39.デベソな弱点

だが、そうと聞いて、今度は正善が黙ってはいられない。
デベソ(アレ)は、梓の最も悩める部分なのだ。それを良く分かっているのだから、不用意な丹羽の攻撃を許せやしない。

「おいっ! お前は、本当に馬鹿か? コイツはソレにコンプレックスを感じて、苦しんでるんだぞっ! それをお前は・・。容易に嘲って良いものじゃない!! それに、コイツの唯一のウィークポイントを盾に強請るなんぞ、卑怯だろっ!!」

正善の唾がここまで飛んできそうな勢いだった。それなのに・・。

「そんなの・・。卑怯でも、良いだろ!!」
「・・そうか?」

人それぞれ、考え方はいろいろある。物事の善悪の基準もマチマチだ!
だから、“卑怯でも良い”とは、ある意味、斬新な考え方だ。
だが、多少は手段を選んだ方が良いと思う。これには、誠実な正善でなくとも、呆気に取られる。

「だかな、丹羽? これをバラしたら、同時にお前もバイだと、周囲にバレる事になるんじゃないのか?」
「っ・・」
「そうだろ? 普通の生活じゃ、コイツのデベソまでは、分からない!! それでも、お前はバラすっていうのか?」
「俺が・・、バラせるかって?」
「ああ、お前は今までノーマルで通しているんだろ?」
「・・くそっ! だけど、それで梓が俺と付き合うっていうのなら、バレたって良いよっ! それに、たとえそうしたところで、お前達と俺とでは、イーブンにはならないだろ?」
「イーブン? ・・そうか?」
「だろ? そっちは、デベソにバイ! しかも、バイなのはお前と梓、合わせて二人分!きっちりまとめてバラしてやるからっ!! それなら、俺のが断然有利だろ?」

丹羽はやけくそ気味に、正善に突っかかる。
だが、どう有利なのか? どちらかといえば、共倒れだ!
とはいえ、その言葉に、梓は蒼白となる。

自分に火の粉が掛かる分には、どれだけ被ろうが大した事はないが、それが自分のために正善が不利を被る事となるのは避けたい。
それに、そのためというなら・・。
自分は、あんなに嫌だと思った丹羽とだって、平気な顔で付き合えるかもしれない。

だが、そんな思いも、正善の一言で、あっさりと一蹴される。

「バ~カっ! それがどうしたっ!! 俺がバイなのは、既に周知の事実だ! 今更の事を・・。それに、俺は別にコイツ以外にモテても、ちっとも良いとは思わんっ!!」

えっ・・。今、何て? 正善は何て言った?
やっぱり、正善は俺の事を好きだと、思ってくれている?!

梓は正善の台詞がやにわには信じられず、目をパチクリと瞬かせる。
あれほど正善の身を、自分以上に案じていたと言うのに、もうそれどころではない。それ程、正善の告白は、梓の心を揺るがした。

一方、丹羽は、すっかり開き直ってしまった正善に、たじたじとなる。
梓争奪の切り札になると思っていた事が、こうも呆気なく覆されてしまったのだから、当然の事だ。
じわじわと正善に、勢いが押され始める。

「そんな事、言って・・。お前、学生ながらに起業して、商売してんだろ? その仕事が、パーになっても良いのか? そしたら、お前だけじゃなく、それに関わっている者全てが、困るんじゃないのか?」
「仕事? 困る?」
「そうだよ!! だから、お前こそ、梓からさっさと手を引けよっ! いつまでも未練がましく、くっついてんじゃねーよっ!!!」
「待て! そんな理由で、誰が引き下がるんだ? そんなもの・・、商売こそ、実力主義ってもんだ! 良いものを提供したら、それで良い!!」
「そうか? 世間の偏見の目は、そんなに生温いものじゃないだろ?」
「生温くない? 確かに、世間の目はシビアかもしれん。だが、それは提供するモノに対しての目だろ?」
「・・・・」
「誰しも損はしたくない!! それに、この業界で競合する相手があるのなら、偏見の目にも左右される事があるかもしれんっっ。だが、その競合相手よりも、優れたものを、低価格で、提供するなら、どうだ? どちらと契約を結ぶ?」
「・・・・」
「だろ? 向こうから、”取引したい”と、頭を下げてくるってもんだ! 利潤を追い求めてこその営業活動だろ?」
「・・・」
「それに、契約するにも、担当の人間性の如何が大きく左右する。ゲイだろうが、バイだろうが、心ある対応を心掛ける事の方が大切だ! そんな些細な事なんて、ほぼ関係ない!」
「・・・・・」
「そうだろ? 思わないか? 人間ってヤツは、情のある動物なんだ! 契約だって、温情が働く。だから、共に仕事をするのなら、小悪なヤツより、誠実なヤツのが、やりやすいってものだ!!」
「・・・・・・」

だんだん分が悪くなったのか、丹羽はうんともすんとも返せなくなってしまった。
憐れなものだ。




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