12.デベソな弱点

「でも・・・・、本当にテクがあるのか? 単なるズボラなだけの男にしか見えない!!」
「言うな・・。でも、当ってるちゃ、当ってるな。俺はズボラだ! だが、不器用なんじゃなくて、敢えて面倒な事はしないだ」

それならば、やれば出来る男だと、言いたいのだろうか?
だが、今はそんな事にイチイチ突っ込んでいる余裕はない! 梓にとって、Hの指南が受けられるかもしれないというのは、それほど興味深い申し出で、わざわざ自分からその話の腰を折りたくはなかった。
その代わりに、念を押す。

「本当かよっ!! 信じて良いんだな?」
「ああ、信じろっ! 俺は要領も良ければ、手先も器用な男だ。ゆえに、このズボラさ加減も、煩わしい生活の細かい事を出来るだけ要領良く間引いた結果だ! 分かるか? “器用”だから、その手間が省けるんだ!!」
「器用・・、だから・・・、か・・・・」

そして、その結果生えたのが、その無精ヒゲだというのだろうか?
ある意味、合理的な考えだとは思うが、それも何だか・・・。正善は本当に間引いて良い手間だけを省いているのだろうか? 疑わしい・・。
だが、当の本人は、誇らしげにそのヒゲをまたしても撫で付ける。
(あちゃ~~っ!!)

だから、そう豪語するヤツの家は、見なくとも何となく想像が出来た!

脱ぎっぱなしの洋服に、いつ干したか分からない衣類! 机の上には、食べた後そのままとなったカップラーメンの容器が鎮座している様子が、ありありと思い浮かぶ。
思わず“げっ”と顔を顰める。

それなのに、正善は調子に乗って、こんな事まで言ってくる。
「なんなら、ハウスキーピングもしてくれると、より良いな?」
誰がそんな世話を焼くというのだ? そうでなくとも、梓はバイト解雇暦更新中の姫様なのだ! する訳がない!
正善も冗談で言っているのだろうが、頼むところを間違えている!

とはいえ、そんな笑えない冗談を加味しても、この申し出は非常に魅力的だった。だから、梓はいきり立ち、「こんな講堂ではあれだけど」とその提案に乗る事にした。
だが、いざとなると正善は目を丸くし、「断らないのか?」などとねぼけた事を言い出した。さっきまでは散々と調子の良い事ばかり言っていた癖に、途端に及び腰になった正善に不信感を抱く。

もしかして、器用って、ウソ? テクがあるって、ウソ?

だが、たとえテクがないとしても、全てを打ち明けた上に、梓から合意を示したのだ。とてもじゃないけど、後には引けない!
それこそ!! こんな男にまで誘いを断られたら、梓のプライドに傷が付く。そんな事、とても許せやしないのだった。

「なっ! お子様だと思って、俺をからかったのか?」
「そんなつもりはないが・・・」
「なら、早くしろよっ!!」
「あん? 早く・・・?」

奮起し、必死に迫りだした梓に、今度は正善がタジタジになる。
だが、本当のところは、勢い余って冗談半分にこの授業を申し出た正善だったのだが、今更ながらに心も伴わない相手に手を出しても良いのかと躊躇し始めたのだ。
やはり、騙してモノにするのは良くない!
見た目に反して、正善は存外に純な男なのだった。
そりゃ、そうだ! 道理を正してやろうと梓に近づいた程の男だから、誠実だ。胡散臭いのは、その風体だけなのだった。

とはいえ、急に相手が躊躇を見せたからといって、梓の方はもう引けない!

なんせ、正善にはあの恥晒しなデベソだって知られいるのだ! 口封じの脅しも兼ねて、どど~んと一発いっておかないと、困る!!
梓は正善に掴み掛からんばかりに身を乗り出し、迫りまくる。

「何が“あん”だ! だから、早く! 早く教えろよっ!!」
「おいっ! お前・・。知らないぞっ!! 後で後悔したって、泣くのは・・・」
またもや説教をし始める正善に我慢ならなくなり、梓は口を割り込ませる。

「俺が泣こうが、自分で決めた事なら、良いだろ!!! たとえ後悔したって、責任は持てる! 俺は、そこまで子供じゃない!!」

梓の剣幕に、さすがの正善も折れる。
やれやれと言わんばかりに、その大きな体をのっそりと動かす。そして、梓の身体を机の上からひょいと抱き下す。

「なら、覚悟しろよ! 途中でやめろと言っても、止まらないぞっ!」

そう釘を刺す正善の顔を、真剣な眼差しで見上げる。
(大丈夫! 自分で決めた事だ!!)
梓はもう一度覚悟を決め直す。梓の表情には、その決意が良く現れていた。
正善は深いため息を吐くと、「知らねーぞ! でも、何だ。姫でお初なお前相手に、ここはやっぱり無粋過ぎるな!!」と、付いて来いとばかりに顎をしゃくる。
梓はそんな正善の大きい背中を追っていくと、向かった先は正善の自宅である賃貸ワンルームマンションだった。

   * * *




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