スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2.執着(ヤクザもの新連載)

とはいえ、侠耶には一発で魅入られてしまう事になった利通の容姿だが、極一般的にそういう対象にもなりがちな、一目では男か女か見分けられぬような中性的な様をしているわけではなかった。
未だかつて女に間違えられた事もなければ、能力や体躯に於いても他の者達に引けを取らないと、自分では思っている。

ただ・・・。
侠耶のように派手な顔立ちをしているわけではないものの、見事なまでにすっきりと美しく整った顔立ちは当然人の目を惹いたし、男とはいえ一度くらいなら間違っても良いかと思わせるような節は十分あった。

本人には理解し難い部分ではあるが、侠耶に限らずそういう対象に見てくるような輩は吐いて捨てる程いる。それはノーマルだと豪語する者でもだ。
自分のどこがそんな風に男達を惑わしてしまうのかといえば、どうやらそれは利通の美しさの核となっているピンと一筋通った凛然とした趣のようだった。かえってその澄んだ潔さは皆に色気を感じさせる事となり、不必要に男共の気をそそった。

その事は本人としては至極受け入れ難い部分であったが、利通がどう振る舞おうと、傍目にはどうしてもそのような対象として映ってしまうのだから、仕方がない!
それに、それは利通が生まれ持ったものなのだから、簡単には変えられない部分であるのも事実だった。

ゆえに、甘んじてこの容姿のまま生きて行かねばならない。

とはいえ、そんな容貌がゆえに、皮肉にも侠耶などという恐ろしい男に、一目で気に入られてしまう事になってしまったのは、やはり利通にとって不幸極まりない事だといえた。

しかも、今ではその執着が、尋常とは言えないものとなってきている。

というのも、侠耶の執着度合いを知る決定的な事件が一昨年起きた。
それは、侠耶の絶対的存在感に敵意を示した年長者達の仕打ちに、利通が巻き込まれてしまったようなものなのだが、だからこそ! 侠耶の自分への想いが度を越した、常人では考えられぬような狂気を含んだものなのだと、いやでもその時知らしめされたのだった。

ゆえに、利通はその事件を境として、侠耶の存在が怖くて堪らないのだった。

そして、皆が喉から手が出る程欲するこの美しさも、利通にとっては不必要、且つ忌々しき美徳といえるのだった。

本当に・・。人間なんて、何事も人並みである事の方が、幸せに違いない。

まだ人生の1/4も生きぬうちから、そんな達観した考えを持たずにはいられない程、高校時代の利通は割に合わぬ生活を送ってきたのだった。
そして、そう思わざるを得ない程、侠耶の執着も甚だしいものだといえた。

だから・・・。
この自分に対して、尋常でない想いを抱いているような男と・・・・。
いや・・、今日こそ自分に何をしでかしてくるか分からないような男と!!!
こんなベットのあるような密閉された部屋で、一晩を二人きりで過ごすなんて、どう考えても自殺行為としか思えない、危険極まりない事に感じてならない。

だが、それを拒否する権利はなかった。

どんな理由にせよ、この男に逆らう事は出来ない。
もちろん、それは利通だけでなく、他の全ての者に共通する事だった。
しかも、今利通達が置かれている環境は学校という閉鎖された小さな社会だ! そんな小さな社会では、絶大過ぎる侠耶の存在は確固たるもので、それから逃れる事は誰しもが無理な事だった。
ゆえに、生徒はもちろんの事! 本来目上の立場である教師達までもが、その弱肉強食のピラミッドの図式の元では、侠耶の下に位置付けられていた。

そう・・、そんな風に侠耶は皆から一目も二目も置かれるような存在だったのだ。

だから、この修学旅行の部屋決めでも、侠耶に異論を唱える者は一人もいなかった。もちろん、利通と同室になりたいなどと現を抜かすような者が出る事は、想像すら出来なかった。
それどころか、侠耶の相手は利通の他にいないとばかりに、誰もが端から二人は同室だと決め付け、利通に侠耶を当然とばかりに押し付けた。

侠耶なんかの御守りなどしたくないというのに・・・。

だからこそ、この3年の間も、得てして期待していたクラス替えで侠耶と離れられるなんて事も、実現に至るどころか、一握りの可能性すらなかった。
もちろん、それにはそうした理由が大きく関係していたからだという事は、疑いようがなかった。

非常にそれは大人都合な話ではあるが、学校側としても侠耶の機嫌を取って置く事は重大な要所だった。
ゆえに、その侠耶が在籍する3年間を何事も無く無事に乗り切っていくためには、お気に入りである利通を侠耶に宛がう事は必要不可欠だった。
現に、それで起こり得るだろうトラブルの数々を、最小限に抑えてこれたのだ。
苦肉の策とはいえ、学校側としては当然の配慮だったのだと思う。だが・・。

“生贄”であるのも・・、良いところだ。




 / 初回 / 登場人物紹介(別扉で開きます) / 総合目次

いつも読んで下さり、ありがとうございます!
よろしければ応援ポチリして頂けるとうれしいです
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

ばけもぐ

Author:ばけもぐ
隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
傾向;男臭い/強気受け多し。切ない系~爆笑系。リーマンもの、体先行型多し。ハピエン。
拙い作品ですが、楽しんでいって下さい。
尚、誹謗中傷、未成年の閲覧、画像の無断転用はご遠慮願います。


本館(当ブログ)目次↓
dreamtripbana.jpg
分館目次↓
dreamtripbana.jpg
twitter↓
@bakemogu53

ランキング参加しています!
よろしければ応援お願いします!
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
人気ブログランキングへ


現在の閲覧者数:


おすすめトラコミ&サーチ
にほんブログ村 トラコミュ ボーイズラブへ
ボーイズラブ
にほんブログ村 トラコミュ BLイラスト・漫画・小説何でも書いちゃう!へ
BLイラスト・漫画・小説何でも書いちゃう!
にほんブログ村 トラコミュ 小説15禁・18禁(性描写あり)へ
小説15禁・18禁(性描写あり)

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新コメント
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。