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47.執着

時は経てど、自分達の間で、何かが大きく変化する事はない。相変わらず、利通は侠耶にがっちりと捕えられて、その支配下から少しも逃れないでいる。
だが、そうした日々であっても、通常の生活は確固として守られており、そちらの方では新鮮味のある面白い事が利通の周りで起きていた。

というのも、利通(ジブン)の前に“敵”なる者が現れたのだ!

それは、職場の同僚である野崎という男だった。
容姿こそ、そこそこ整ってはいるものの、侠耶や利通と違って、男としては中の下のランク。仕事ぶりの方も、箸にも棒にも引っかからないとまでは言わないまでも、あまりパッとしない感じだった。

とはいえ、利通にとっては、その存在は新鮮だった。

というのも、利通が侠耶と共にいると、今も昔も自分の周りは、いわば “敵なし”の世界となってしまう。
要するに、誰も侠耶に逆らおうとしないのだから、その寵愛を一身に受けている利通にも、あからさまな敵意を向けてくるような者がいなかったのだ。
それに、利通は侠耶に出会ってからというもの、その威光の下で皆からほぼ侠耶と同等の扱いを受けてきた。畏怖する対象として一目も二目も置かれれば、皆に諂(ヘツラ)い、傅(カシズ)かれてきた。

そんな侠耶の七光りみたいなものを傘に着たいと、自ら望んだわけではない。慣れ親しみたいと、思った事もない。
だが、常に皆にそうされれば、いやでも感覚が麻痺してくる。
ただでさえ今も、あんな強面の連中に堅気である自分が、 “侠耶のもの“として必要以上の扱いを受けているのだ。普通にしていても、おかしくなる。
利通も皆に傅かれる事に“慣れた”とまでは言わないが、自分に対するあからさまな敵愾心は殊の外新鮮に感じた。それどころか、小気味良いスパイスにさえ思えた。

それに、日頃侠耶みたいな男を相手にしていると、良いにつけ悪いにつけ、普通なら苦しみ悩む他人からの敵意も、至極生温いものに感じた。
それこそ、侠耶からの数々の仕打ちに比べれば、どんな野崎の悪意だって、毛ほどにも感じない。丁度良いくらいの湯加減だった。
いや、むしろ極上の“蜂蜜”のように甘かった。

だから、利通はそんな野崎が可愛く思えて、仕方がなかった。

とはいえ、本当に高校時代より今まで、利通の前には敵など現れようもなかった。そう、あの頃は・・。もし現れたとしても、それは侠耶の敵だった。
そんな敵に侠耶と一色単に攻撃されるのは至極難な事だったが、それこそ侠耶がきっちりと落とし前を付け、利通が出る幕などほとんどなかった。

だから、これも偏(ヒトエ)に、平素は侠耶の元から離れたところに身を置いていられるからなのだろう。

だが、これは別の言い方をすれば、侠耶の保護下から外れただけの事かもしれない。それでも“侠耶の”ではなく“片岡利通”として、自らの人生を自らの足で歩いている感覚を味わえるのは嬉しかった。
ゆえに、今まで見る事も出来なかった“自分の敵”に、利通は闘争本能を刺激され、密かに心躍らせていた。

(自分の力を、試せる!!)

それに、侠耶さえいなければ、利通は自分の足で立ち、世の中を十分に渡っていけるような強い男だ。本来なら、庇護される対象ではない。
そして、このようにやれば出来るタイプの人間だったからこそ、目立つ存在でもあった。だから、赴任してきて以来、社内でも多大な注目を集めていた。
それに、利通は高い能力に加え、それこそ申し分のない端正な顏をしている。両方を兼ね揃えた利通は、当然ながら女子社員にちやほやと持て囃されていた。

だが、利通の背後には、常に侠耶の陰が付き纏っている。だから、いくら懇意に誘われようと、それに乗る事は一切なかった。
第一、誘いを受ける事自体が日常茶飯事で、それをいちいち真に受けていたらキリがない。その上、下手に期待を持たれたり、誤解されようものなら、後々困る事になるのは利通自身だった。
だから、今も昔も、“つれないくらいで、丁度良い”というのが、本当のところだ。
そんなわけで、利通は飲食に加わるのも、課を上げての親睦会・歓送迎会、仕事関連の接待など、大義名分があるものだけに限らせていた。

だが、そんなガッついていないところが、より一層の人気を生んだ。

そうなると、どうしても若い独身男子の間では、利通の印象は面白く映らない。ゆえに、利通をやっかんで、思わしくない態度を示す者がちらほらと出てきた。
その中でも、取り分け野崎がそうだった。
どんなにうだつが上がらない男でも、顔は良いのだから、利通が転勤してくるまでは、最も人気のあったようだ。だから、利通に呆気なくその座を奪われ、激しい嫉妬心を顕わにしたのだ。
そんな理由で利通に噛み付くあたり、単純で馬鹿なのだが、利通にとっては面白いばかりの存在だった。
それに、勝手に利通を過剰に意識しては、事ある毎にムキになるのは、実に可愛らしかった。

だが、それも度を過ぎれば、面倒を被る。




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隠れ腐女。オリジナルのBL小説を創作しています。
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