38.デベソな弱点

とはいえ、その根性も方向性が違えば、感じ方も大きく変わってくる。

少々狡賢いところのある丹羽は、窮地に追い込まれても尚、そこから這い上がれるだけの“分”があると、踏んでいるのだろう。下手な自信で、顔を醜く歪ませる。
正善は、そんな丹羽に一瞥くれてやると、深々とした嘆息を吐き掛ける。
“馬鹿に付ける薬はない“
とでも言うのだろうか? 至極呆れ返っている様子だ。

「大体、梓をフったアンタが、今更この場にのこのこと出てきて、何の用だって言うんだよっ!!」
「ったくぅ、困ったヤツだな・・。俺の事は、どうでも良いだろう? それよりも、お前は自分が何をやったのか、良く分かっているのか?」
「何をやったかって・・・」
「見るからに、合意には思えなかった。こんな強姦まがいの事をして良いと、本気で思っているのか?」
「強姦まがい? ・・ああ、そんな事なら、分かってるよ!!」

丹羽は開き直ったのか、あっさりとそれを認める。

「なら、お前はコイツに詫びを入れると共に、二度とそんな事はしないと誓えっ!」
「はっ? 何で、俺だけ・・」
「あんっ? 俺だけ・・?」
「そうだよっ! アンタだって、十分、俺と同じ貉(ムジナ)ってヤツなんじゃねーの? アンタも、今までコイツを上手く誑(タブラ)かして、散々美味しい思いをしてたんじぇねーかっ!! そんなアンタが、俺の事ばかり、言ってられないだろっ!!」
「誑かした? 梓をか?」
「そうだろ? でなきゃ、何で梓がアンタみたいな男と・・」
「まぁ、そう言われても、文句は言えないな・・。だが、お前にのように無理強いはしていないし、その・・、何だ・・・。これでも、俺の方からは、ちゃんと“愛”もあった!!」

ちょっと待って! 何???
愛も・・、あった?!
聞き捨てられない語句に、梓は目を瞬かせる。

確かに、合意も愛も・・。
その通り! 梓側からは、十分過ぎる程あった。
でも、正善からもというと・・。
そうではないのだと思っていた。
では、正善に愛があったというのなら、それこそ自分達は何のために喧嘩をしたのだろうか?

梓は一人、自身の中で“待った”を掛ける。

だが、正善も丹羽も、梓の様子に気付ける程、悠長にはしてられない。梓を置いて、尚も白熱した言い争いを繰り広げる。

「はぁ? 愛があった・・? キモチ悪りーだろっ! そんなヒゲ面で、良く言うぜっ!!」
「兎に角、俺の容姿云々など、今は関係ない!」
「関係ない? 十分、関係あるから言ってるんだろ!! どう見ても、梓とアンタとじゃ、”美女と野獣”だ! 俺と梓の方が・・、見た目には・・、断然合っている!!!」

丹羽は、負けてはいられないとばかりに、いちゃもんじみた応酬を返す。
だが、実際には、梓は丹羽ではなく、他の男を選んだ。それが切なくも悔しいのか、そう吐き捨てた割りに、苦虫を噛み潰す。

あれ程梓に対して、酷い暴言を吐き、無理強いした丹羽だが、梓に結構気があったのかもしれない。

いや、あったからこその行動だったのだろう?
梓に放った暴言暴行だって、元を正せば至極簡単な事だ! ようやくフリーになった梓に挑んだというのに、あまりにもつれなくて、躍起になった結果が、あの子供じみた揶揄だったというわけだ。

「”美女と野獣”・・」

だが、丹羽のその指摘は、殊の外正善に打撃を与えた。
それこそ、正善が自覚しているところだったのだろう。ぐうの音も出なくなったのか、正善はそれっきり黙り込んでしまった。
ゆえに、それまで傍観していた梓も、思わず口を挟まずにはいられない。

「べっ、別に・・、正善は“野獣”なんかじゃないっ!! 釣り合わないっていうなら、むしろ俺が至らないからだ・・・・。だから、俺は・・」
「梓っ!!! それ以上、言うな!! お前は、コイツにフラれたんだぞ!! そんなヤツなんかのために・・・」

自分を卑下してまで、正善を庇おうとする梓の言葉が、却って丹羽に火を付けてしまったのだろう。
丹羽は憤りで、顔を赤くさせる。

「俺がフった覚えは・・」
「黙ってろよっ!! でも、そうだろ? お前らなんか、マジで・・。全然お似合いなんかじゃねーよっ!!」
「うっ・・」

梓と正善は、仲良く言葉を詰まらせる。

「梓も、何が“俺が至らないから”なんだよ!! そんなみっともないデベソがあるからか? だけど、そうだからといっても、こんなヒゲ男なんかと、くっつかなくても良いだろ? 俺だって・・、俺だって・・、入学した時からずっとっ・・・・」
「えっ・・、丹羽・・・?」
「分かるだろ、梓っ? だから、俺にしておけよっ!! それでも、俺よりコイツのが良いっていうんなら、そのデベソ!! 皆にバラしてやるからっ!!」

「・・・・このデベソを、バラす・・・・・?!」




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