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7.執着(ヤクザもの)

“蛇に睨まれた蛙”というのは、こういう事を言うのかもしれない。
侠耶にとってはこの眼光も何気ない鋭さなのかもしれないが、利通にとっては竦みあがるのに十分な恐ろしさのあるものだった。

掌にも、嫌な汗がじっとりと吹き出していた。

利通はそれを慌ててズボンで拭うと、その手を差し出した。
もちろん、極めて何事もなかったかのようなフリをして、笑みを努めて顔中に貼り付けた。
だが、その笑みは不自然に引きつってしまった。

「ああ、片岡利通・・。よ、よろしく・・・」
声も微かに震えている。
利通は内心その失敗に舌打ちするも、当の侠耶は全く気にした様子はなかった。

恐れられる事に、慣れきっているのかもしれない。

それどころか、侠耶は上機嫌に利通の手を取り握り込んできた。
だから、利通は再びほっと胸を撫で下ろす。
良かった。変には思われなかったみたいだ。それに・・・。

まだこの侠耶に好意を抱かれた事に自信が持てなかった利通は、握手とばかりに差し出された侠耶のその手を取った瞬間、強烈な力でもって床の上にでも引き倒されたりするのかもしれないなどと、密かに警戒していたのだった。
それが危惧に終わった事に、何とも言いようがない程の安堵を覚える。

だが、そんな安ぎも、束の間だった。

侠耶は直ぐに握り込んだ手を撫で回すように動かしては、利通の手の触り心地を確かめてくる。
どうにも・・、侠耶の方に掴んだ手を一向に放してくれる気配を感じ取れない。

途端に、今度はその不快感に苛まれはじめる。

だが、利通がそれでその手を引っ込めようとしても、“まだ逃がしはしない”とばかりに、侠耶の手に力がぐっと籠る。
「!!!」

それでも何とかそこから手を引き抜くと、侠耶が至極名残惜しそうに、利通の手の行方を目で追ってくる。
その様に、利通の背中をぞっとした悪寒が走る。

・・っ!! まさか・・、ゲイ?

そんな予感が脳裏を過る。
だが、マイノリティともいえるそんな事が、そう滅多と自分の周りで起こり得る筈がない!
そんなワケ・・、あるわけないよな・・・・。
直ぐに、利通はそう思い直す。

だが、この直観はあながち間違ったものではなかった!

侠耶は生粋のゲイ気質ではないが、性に関するモラルに対する意識も割りと元々薄い方だった。だからといって、闇雲に誰に対してもそんな特殊な感情を抱くわけでもなかったが、出会った刹那利通限定でそうした感情を抱いたのは確かだった。

とはいえ、それをこの瞬間に判断するのは難しい。

ゆえに、利通もそんな状況が度々重なって、侠耶が普通ではありえない感情を自分に抱いているのだと、確信するに至ったのだった。
とはいえ、そうは言っても、その結論に至るのにはそれ程長い時間は要しなかったのだが・・・。

そして、この出会い以来、利通は侠耶のすぐ傍らに置かれるような特別な存在と位置づけられてしまった。
そんな事になろうとは入学当初には思いも依らない事だったが、高校生活最終の一大イベントともいえる修学旅行が行われるような今時になっても、それはずっと続いている。
しかも、時が経てば経つ程重くなりつつあるのだから、堪らない!

今にして思えば、あれが敵意の方だったなら、どんなに良かったか・・・。

いや、一層の事・・。一発でも二発でも殴られて、鼻の骨をへし折られるような大怪我をした方が、断然良かったに違いない!
へち歪んだ顔で侠耶を怨み続けて、後世を恨みがましく生きる事になったとしても、その方が遥かに良かった筈だ。

とはいえ、利通はこれまでにこの侠耶以外にも、一度ストーカーまがいの変質者につけ狙われた事がある。あの時もあわや酷い悪戯をされかけて、大変な目にあった。
たまたま身近にそれを気付いてくれる大人がいたから大事に至らなくて済んだが、もしあの時誰もいなかったらと思えば、恐ろしい。

とはいえ、その偏った愛のためにも相当に参らされた利通だったが、それもこの侠耶の執着に比べればまだマシな経験だったのかもしれない。
何やかんやと言っても解決し、終息している。

だから、あの中学時代のイジメだってよくよく考えれば、やっかみ半分の利通に対する好意の裏返しが半分だったのかもしれないなどと思う事もある。
それこそ、あれはつれない利通に対する報復だったのかもしれない。
ゆえに、下手に好意を持たれるのも、甚だ迷惑で怖い事だといえた。

とはいえ、今回の執着劇についても、利通に方に侠耶の好意を受ける気は全くないのだった!




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