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10.執着

だが、そうだからと言って、沢村達のそれを見るのは受け付けられない以上、侠耶の策に嵌るしか道はない。

現に、本来は侠耶のお気に入りの腰巾着達も、戸惑いの表情を見せている。
沢村達にとっては、どちらかが女の役目を果たす事になるかは大きな問題だ。もしかしたら、時間が余す限りリバーシブルで、どちらの役目もしろと命じられるかもしれない。

普段彼らは侠耶の腰巾着というポジションに胡坐を掻き、命じられるままに同級生を犯す側にまわっていた。どちらも女にされる経験は未だにないのだから、戸惑いを感じてもおかしくはない。
ゆえに、侠耶の不興を買った事に加え、その事が二人の戸惑いをより一層大きくさせているのは、利通の目からも良く分かった。

とはいえ、元より彼らには侠耶の命に背くつもりはないのか、自分達の前でその余興をする事自体の覚悟はとうに出来ているようだった。
だが、どちらがその役を引き受けるかを巡って二人は揉め、険悪な気を両者の間で漂わせていた。
とはいえ、利通にはそんな二人のいざこざを見ては居られなかった。本来は仲の良い筈の二人だからこそ、より一層そうだと思えた!

それにだ! 利通さえ二人の訪問自体を御和算にさえすれば、二人がこんな馬鹿げた争い事などせずに済む上、利通自身も興ざめな余興を見なくて済むのは明らかだ。
それ以前に、利通も侠耶を介してとはいえ、まがりなりにも彼らとは仲間付き合いしている。良く知った二人だ!

今までの彼らがしてきた事を思えば、同情してやる気も更々と湧きもしなかったが、仮にも一緒にツルんでいる仲間達が意に沿わぬ事を強いられる姿は、やはり他の者達以上に見られるものではなかった。
何よりも、仮にこのまま二人が余興したとして、それが侠耶の欲望を焚き付ける事となり、その結果引き金を引いてしまう事になりかねないと思えた。
それこそ! 自分が侠耶に襲われる事になっては・・、”元も子もない”!

だから、今回ばかりは自分を押し通すつもりだった利通も、二人を部屋に招き入れるのを断念する事にした。

利通としては、思惑通りにはいかなかった事に、密やかに奥歯を軋ませるしかない。
それは苦渋の末の結論とはいえ、こうなったからには仕方がない! 自分が引く以外方法はなかった。

「・・もう良い。やっぱり疲れたから、寝る! だから、お前らだけで勝手にしてくれ!!」
利通は自分が呼び付けたというのに、半ばやけくそに言い放つ。そして、二人に全くの興味を失くしてしまったかのように踵を返すと、一人奥側のベットに皆に背を向けて腰かけ、旅行鞄から取り出した参考書を読み始める。
そんな利通の様子に、侠耶は口の片端を吊り上げてほくそ笑む。

「だ、そうだ! 呼び付けた本人がああなのだから、お前達は戻れ!!」

侠耶は、用はなくなったとばかりに人払いをする。
そして、お役御免となった沢村達はそれこそほっと胸を撫で下ろし、「失礼しました!」とそそくさと部屋を後にしていった。

だが、利通のひょんな申し出から、こんなあわやという窮地に立たされてしまった沢村達だが、侠耶の御咎めが解ければ何の事はないだろう?
根の葉も乾かぬ内に、利通の心変わりには感謝の一つすらする事なく、侠耶と利通が結ばれる事を本気で願い、必死に陰で応援しているに違いない!

到底、今の利通には援護射撃となるようなものなどないのだ! 沢村達が自分達の部屋でどう思っていようが、今更痛くも痒くもない!
だが、状況が歓迎出来ぬ不都合な方へと進んだ事には変わりようがない。
静けさを取り戻した部屋で、利通は密やかに舌打ちする。

ああ・・・。やはり、今回こそ俺は犯られてしまうのか・・・?
参考書の文字もただ眺めているだけで、利通の頭には一向に入ってこない。紙を捲る指も僅かにだが震える。
先程よりも現実味を増した危機感が、利通を襲う。

暗く青ざめきった顔も、部屋の照明に背を向かているからではない。
とはいえ、たとえ自分が血の気が引いた顔をしていたとしても、それを侠耶に悟られるわけにはいかない!
今まで通り、いつも通りの自分を、演出しなければいけなかった。

それこそ、少しでも異なる雰囲気を作ってしまえば、終わり! 侠耶に付け入る隙を与えてしまう事になる。
利通は必死で虚勢を張ると、侠耶の前で何事も無かったかのように舞い続ける。

ゆえに、マイペースに寛ぐ利通に、侠耶は何も言えなくなってしまっている。いや、侠耶が喉から手が出る程欲して止まない利通に望むああいった事への行動も、起こせないでいる。
だが、それはこちらの思うツボだ!
ただ利通の背中を静かに食い入るように見つめては、物欲しそうにしているばかりだ。

けれども、貼り付くその視線に、ゾクリ、ゾクリと這い上がってくる悪寒は止めようがない。
「!!!」
口腔内にいやと唾液が分泌され、それを利通はコクリと嚥下させる。

堪らない・・。

だが、途絶える事無く、悪寒がゾクリ、ゾクリと、利通を襲う。
それは単に嫌悪からのものだけでなく、侠耶という存在が自ずと強いる圧迫した恐怖と不安からなのかもしれない。

ゆえに、たかだが数十分という短い間に、利通の緊張はピークに達していた。




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