れようという者はドイツもコイツも、皆! 招かざる客でしかないからだ。
けれども、その傍らで、利通は密かに胸をほっと撫で下ろす。

そうなのだ! 今、利通とっては、最も二人きりになりたくない男である侠耶と、同じ部屋に押し込まれているというのが、受け入れがたくも歓迎出来ない事なのだった。

とはいえ、別に手足を拘束され閉じ込められているわけではないのだから、“押し込まれている”などという仰々しいまでの負の言い回しは、些か不適切かもしれない。
だが、利通の気持ちを踏まえて表現するならば、そういう風になるのだから仕方がない。利通に侠耶と二人で過ごす事に対し、至極抵抗があるのは事実だ。

というのも、今利通は高校生活の一大イベントともいうべき修学旅行に来ているのだが、北九州中心に組まれた旅行は残すところ2日で、今晩がその宿泊の最終日となっていた。
利通が通うこの学園では良家の子女を数多く預かっているため、不純異性交遊などもっての他だとばかりに、普段の学園生活だけでなくこの修学旅行に於いても、男子部・女子部に分けて日程が組まれている。

もちろん、そんなお坊ちゃま学園だから、この旅行で掛かる費用に対して細かい事を言うような親もいない。
だから、一般的な高校の修学旅行で良く見受けられるような、夜行列車やフェリーを使った移動は無く、九州までの往復手段も飛行機の直行便だった。
それでも、目的地が海外でないのは幾分もマシだ。
だが、それこそ海外でないのは、既に飽き飽きする程海外旅行に行っている生徒ばかりだからかもしれない。

そして、移動もそんな悠々自適な恵まれた手段なら、宿泊施設も当然民宿などではなく、星印がいくつものあるようなホテルばかりで、高校生の分際では何とも身分不相応な贅沢さだった。
利通は自らの頭脳と親の見栄だけでこの学園に通う事となったのだが、中流階級よりはやや上というだけの一般庶民の出だったから、その利通の目から見れば、贅を尽くしたこの待遇は理解出来ないどころか、ただただ驚き呆れるばかりだった。

それでも、宿泊するホテルでは概ねルームチャージ方式の部屋を採用しており、4~6人部屋だった。だが、宿泊最終日の今日だけはそういった大部屋のなりホテルであるのか、全ての生徒がツイン部屋に宿泊する事となっていた。

普通、たった二人で一部屋を使えるというならば、風呂の時間が短縮出来るとか、朝洗面台を気兼ねなく占領出来る時間が増えるとかで、悦ばしく思える事の方が多いのだが、利通にとってこれは不都合極まりない事だった。

利通はそれ程、ベットのあるような密室で、侠耶と二人っきりになる事を恐れていた。

それは、侠耶は明らかに利通を性的対象として見ているからだ。
しかも、それは今に始まった生易しいものではない!
利通は入学したその日に、はじめて教室で侠耶と顔を合わせ、魅入られてしまうと、それ以降ずっと2年以上に渡って侠耶に尻を狙われ続けているのだ。

男は恋愛対象に成り得ない利通にとっては、甚だ迷惑な話だった。

だが、侠耶の方はまさに自分をその対象にしているのだから、厄介な事とはいえ、どうにかこの高校生活の最後まで無事にやり過ごすしかなかった。




プロローグとして、本編の導入部分を重複で上げさせて頂きました!
そして、本編に入ります前に、本文にもあるように、高校時代の修学旅行の一夜のエピソードを、挟んでいきたいと思います!

 / 登場人物紹介(別扉で開きます) / 総合目次

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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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