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39.執着

そうは言っても、自分でするより、ずっと早く住める状態となったのは有難かった。

その辺の侠耶の気遣いには、ほとほと感謝する。
とはいえ、そんな配慮が出来るあたり、相変わらず目から鼻へ抜けるような男だ!
それに・・・。

侠耶は帰り際、利通にしっかりと釘を刺す事も、忘れやしなかった。

「利通、お前はもう俺からは、逃げられない! いや、逃がしてはやらない! だから、もしお前が逃げる事があっても、地の果てまで追いかけてやるつもりだ!! 分かったな! 良く覚えておけ!」
「・・・・・」
「だから、決して無駄な足掻きもするな! 全ては、お前のためだ!」

地の果てまで・・。無駄な足掻き・・。
もうどこへ逃げたって、侠耶からは所詮逃げる事はかなわないのだと、良く分かっている。
あの“やっと、侠耶から逃げれた!”と思っていた京都行きでさえ、実のところは侠耶の手中にいた。常に監視され、隙が出来るまで虎視眈々と機会を狙われていた。
利通も、今回の事でそれが身を持って良く分かったのだった。

だが、その一方で、侠耶はこんな事も言っていた。

「だが、お前の普段の生活は保障するつもりだ。今まで通り、平素は会社に通い、仕事をし、普通の暮らしを送れば良い。だが、週末は全て俺のために時間を使ってもらう! 良いな、利通?」

実際、侠耶はこの言葉通り、利通の身を拘束するのはその休みとなる週末だけで、あとは今まで通り普通の生活を約束してくれた。
だから、仕事だって、普通に通えている。

ゆえに、利通のその後に於ける表立つ日々は、今までとさほど変わらない。
それこそ、週末限定の“非日常”があるだけだった。

だが、侠耶は“逃げようとしても、地の果てまで追いかけてやる!”と語った通り、利通の平素の生活を保障する代わりに、手下に利通の動きを常に張らせた。
彼らは社内まで押し掛けてくる事はなかったが、一歩外へ出れば誰かしらの目が常にあった。だから、利通はその影を、会社と自宅を結ぶ道中などで度々目にした。

ついに侠耶に捕えられてしまった折りにも、たとえ今の仕事を辞め遠くに逃げようとしたところで、もう侠耶からは逃げらそうにはないと思ったが、それは現実的にもその通りなのだと、今は痛切に感じる。

ゆえに、今の利通は、諦念に似た絶望を感じていた。

それに、黒服男に始終身の回りで張られていては、心の休まるところがない。不用意にカリカリと神経を尖らせては、気疲れするばかりだった。
利通も馬鹿ではないのだから、こうなれば無駄に逃げ回わろうなんて思わない。だからせめて、そんな者達を付き纏わらせるのは、止(ヨ)して欲しかった。

だが、侠耶は決してそれだけの意味で、舎弟達に利通を張らせているわけではなかった。

けれども、侠耶に対し反発心しか持ち合わせていない利通には、それは分かりようのない事だった。この侠耶の脅迫めいた念押しを、きっちり額面通りに取っただけだった。
ゆえに、利通はその用件を呑み、週末だけは従順に侠耶のためだけに時間を使った。決して心から応じたわけではなかったが、そうする他なかったのだから仕方がない。

とはいえ、利通はそんな割り切れない思いと闘いながらも、約束された堅気の生活を取りあえずは邁進する事に努めた。
極力、影の存在は目を瞑り、仕事で必要なら残業もしたし、出張にも出かけた。自らの持てる力を試そうと、今まで以上にこの新天地で精を出して働いたくらいだった。

だが、表向きの生活はそうであっても、やはり男である以上、週末の侠耶との逢瀬は苦痛でしかない。
敵わないと分かっていても、侠耶に容易に屈する事は出来やしなかった。

だから、侠耶と面を合わせれば、どうしても無駄に静かなる抗いをしてしまった。

しかも、利通が抗えば抗う程、侠耶の自分に対する興味も薄れていかない上、その反動が強く返ってきた。何とも悪循環な事だったが、思いの外自己の性格は頑な性格だったのか、その抗いを一向に止める事が出来なかった。
一層の事、完全に諦めてしまえば楽にもなれるのだろうが、やはり侠耶の前ではどうしても屈する事が出来ない。

ゆえに、この週末限定の拘束生活も、そんな風にして早2か月の上が経とうとしていたが、侠耶はあまりにも屈する事のない利通に、見せしめとして新たな仕打ちを施してきた。

ああ、ここには・・。

利通は自らの内股に視線を落とす。
そこには、侠耶の目論みによって、“所有の証”が施されていた。
下着一枚纏っただけで、すらりとした脚を露わにした利通の内股には、今は一見して何も描かれていないように思える。だが、そこには確かに“サソリの刺青”が入っていた。

それは、”白粉彫り”という彫り物の一種だった。




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